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ノルウェーの日本語学科のイベントでお話しました

ベルゲン大学にある日本語学科

ノルウェーには日本語を学べる大学が2つあります。1つはオスロで、もう1つは私がいるベルゲンにあるベルゲン大学です。

3月11日、学生主体で行われたFagkritisk dag(ファーグクリティスクダグ・直訳するとSubject critical day, 科目について批判的に考えてみる日ってところでしょうか)というオンラインイベントでお話しする機会をいただきました。

参加していたのは主にこれから日本に交換留学に行く予定の学生たち。日本のことなら何でもいいということだったので、日本の地震のこと、そして少し前に話題になった日本の女性差別のニュースを取り上げました。

ノルウェー語で自己紹介をしてから、自己紹介に続く内容は、絶賛日本語勉強中のみんなにもわかりやすく伝えられたらと思い、スライドにノルウェー語のテキストをつけ、できる限り平易な日本語でゆっくり話しました。
ノルウェーに来た当初から私を知っている友人たちが私のノルウェー語の上達を喜んでくれたので、とっても自信になったし、うれしかったです。

日本語からノルウェー語のテキストをつくるにあたっても、日本語を勉強している友達が翻訳を手伝ってくれたので、私が頑張って自分の知っている表現だけで仕上げるよりも、ずっと自然なノルウェー語を使うことができたように思います。😎

日本語でお話しした内容

ここからがお話しした内容です。
*スライドの画像はすべてライセンスフリーのサイトから使用しています。

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↑今日は、2つのお話をします。一つ目は地震について、もう一つは最近ニュースになった日本の女性差別発言についてです。

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↑どちらも日本に行く皆さんにとって、大事な情報だと思うのでお話します。

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↑さて、皆さんは今日が何の日か知っていますか?

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↑10年前の今日、3月11日、午後2時46分に日本でとても大きな地震が起きました。東日本大震災です。

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↑皆さんもニュースやYouTubeでこの地震のことを観たことがあるかもしれません。私も自分が経験した中では、最も大きな地震でした。とても怖かったのを覚えています。

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↑日本は地震の多い国です。
地震が起きると、物や建物がガタガタと音を立てて揺れます。上から物が落ちてくると危ないので、まずは机の下に隠れて、自分の頭を守ってください。

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↑大きい地震のときは、揺れると立っているのが難しいです。避難所に逃げなければいけないこともあります。

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↑地震が実際に起きるとき、自分がどこにいるか、何をしているかはわかりません。
外国人向けの避難訓練やインストラクションもあるので、皆さんも日本に行く前にぜひ確認してみてください。

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↑もう一つのお話です。
2月に、東京オリンピックの森喜朗元委員長の女性差別発言が世界中で話題になりました。
*画像部分は東京オリンピックに関する画像を使っていますが、ここに載せるにあたっては削除しています。

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↑彼は「女性がいる会議は時間がかかる」など、女性が理由で困るということを言いました。
*画像部分は東京オリンピックに関する画像を使っていますが、ここに載せるにあたっては削除しています。

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↑彼が公の場で言ったことは、批判されるべき内容です。
しかし、この一言だけを取り上げてニュースにしているメディアも多く、どのような文脈で、なぜ彼がそう言ったのか、話の流れがわかるものはほとんどありませんでした。

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↑物事の一面だけを取り上げて、怒ることは簡単です。
今、世界中でそのようなことが起こっていますが、最近日本では特に多くなっていると思います。どんな情報をピックアップして、どう捉えるか、自分で考えることが大切になっていると私は感じています。

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↑皆さんはどう思いますか?ぜひ皆さんの意見も聞かせてください。
ありがとうございました。

日本のジェンダー意識と、女性として生きること

その後の英語での質問・意見交換タイムで話題になったのは、主に日本(日本人)のジェンダー意識についてでした。

プレゼンが一通り終わってホッとしたのと、ノルウェー語→日本語、日本語→英語、と言語の切り替えがあったので、誰がどんなコメントをして自分が何をしゃべったか、正直あんまり覚えていませんが。というか、自分の意見を英語で説明できていたんだろうか...。多分、訳わからんことを言ってたな。悔しいな。

覚えている範囲でのやり取りと自分の意見をメモしておくことにします。

森氏の女性差別発言について、私にとっては、差別的な発言だけがメディアによって取り上げられているように感じられたので、他の人の意見も聞いてみたく、特にこの場に参加していた日本人の方にもニュースをどう捉えていたかを伺いました。

また「ノルウェーでは男女平等の意識がかなり浸透しているし、大学で女性だからどうこうというのはないと思うけど、日本で女性の学生が勉強するにあたって、男女の不平等を認識するタイミングはありますか?」という質問がありました。

少なくとも私の経験では、大学で過ごすにあたって、女性であることが理由になって何か困るということはなかったと記憶しています。ただ数日前に『東大の合格者のうち、女子が21%で過去最高だった』というニュースがあって、それが日本ではニュースになるのがちょっと変だな(不思議、違和感がある)と思いました。東大だからニュースになるということも理解しているのですが、同時にノルウェーだったらこんなのニュースにもならないんだろうな、と思ったからです。

北欧諸国ではすでに40年以上前から、クォータ制(*)が導入されてきました。
今回改めて調べてみたら、なんと発祥はノルウェーで、1978年に制定された男女平等法を筆頭に始まったそうです。ノルウェーが最初だったとは知らなかった!

(*)クォータ制は、政界や公的機関の組織において女性の登用割合を一定に定める制度です。それまで社会的に不利だった女性を機械的に有利な立場に置くことによって、女性の社会進出を促進すると同時に、声を上げにくい立場にいる女性を社会から排除しない方向に持っていくための仕組みになっています。この仕組みがあるからこそ、女性の首相や大臣、企業の重役などが誕生しやすいという背景があります。
詳しい説明はこちらがわかりやすかったです。
クォータ制:働き方改革とダイバーシティに関する用語集(株式会社クオリア)

そんなわけで、保育園から始まる教育の場でも「男女平等」を意識させる場面は多いと聞いていたので、こういう「女性が○%を占めました!」みたいなニュース自体がノルウェーではタブーに感じられるのではないかと思ったのです。

なんにしても、今回の森氏の発言は日本での男女平等の議論の1つの起点になったのではないかと私は感じています。そういう意味で希望のスタートラインに立ったわけだし、物事や社会をいろんな立場の人が生きやすい環境に向かうチャンスだと思うのです。

あとはただ怒りに任せて自分たち(女性、社会的弱者)の権利を主張するだけで終わらないといいな。ノルウェーが始めたように、社会システムを法律によって強制的に変えるというのも一つの手段かもしれないし、ムカついてついガオーッて噛み付きたくなる相手ともどうにかこうにか対話を続けていくことでしか変わらない社会もあるのかもしれない。

...とか、頭で考えていても仕方ないので。
願いは願いとして、私は日々自分を裏切らずにいながら、自分の周りの人と心穏やかに生きていくことに集中しようと思います。🤗

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