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マレフィセントと王子様のキス

由香、往復書簡の時間がだいぶ空いてしまってごめんね。
今日はどうしても書きたいことができてしまった。

ちょっと前に初めてマレフィセントを観たの、Netflixで。2じゃなくて最初の方ね、今更だけど笑。
それでディズニー映画の進化を思い知って、由香に話したくなっちゃった。

由香はもうとっくに観てるかな?
わたしはディズニー映画って子供向け、そしてものすごくマス向けのイメージがあって、大人になってからは全然観てなかったの。
アナ雪もようやく去年初めて観た(こっちも1の方ね笑)。

マレフィセントもアナ雪と同じ型のストーリーなんだよね。
マレフィセントは「眠れる森の美女」に登場する悪い魔女。アナ雪のエルサも氷の女王だし、両者ともこれまでのおとぎ話だったら悪役だった、心を閉ざして周囲の人々を傷つけるヒロイン。
そして、ヒロインの心を溶かすのは異性の恋人ではなくて、同性の妹であり、血の繋がりもない娘的な存在であり、というところが新鮮で今の時代らしいポイント。

マレフィセントは実写だったこともあって、この型がすごくすんなり頭に入ってきた感じ。
それにマレフィセントでは、彼女が傷ついたきっかけとして、恋人に裏切られ肉体的にも傷つけられたことが、描かれていて。
そしてそれ以来、「真実の愛」を信じられなくなってしまったマレフィセントは、憎むべき元恋人=王の娘に呪いをかける。「娘は16歳の前日に永遠の眠りにつくだろう、真実の愛のキスを受けない限り…」という呪いは、恋人にひどく裏切られた彼女が真実の愛を信じていないからこそ、かけたもの。

もとの眠れる森の美女のストーリーだったらクライマックスであるべき、王子が眠っている姫にキスをするシーン、実写だからすごく違和感が伝わってきたの。
一度会ってちょっと言葉を交わしただけの相手(お互いに好感は持ったけれど)が真実の愛って言えるの? 現代の私たちは当然そう思うよね。そんなちょっと会っただけの男女が真実の愛なの?真実の愛ってそんな軽いの?って。
物語も私たちが感じる通り進み、王子のキスでは姫は目覚めない。

そして姫が目覚めるのは、心から姫のことを案じて、呪いをかけた後悔に苛まれていたマレフィセントのキスによってだった。
ここはすごく感動的だった。

私たちが知っている物語では、女の子を救うのは男の子で、その人が運命の恋愛相手だった、いつでも。
これが物語の定型で、私たちはおとぎ話でも、りぼんの漫画でも、トレンディドラマでも、そういうものを受け取り続けてきたよね。

もちろんそのアンチテーゼとして、これまでも男女愛以外の人間の愛を描いた小説も映画もきっといろいろあったと思う。

でも、お姫様と王子様の物語の基本の基本であるディズニー映画が、定型を大きく裏切って、男女の愛じゃなくたって、恋愛関係じゃなくたって、真実の愛なんだってメッセージをどーんと出したのに私はやられました。

このお砂糖ひとさじも、女の子のための世界観を追求したいと思っているけど、男の人じゃなくて女の子の友達とのほうが分かり合えるってことは、普段もほんとに多くて。
男女の恋愛もとても素敵だけど、女子だけの世界もとっても楽しくてロマンティックなんだよって思ってる!

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