見出し画像

Løvstakkenの冒険

次なるアドベンチャーを求めて

また、スゴイ経験をしてしまった。
結構命懸けだったと思う。結果的に素晴らしい経験と景色を満喫できて、新たな境地に至った感に満足しているものの、当然、これは命あっての喜びと幸せである。

ベルゲンにしてはありえないくらい、晴天の続くここ数週間。
新年早々にベルゲン一(いち)の観光スポットであるFløyen(フロイエン)に登って晴天と雪を存分に楽しんだ私と友達は、次なるアドベンチャーとしてFløyenの向かいにあるLøvstakken(ロブスタッケン)に登ることにした。

Fløyenはケーブルカーもあるし、登山道は車が通れるくらい広く、山の中腹に住んでいる人たちもいるし、どんな天気でも季節でもたくさんの人が往来する。登山やハイキングというよりは、文字通り観光スポットである。

LøvstakkenはFløyenより高い。西の海側に位置し、頂上ではベルゲンの街全体を360度見渡せる。頂上に行くのにケーブルカーはなく、自分で登るしかない。だからFløyenに比べて人が少ないし、観光地というよりは山登り好きが行く山という感じだろう。何より人の少ない登山道というのは落ち着いていて最高である。

なんでもっと早くここに来なかったんだろう…!

そんなふうに思うくらい、最高の山だったけれども。🤩
実は行きも帰りも、道中は想像を超えるアドベンチャーだった。なぜなら、雪や氷で滑りやすい急斜面を、道中のほんの少しだけど、枝に捕まって這いつくばって登り下りすることになったから。登りはまだいい。けど下りはとんでもなく怖かった。完全に想定外だった。

通常、Løvstakkenは特に危険な山ではない。標高も477mと、日本の百名山たちに比べたらずっと低く、1〜2時間で登れる程よいハイキングスポットなのである。

多分2月じゃなかったら、こうはならなかったのだろう。言い訳をする。
私たちが山を滑り降りなければならなくなった理由は「ノルウェー人の足跡」に他ならない。

Løvstakken(冬)の教訓:足跡があるからといってついて行ってはいけない

冬の散歩は楽しい。冷たく澄んだ空気が、どんなときでもフレッシュな気分にさせてくれる。
人が通った跡がそこここにあるおかげで、私はこの冬、家のオーナーさんすら長年知らなかった地元の散歩コースを開拓した。足跡に導かれて新しい道を知るという、夏にはできなかった楽しみである。

だがしかしmen!!!(menはノルウェー語のbut)
我々はノルウェー人ではない。というか、ノルウェーで育っていない。

覚えておかないといけない、ノルウェーの人たちはクレイジーなのだ。「え?ここを行くの?」みたいなところにも平気で足を踏み入れていく。
正確に言えば、彼らはそういう環境を受け入れ、自然と生き抜く術を身につけながら成長してきているから問題ない。
まぁ人にもよるけれど、大まかに括ったとしてもノルウェーで育った人たちは私から見れば、とてもとてもたくましい。

今回、友達(ノルウェーで育ってはいない)はLøvstakkenには何度も登ったことがあったし、私も日頃から10kmくらい歩くのが普通な感覚になっていたので特に心配はせず、人が歩いた軌跡を辿っていった。1番メインの登山道が工事中で閉鎖されていたことも大きな理由で、他の人が通った跡を辿るしかなかったのだ。

でもこれで私たちは学んだ。
visible proof(目に見える証拠)を大切にしよう。つまり、足跡だけでなく生身の人間について行くのが確実。
何はともあれ、山の中腹で骨を折ったり助けを呼ばなければいけない状況にならなくて、本当に良かった。

Løvstakkenの景色

道中のあれこれを踏まえても、天気の良い2月のLøvstakkenは完璧だった。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

街がミニチュアみた〜い!
こんなふうに見渡すと、自分がいかにちっぽけな存在かってわかるよね。
とか話しながら、360度ベルゲンの街を見渡す。あんなところにも山が続いていたんだ。

この日の早朝、私は突然目覚めて不安で数時間眠れなくなった。
今でもよくわからないが、そのときはなぜかとてつもなく大きな不安しか存在しなくて、この先何一つうまくなんていかないんだという思いに駆られていた。どうすれば自分がそれなりに生きられるのか、まったく見当がつかなかった。
自分の思考をなだめながら、ようやく1時間だけ眠ることができた後は、不思議と山に登る気力も湧いてくるくらい通常モードになった。特に病気とかではない。ただただこういう瞬間もあるのだと、最近よくわかった。

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

そしてこういう景色を眺めているだけで、私の頭の中にあるいろいろなんて、吹き飛んでいく。
そう、自分のできる範囲でやれることを一つひとつやっていくしかないんだ。

所々でハラハラしながら山を下って、友達と確認した。
物事にはたくさんの側面があるよね。だから悪いことの裏側には必ずいいこともある。それを見られるかどうかだね。

自分のラッキーさを改めて想った。今日無事に帰れたことも、I’ve got ya!と仮に私が斜面から転げ落ちても受け取ろうとしてくれる友達がいることも、何をしても常に守られている感覚があることも。

私には今、この経験が必要だった。
この日を忘れない、だから私は自分の歴史にこう記す。

「2021年2月 Løvstakkenの冒険」

画像14

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?