午前6:40

あの時間、あの場所にあった風景を思い出すことがある。小学校の登下校、水泳終わりのセブンティーンアイス、高校までの坂道、初めて東京に来た時のネオン看板、、、。


今日、バイトを辞める。
この風景もまた思い出の一つになっていくんだ。

午前6:40

バイトの日に家を出る時間。

この時間が1番好き。

朝露に濡れたサドルを拭いて自転車にまたがる。
ひと気のない早稲田通りで感じる風は肌寒くもどこか心地いい。
バイト先までのいつものあの道。
いつも出会うあの人もその人も含めたあの風景。


家の前を掃除しているおばあさん
足の悪い犬を連れたおじいさん
朝練に行く高校生
仕事に向かう車を待つ土木作業員
公園の花に水をやるおばさん

みんなの今日が始まる。
みんな、ただ、この瞬間の風景を何気なく感じ、今日という1日を踏み出す。

明日からはこの時間にこの道を通ることはなくて、この風景に僕はいなくなる。  

僕は明日、別の風景の一部になっていく。

みんなの日常は続いてく。



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