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「成功とは何か?」ダライ・ラマの回答が面白い!

成功とは何か…。ここ数年、常に考えていた。社会一般が考える成功とは、「成功=お金」だと思う。だけど、それが何故か私にはいつもしっくりこなかった。

小学生の頃、私の母は自営業で儲けていた。役場の税務課で働く近所のおばさんに、「あなたのお母さんは、町で一番税金を納めていた事もあったのよ。」と言われた程だ。考えられない。母が幸せそうにしているのを見た事がないし、常に仕事に追われている女性だった。運動会のお弁当も作れない人だ。「お金持ち」って幸せじゃないのか?

20代後半、ボストンに来た一年目、私はキッズ向けのエンターテイメントの会社に勤めていた。その上司も自営業で成功していて、高い車や海辺に大きな家を持っていた。でも私は、一緒にいる内にいろんなことに気がつき始めた。彼女の状況は、私の母と似ていた。

夫婦喧嘩をよくする
友達が少ない
朝ごはんや夜ご飯を作れない
家族と一緒に食べれない
子どもとよく口論になる
社員が辞めていく
自分のための時間がない
趣味がない
お金はあるのに、常に心がお金に縛られている
貧しい家庭の出身である

その上司は、毎回「週末は何をしたの?休暇はどこへ行ったの?」と私に聞くたびに、とても切ない顔をする人だった。私は常に母とは逆の人生を歩むように心がけてきたから、その上司とも全く反対の生活をしているのだ。

私の日常と言えば、旦那さんが朝食を作ってくれ、美味しい紅茶を飲み、夜は一緒にご飯を作って食事をする。休暇は、日本へ帰ったり、海外に行く。

日々、部下や家族に嫌われる上司、彼女の空回りする姿を見ていて、わたしの昔の母を思い出した...。

「お金=幸せ」
「お金=成功」...ではないと思う。

なぜ「成功者」という言葉を人が口にする時、必ずお金やビジネスのことを指すのだろうか。

みんなの考え

私の旦那は、科学の研究をしているので、うちに集まるのは、わたしの友人のアーティストや科学者になることが多い。その日もMITの生物学者が2名、ハーバードの脳科学者が3名、私を含めるアーティストが3名の計8人で飲んでいた。私が、みんなに上司の話をした。

「私の上司がさ、とてもかわいそうなんだ…。地位や、車や、家があっても、家族や社員たちとの関係は崩壊寸前なんだよね。幸せってなんだろうね?心はボロボロに引き裂かれていても、お金があるから『成功している』と言われている。不思議だね。私たちは一体何を追いかけているんだろうね。」

その後、2時間ほど幸せについてジョークを混じえながら、そして真剣な話もしながら話し合った。友だちの細胞学者は、こう話していた。

「隣の研究所の先生なんだけどさ、論文の出るペースが半端ないんだ!Nature(ネイチャー)に何度も載ったりして、凄くキレる先生なんだよね。MITで教授として終身在職権を得るのはとても難しいのに、それも最近取得したんだよ。仕事でものすごく成功している先生なんだけどさ、最近奥さんから離婚を言い渡されて、研究所の生徒や研究員たちも彼のせいで鬱になったりして、皆んなどんどん辞めていくんだよね。僕たち研究者みんなが欲しいがっている地位や名誉、才能の全てを持っているっていうのにね。この先生とは俺もエレベーターで一緒になりたくないよ〜。笑」

おしゃべりをしながら、あっという間に2時間は過ぎたけど、結論は、20代から40代の学者やアーティストも「成功」とは何か、はっきりした答えがわからないということだった。

ダライ・ラマの「成功」に関する回答

私は、ダライ・ラマのインタビューを聞くのが好きだ。ダライ・ラマって、あんなに哲学的なことを話すのに、持ち前のユーモアで空気を柔らかくする。なんか、こんなおじいちゃん沖縄によくいるなー。なんて思う。(笑)名前は、城間のオジィとか、金城のオジィでも全然似合うじゃないだろうか。

ダライ・ラマの成功についての短いインタビューに私は目から鱗状態だったので、ここでシェアしたい。

**記者:「この世で過ごしたご自分の時間は、成功だったと思いますか?」

ダライ・ラマ:「相対的だね。(場合によるね。)ある分野では、成功しているかもしれない、けれど、ある分野では成功していないこともある。全ての人の人生はそういうものですよ。1つの事をみて、『あの人は成功者だ。』『あの人は、落ちこぼれだ。』と言うのは間違っている。物事は、相対的なものですよ。」

TIMES 記者 **
3:40秒から https://www.youtube.com/watch?v=Z7tSZUwwiFw

ハーバードや、MITの研究者、クリエイティブなアーティスト達が2時間かけても答えられなかった質問を、ダライ・ラマは数秒で回答した。そして、そのインタビューを見てから2年経った今も、私は、ダライ・ラマの回答がしっくりくる。

私の母は、「ビジネス」や「地域貢献」などでは成功したが、「夫婦」、「母親」、「自己投資」などの面では落第生だった。私の元上司も同じくそうだ。ビジネスで成功したら、「次に自分が取り組むべき面は何だろうか?家族?自分の健康管理?」と自分に聞くことの大切さ。幸せや成功は、お金だけではないということ。それに気づけたら、母も元上司も、もっと豊かで、ストレスフリーな人生を歩めたんじゃなかなと思う。

リサ・ニコルス(Lisa Nicols)の考え

以前、リサ・ニコルスの演説を見ながら、「ダライ・ラマと同じ考えだな。」と感じた。

リサ・ニコルスは、30代の頃、旦那さんからDVを受け、生まれたばかりの子どもを抱えたホームレスだった。現在彼女は、黒人女性として初めて、ニューヨークのWall Streetに事務所を持つプロの演説家、ライフコーチになった。

確か私が見たのはGoogleの会社で行われた彼女の演説だったと思う。

「1つの分野で成功したら、自分の開拓するべき他の分野に移るのよ。私は、ビジネスで成功した。そのために必死で勉強した。周りで成功した人がいたら『無料で働きますから、教えてください。』と言って、教えてもらったわ。ビジネスが成功し始めたら、今度は、息子との関係に力を入れた。私の大切な存在である息子に、『ママとあなたとの関係をもっと良くしたいの。どうしたらいいと思う。』と聞いたの。すると息子は、『お母さんは、ほとんど家に居ないから、お母さんの出張先に僕も一緒に付いて行きたい。もっとお母さんと一緒にいたい。』と話してくれたわ。だから、その週、すぐに学校に出向いて、『出張先から宿題や課題を全部郵送します。ですから、息子にホームスクール生として単位を与えてください。』と言って頼み込んだの。そんな例は今までないと言われても頼み続けたわ。先生の許可をもらって、息子と過ごせた時間は、今ではすっかり大人になった息子と私の関係を今でも良いものにしているわ。人生の一つの面が上手く行けば、今度は他に改善できる面はないか自分を見直してみる。書き出してみる。それを忘れないでね。息子もだいぶ大きくなったころ、私の次に改善したいことは『健康』だった。これについてもたくさんの努力と勉強をしたわ。ダイエットを初めて、今では、以前の体重から25kgも痩せました。.... 続」

良く心理学で目にするマズローの欲求の図があるけど、幸せや成功はピラミッド型ではなく横一列の図になるんだろうなと思う。どれが先に来るべきかなどはきっとない。

参照サイト: https://jibun-compass.com/maslow

お金/ 健康/ 家族、友人/ 仕事、キャリア/ 自己投資、教養/ 社会貢献/ 趣味、自分の時間 など、など、

きっと成功や幸せな人生って、バランスが大事。

「健康よりお金が大事」、「お金より健康が大事」なんて比べるのは難しい。ピラミッドや、優先順位をつけて考えるのではなく、横一線で、自分の満たされていること、もう少し頑張りたいところを把握する。バランスの取れた人生って素敵だと思う。

「成功とは何か?」について自分なりに理解するのには、人によっては何年もかかる。もしくは、毎日の生活に追われて、一生気づかない人もいるかもしれない。

ダライ・ラマが言ったように、一つの面で成功している人は、違う面では劣っているかもしれない。それが人間、それが普通。

自分のプライドを捨てて、自分の開拓したい面は、その分野で成功している人に思いっきり教わったらいい。そして、自分がすでに成功しているものがあれば、惜しみなく知りたいという人に教えてあげたらいい。

みんなが自分の人生のいろんな分野で成功して、幸せな毎日を送れますように。

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