独立リーグを「夢を諦める場所」にしたくない。
とある独立リーグ球団のファンクラブ会員募集のお知らせの画像に添えてあったキャッチコピー。
「選手が夢を実現し、夢を諦める場所を創る」
おそらく球団としてのスタンスなのかもしれませんが(そうだったとしても、この文言はどうかと感じますが)、これをファンクラブ会員募集のキャッチコピーとして使ってしまったのは少し残念だなと感じました。
「(独立リーグは)夢を諦める場所」
独立リーグ周辺では、定期的にこの文言が流れます。誰が最初に言ったのか、それは5〜6年しかこの世界を見ていない私にはまったく分かりません。
ですが、私が独立リーグという世界をちゃんと知るようになった当時、友人からこの言葉を聞いたことがあります。
その当時から当たり前のように使う人は少なからずいたので、かつては私もその言葉を使ったことがあります。しかし、心の奥底で引っかかるものはありました。
もし本当に「夢を諦める場所」だとしたら、選手は最初から諦めた気持ちでチームにいるのだろうか?
きっと、そんなことはないです。
「夢」は大なり小なり存在します。言い換えれば「目標」でしょうか、それらを最初から「叶わないもの」と決めつけているなら、そもそも独立リーグの球団に入ろうとは思わないのではないでしょうか。
おそらくこの言葉は「NPBという非常に大きな夢・目標を掲げる選手」という限定的な部分で発生したのかなと推測しています。
実際、独立リーグからNPBにドラフト指名される選手は毎年ほんの一握り。大半の選手がこの夢に挑み、夢を掴む者もいれば、夢破れてチームを去る者もいらっしゃいます。
独立リーグ自体、環境が過酷という部分もクローズアップされやすいです。実際給料はNPBと比べればかなり安いですから、その中でNPBという大きな夢を追いかけ、叶う者は苦労人と称され、破れた者は悲劇のヒーローのように囃し立てられることもあります。
こう書いてしまうと、結果的には「夢を実現する場所」であり「夢を諦める場所」であることに間違いはないのかもしれません。
でもそれはあくまで結果であって、(「夢を諦める場所」に関しては)最初から公式が決めつけるものではないのかなと思っています。
今年のレギュラーシーズンすら始まっていない段階で、マイナスイメージをいきなり植え付けるのはどうなのだろう、とも思います。
今現在独立リーグの数も球団の数も私がちゃんと知るようになった当時と比べると変わっていき、ガラパゴス化してきております。
NPBへの輩出をメインに据えるリーグや球団だけではなく、NPB云々なんて関係なくいろんな目標や野望が入り乱れるリーグや球団もあるのではないでしょうか。
(私的には後者が独立リーグの本質かな、と考えてますが、その話は長くなるので今回は割愛)
たとえば「大好きな野球をこれからも、1日でも長く続けたいのでこの球団に入りました!」という選手がいたとします。長く野球を続けたい…これだって立派な夢であり目標です。
本当に「夢を諦める場所」だとしたら、球団がその夢すら諦めさせようとするのでしょうか? 極論かもしれませんが、そういうことなのです。
(そもそも球団にそんな強制力なんてないとは思いますが)
そう考えると、球団のスタンスだったとしても、ファンクラブの方針だったとしても、使うべき言葉ではなかったのかなと考えざるをえません。
あくまで憶測ですが、先述したように定期的に流れてくる文言だったから、馴染みがあると思い使いたくなったのかもしれません。
私にとって独立リーグは「夢や目標に向かって、全力でやり切る場」であってほしいと願っています。
さまざまな夢や目標をどのように達成するかは、選手自身が考えて導き出すもの。でもその環境自体は、リーグや球団がしっかりと整えてほしいです。
私が過去に見届けてきた独立リーガーたちの中には、NPBという大きい目標を立てた方もいらっしゃいました。叶わなかった人もいましたが、それでも「やりきれた」と清々しい表情でチームを去り、次のステージに進んでいった人もいます。
そんな彼らの勇姿を見ると、マイナスイメージを先行させたくないな、と感じてしまいます。
こういった気持ちは、私の「推し」である元独立リーガーの近藤俊太郎さんの現役引退時のnoteを読んでさらに強くなりました。
近藤さんは独立リーグが抱くマイナス面がクローズアップされやすい状況に疑問を抱き、もっとプラス面を見せていきたいと思われておりました。現役時代、ファンの前では前向きな姿勢を見せ続け、その前向きさは今でも彼の活動に影響を与えております。
こういった意識はどの選手も持っていただきたい部分であり、できるなら球団単位で…いや、リーグ単位で見せていけるように取り組んでほしいですね。
綺麗事なのかもしれないけど、独立リーグという世界が、夢や目標に対して後ろ向きになるようなイメージはこれ以上ついてほしくないなと願うばかりです。
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