冬というより、秋がつらい問題
どんどん短くなる日照時間と体調の変化
北欧と言えば、日の沈まない白夜(びゃくや)の夏。日が早々に沈んで暗い時間の長い極夜(きょくや)の冬。
秋はどんどん日が短くなる季節で、1番暗い時間が長い冬至(2020年は12月21日)の日照時間は、ここベルゲン(北緯60度)で5時間44分。日の出9:44、日の入15:29だそうで。
参考: Weather Spark
北欧では暗い時間が増える冬がつらい、冬に鬱が増える、といった話をノルウェーに来る前から聞いていたし、フィンランドでも同じような話を聞いていました。
だから私もノルウェーに住むと決まってから「冬になったら暗くて寂しくなってみんなに泣きながら連絡するかも〜😆 」なんて、日本の友達に半分冗談、半分本気で話してました。
しかし、私の身体に変化が起こったのは10月の下旬。まだ冬とは言えない。
これまで貧血っぽさなんてほとんど感じたことなかったのに、ある日から急速に血色が悪くなり始め、疲れやすく、頭痛や動悸、だるさに加え、眠りが浅くなり夜中に何度も目が覚める日々が続きました。すぐに鉄分とビタミンのサプリメントを摂り始め、周りの人にアドバイスをもらいながら鉄分の多い食品を摂るなど工夫し始めるも、日中もどんな体勢でいてもずっと頭に血が通っていかないあの独特の感じが、3週間ほど。
さすがに不安になって、住民登録の際に割り振られた自分のかかりつけ医(Fastlege・ファストレーゲ)の予約を取り、自分の体調について話を聞いてもらい、血液検査をしてもらうことになりました。
気候の変化?食べ物の変化?生活の変化?
結果的には血液検査に異常はなく、何か病気があって貧血の症状が出ているわけではなかったので、とても安心しました。
何が原因で体調の変化が起きたのか、特定できたわけではありませんが、日本人の友達や移民の人たちに聞くと、移住して1年目にやはり同じように貧血の症状や疲れやすさを経験している人もいるとのこと。ノルウェーにいる心やさしい友達がたくさん情報をくれたおかげで「そうか、私だけじゃないのか!」という安心感も得ることができました。
また、実は冬よりも秋が精神的にも身体的にもつらいと教えてもらいました。移民だけでなく、ノルウェー人でも秋に調子を崩す人は多いらしい。
緯度が高いため秋は気温がぐんぐん下がってくるものの、北欧でも冬は12月から2月まで。冬至を過ぎれば日は徐々に長くなるので、冬は少しずつウキウキした気分になれるのだそう。
一方、9月〜11月の秋はどんどん暗く寒くなるばかり。だから冬というよりは秋のほうが、気分が鬱々としたり、体調を崩しやすくなったり、財布の紐が緩くなったりすると聞いて、とても納得しました。
そしてよくよく考えれば。
日本でずっと過ごしてきた私は、こんなに暗い時間が長い日々を過ごしたことはなかったし、自分で食べるものを選べるとはいえ食材だって日本とは全然違うし、ここに来て使う言葉も変われば時間の使い方やライフスタイルもすっかり変わっているのだから、身体が驚いたっておかしくはない。
体調が変わって最初の頃は「なぜ!こんなにだるい!😠 やりたいことが何もできないじゃないか〜!😫 」と悲しくなりながら、本当に日本の友達に電話したり話を聞いてもらったりしていたのですが。(救われたぜ、友たちよ😎 ❤️ )
今までたくさん働いてきたし、身体も順応するのに時間がかかってるんだなぁ、無理しても仕方ないなぁと、うまく折り合いをつけながら、身体にやさしく過ごすことを覚え始めました。
なんかもう、全部、仕方がない
そんなわけで。
冬眠したい。
冬眠する動物の気持ちがわかる気がする。春まで寝てられるなんて、うらやましい。遠い目になる今日この頃。
「頑張らない」が新しい目標になりました。
というか、頑張っても、抗っても、もはや仕方がない。😊
日本にいたときは、毎日どれほど全身に力を入れて頑張っていたんだろう?
頑張るって素敵なことだけど、頑張り過ぎても肩こりはひどくなるし、眉間にシワは寄るし、心に余裕がなくなって人にやさしく在れないし、生きる上でなんだか美しくはないなと。
北欧の人たちってユーモアがあっていいなぁと常々思っていたのですが、ある意味ユーモアを持っていなきゃやってられないというか😆(笑)
ここよりもっと北の人たちは、さらに暗くて寒い時間を過ごしていると思えば、どう日々をユーモア溢れる楽しいものにしていくか、生活の中で身につけているんだなぁ、と私もノルウェーに来てようやく身をもって理解した気がしました。
どんな天気でも、どんなに暗くても、そのときの自分を最大限喜ばせる努力をする。その努力の仕方が、生ぬるくない。本気。
何をしたら自分がご機嫌になれるのか、ちゃんと知っている。そしてご機嫌になることに妥協しない。
だから仕事だって時間で切り上げて、さっさと帰って自分の過ごしたいように過ごす。時に愚痴や文句を言いながらも、なんだかんだ言って今の人生や生活が嫌いではない。本当に嫌いになったら、潔く自分の進む道を変える。
最強だなぁ、と思います。
こういう努力が日常で幸せを感じるポイントであって、幸福度ランキングの結果に反映されているんだろうな。
もちろんここで生まれ育っている人は何か特別努力をしているとは思っていませんが、自分自身の変化や今の環境を踏まえて、私はそんなふうに感じています。
楽しいことを考え、ニヤニヤする時間を増やす
さぁ、私はどうやって日々自分をご機嫌にしようか?
フィンランドに行ってその生活を知った段階で、私にもだいぶ自分をご機嫌にする方法は身についていましたが、コロナで人に会いづらい状況も生まれる中で精神的にやられないためには、普段以上に集中して(←これ大事)自分の機嫌を取る必要があります。
明るい時間が短くなっているこの季節、そして年中天気が悪いことで有名な西海岸のベルゲン。
聞いただけだとウゲッ😖 と気が滅入りそうだけど、私は屋外で過ごすことが大好きだし、せっかくここにいるのだからいろんな景色を見ようと、できるだけ毎日外に出るようにしています。
先日Fastlegeのところに行った後はとても天気が良かったので、そのままずっと行ってみたかったGamle haugen(ガムレ・ハウゲン、ノルウェー王室の別荘のある公園)にお散歩に行きました。
だ〜れもいない!月曜の午前中!そりゃそうだ!最高だ!!😍(★ご機嫌)
↑ あれが別荘。王室がベルゲンに来るときは今でも使っているけど、普段は解放されているそう。いつか中に入ってみようかな。(ワクワク、★ご機嫌)
すでにお昼近くだったけど、日が昇るにつれてじわじわと山に日が当たっていって。ゆっくり眺めているだけで、まるで心にも日が射していくよう。(★ご機嫌)
ひつじ。...びっくりした?人間だよ🤗
私もびっくりしたよ!!
3秒前までキミたちが雰囲気出すための置物だと思ってたから。
心の中で、羊と会話する。(★ご機嫌)
いや別に周りに誰もいなかったし、本当にしゃべりかけても良かったんだけど。羊たちは数秒間こちらをガン見してきた後、何事もなかったかのように草を喰むことに戻っていきました。
↓ あとで知ったけど、Gammelnorsk spælsau・ガンメルノシュクスパルサウっていうノルウェー生まれの特別な羊だったのねキミたち。そもそもヤギかと思ってたごめん。
小さな"ご機嫌"の積み重ねが、相対的な「幸せ」を創り上げていく
天気が良ければここぞとばかりに散策に出かける。
美しい!と心踊る瞬間・場所を探す。
おいしいものをつくり、食べる。
お気に入りのお店を見つける。
自分にとって心地よい香りのものをゲットする。
気分が上がるメイクやアクセサリーを身に着ける。
友達と過ごす時間をつくる。
好きな映画を何度でも観る。
自分をご機嫌にするためにやることは、ち〜いさなこと。単純すぎて拍子抜けするようなこと。かもしれない。
でもそんな小さな“ご機嫌”を積み重ねていくと、人生に多かれ少なかれゴタゴタや、メッシーな出来事はあるにしても、相対的に幸せな状態が築かれていく。
「幸せでいる」って、そういうことなんだろうなと、北欧の人を見ていると思います。
将来は何になるのかとか、そのためにどんな資格を取るといいとか、目標を達成することに価値と評価基準が置かれる教育を受けてきたからか、夢が叶えば幸せとか、結婚すれば幸せとか、あれが手に入れば幸せとか、私たちはつい絶対的な幸せを想像する。時には「自分の考える幸せ」を人に押し付けることで、まるで「自分の幸せ」が実現するのだと思おうとする。
絶対的な幸せはそれとして、あるに越したことはない。
けどそれすら、手に入ればまた次の「幸せ」を求めることになるし、年齢やライフステージによっても変わる。
だから“自分だけのご機嫌”をできるだけ見つけて、「今の自分の幸せ」が何かをきちんと見つめていく。この努力を怠っては、永遠に「幸せだなぁ」とは感じられないのではないか。
そうこうしているうちに人生はいつの間にか他人の歯車に巻き込まれ、よりゴタゴタして、どんどんメッシーなものになっていくのだと、ふと思いました。
Life is a mess. どんな人にとっても、人生そんな簡単じゃない。
これを前提として認めた上で、どう幸せに生きるかに向き合う。
そうやって幸せを感じることに貪欲でいていいんだと、北欧に来るたびに学んでいる気がします。
だから私は、今日もご機嫌。ご機嫌じゃない日だってないことはないけど。そんな日もご機嫌になる努力を真剣にする。
こうやって日々を過ごしていくうちに、あれ、いつの間にか明るい時間が長くなってるじゃ〜ん!!っていう日が来るといいなと思います。😊
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