私のノルウェーワーホリ卒業制作
半年前に突然始めた編み物
ノルウェーには編み物クラブ(Strikkeklubb・ストリッケクルッブ)なるものがある。ノルウェーには、というか北欧には、と言うべきか。
編み物クラブは、編み物をしたい人が定期的に集まって、お茶やコーヒーを飲みながら、自由にお話しながら、思い思いに編み物を楽しむ会のこと。
フィンランドも編み物が盛んなので、以前にも編み物クラブのことを聞いていたし、編み物クラブがどんな場なのかは知っていた。でも、確実に自分が行く場所ではないと思っていた。だって私は、手芸というものがとんでもなく苦手だったから。
それでも、ノルウェーでは出来るだけたくさんの人に会いたかったし、友達がすでに編み物クラブに参加していて誘ってくれたから、機会があればぜひ参加してみようと思っていた。
ところが。
待てど暮らせど、コロナの影響で人が複数人集まるイベントが開催されない。編み物クラブは特に、少々年齢層高めのおばちゃまたちが集まることが多いため、尚更コロナの規制の影響を受けた。
どこかでやっていないかなぁ…といろいろ調べたが、開催していても5人までで事前予約が必要、などの条件があった。編み物クラブは、退職した方々や移民の社会参加の場でもあるので「今まで通っていた人たちの席を奪ってまで参加したいわけじゃないなぁ」と、結局参加する機会をつくれず...。
そんな私に編み物と出会う、もう1つのきっかけがあった。
せっかくノルウェーに来たから、ノルウェーのマリウスゲンセル(ノルディック柄のセーター)が欲しいと思っていた。
↑マリウスゲンセル(ゲンセルはセーターという意味)のイメージ。これはちょっといわゆるマリウス柄ではないのだけど。
*無料画像から
「マリウスゲンセルが欲しいけど高いから買うのもちょっとなぁ…😑」と秋頃にボヤいていたら。
「公園とか、その辺で編み物しているおばあちゃん見つけて、材料買うから編んでって頼めば、きっと喜んで編んでくれるよ!そしたら色も自分で選べるじゃない?もしくは自分でつくれるんじゃない?」と言ってくれた人がいた。
いやいや、不器用な私にセーターなんてつくれるわけない。と思いつつも、セーターが自分でつくれたら夢みたいに素敵✨と心が踊った。
すぐにセーターがつくれるようにならなくたっていい。自分がおばあちゃんになるまでにつくれるようになればいいんだから、時間のある今ここで、編み物を始めて基礎を身につけよう!
こうして編み物を教えてくれる人探しを始めたのが、2021年の1月。
My very first knitted socks
まずは友達を通じて、編み物を教えてくれる友達を見つけた。「靴下をつくってみたら?」と言われるままに、材料を買うところから付き合ってもらった。
私は何が基礎で何をつくるのがビギナーレベルなのか、道具はどんなものが必要なのか...とにかく何も知らなかった。
かつて鍵編みで、アクリルたわしだけはつくったことがあった。棒編みは昔々、おたふく風邪で寝込んだときに暇すぎてネックウォーマーをつくったことがあった。が、そんなのは記憶の彼方の出来事にすぎない。
編み物を知っている人に言わせれば、そんな初心者が最初に挑戦すべきは、絶対に靴下ではない。笑
でも、知らなかったからいいのだ。教えてくれる人もいたし。
しかし英語で説明してもらっても、編み物の言葉なので初めは全然わからなかった😂 また新しい言語を勉強しているようなものだった。
でも、これも知らなかったからいいのだ。習うより慣れろ。そういうこと。
一度教えてもらったことを忘れたくなくて、自分1人でもYouTubeでやり方を検索して、もう片方の靴下に挑戦した。
そうこうして試行錯誤するうちに、編み目も揃うようになって、靴下らしい靴下が編めるようになった。
目的をあえて手段と混同して、礎を得る
後で調べて知ったことだったが、靴下は上級者レベルだ。
実は靴下には、リブ(履き口の伸びる感じ)をつくったり、輪編み針を使ったり、網目を増やしたり減らしたり、編み物の基礎になる要素が詰まっている。
だから私は靴下を完成させることで、基礎を学べた。
そして最初から英語で編み物の勉強をスタートさせたのも、すごく良かった。
英語で編み物のレシピを読めるだけで、将来編めるものの幅がグンと広がるから。全世界で編み物をする人の人口を考慮すれば、当然日本語のレシピより英語のレシピのほうが多い。
その後も英語で編み物のレシピを結局検索しまくり、別のタイプの靴下の編み方、パターンを使ったオリジナルスヌード、ヨガソックス、←レシピがアメリカのでサイズが大きかったのでサイズを自分用に変えた&パターンを自分なりにデザインしたヨガソックス、フレアスカート用のベルト、などに挑戦してみた。
↑これは自分でデザインし、自分サイズに変更したヨガソックス。足首があったかく、かかととつま先が出る。
↑いろんな模様を試してみたり。
YouTubeもフル活用した。YouTubeがなかったら、正直ここまでできるようにはならなかった。
ありがたいことに、世界中の編み物愛好家の方たちがたくさん動画をアップロードしてくれている。たとえ動画で説明していることが全部わからなくても、手元を映した動画の真似をすればやりたいことが実現できてしまうので、言葉はあまり問題ではなかった。むしろ動きがあることでより英語力が上がったのを実感した。
なんだって、やってみればいい
編み物なんて、不器用な自分には遠い遠〜い世界のこと。
そう思い込んで「自分は不器用なんだから」という呪いをかけ続けていた。
でも、もしかしたら私の周りに上手な人・得意な人がたくさんいたってだけ、という見方もできる。または、周りの人が私の出来具合に満足しなかったから「不器用なのね」と言われただけ、かもしれない。
日本の編み物の本も少し見てみたが、日本語の編み物の本たちは「積み上げる」のが大好きだった。道具の名前、編み物用語や編み図の読み方。順番に、事細かに積み上げ、後に進めば何らかの作品ができる。でも、そこにたどり着くまでには、覚えるべきことを覚え、身につけなければつくれない。
編み物に限らず、日本では学習において基礎ができていなければ次に進めない(進んではいけない)、という空気感がある気がする。
こういう学校的な学び方は自分にはあっていなかったのだと、今更ながら知った。
手芸だけでなく、私はお菓子づくりにも苦手意識があった。
日本のレシピを見ると、全ての材料を細かく計ったり(=はかりが必要)混ぜ方が細かく指示してあったりして、素晴らしい。実際その通りにつくれば、絶対に繊細でおいしいものができるのは知っている。
しかし細かいことが苦手な私は、それだけでやる気をなくす。というか、そこまでしてつくる気にならないというのが本音。
その点、ノルウェーのお菓子のレシピは天才的だった。(多分、他の国もだけど)
バター 150g、ドーン!
小麦粉 5dl、ドーン!
砂糖 4.5dl、ドーン!
卵 6個、ドーン!
…みたいな、順番こそあれど基本的に混ぜるだけ、あとはオーブンで焼くだけ!
粉をふるいにかけるとか、しない。
もちろんもっと細かく調理するお菓子も存在するが、割とこういうノリが多い。
バターを買うと包装紙にメモリでグラムが表示してあるので、必要な分を切るだけ!つまり、はかりで計る必要はない。必要なのは、計量カップのみ。
↑基本、ミリリットルよりはデシリットル表示。
なんだ、私にだってお菓子つくれるんじゃん。
今まで面倒くさすぎてやっていなかっただけだけど、できないわけじゃないし、自分に合った方法を知らなかっただけだったんだ。
知らなかっただけ。思い込みが外れていなかっただけ。他の人から見れば、そういう視点もあったってだけ。
だから私は、事あるごとに So what と静かに心の中でつぶやく。
「だから何なの」と言葉はぶっきらぼうではあるけれど、今までがこうだったからって何かを決めつけなくていい。そういう意味。
ノルウェーに来て、何度心の中でこう唱えただろう...?
編み物やお菓子だけでなく、様々な場面で挑戦に向かわせてくれた。
勝手にワーホリ卒業制作
というわけで、この1年間の思い出として、ノルウェーでの挑戦の証として、自分のワーホリ卒業制作を始めることにした。
自らに課した課題は、ノルウェー語のレシピでセーターを編むこと!
たまたま気に入った毛糸をたくさん手に入れることができたから、いきなりセーターが課題になっただけだけど。
セーターはおばあちゃんになるまでの目標!だったはずの私だけど、編み物を始めて初めてのセーター、しかもノルウェー語のレシピで挑戦することにした。
私が探し出したレシピのサイトがデンマーク発祥のサイトで、サイトは英語を含むヨーロッパの多数の言語対応、ただし私が挑戦したいレシピはノルウェー語のみ、なのにサイトに載っているYouTubeビデオはデンマーク語(笑)
こちらがサイト→ https://www.petiteknit.com/products/novise-genser?variant=12766673895479
よくわからないながら、レシピ(有料、サイトからデンマーククローネで買える)を注意深く読み、デンマーク語のビデオを追い、今のところ形になってきているように思う。
さてさて、私は日本に帰るまでにセーターを編みあげることができるだろうか…?! 🙃
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