β-93 AC 2020 その1

ここでは、ACジャパンの2020年度キャンペーンの全国キャンペーンについて、様々感じたことを列挙していきたいと思います。

地域キャンペーンについてはその2、支援キャンペーンはその3、NHK共同キャンペーン、広告学生賞についてはその4でお送りしますので、悪しからず。

それぞれ以下もご参考までに。

さて、毎年7月に刷新されるACジャパンの公共広告キャンペーン。

今年は、全国キャンペーンの「おむすびころりん、1億個」が、7月中旬になるまで、完全に完成しないなど、やはり制作の現場にまで影響が出てたんだなと察するほかない状況下でしたが、それでも無事に全作完成したことに関して、大変お疲れ様でしたと初めに頭を下げつつ、それぞれの分析をしていこうかなという運びとなりました。

このためにnoteを始めたのか・・・と言われても、そうじゃないんだけどねと言いたいけれど、発表する場はここのほうがいいかなと考えました。

ただ、それだけのこと。

うだうだ言わず、早速始めてまいります。

それぞれの広告キャンペーンには公式サイトへ飛ぶURLを埋め込んでおりますので、気になった方は、そちらにアクセスをどうぞよろしくお願いします。

広告作品のタイトルの下にURLを埋めていますので、そこからアクセスを。

ACジャパン 2020年の事業計画

公開資料に基づいて、様々に着目してまいります。

詳しくはこちらから。

1971年7月に大阪で発足した関西公共広告機構、これがACジャパンの前身ですが、それから来年の2021年で満50年を迎えることとなります。

そのため2020年度キャンペーンは今までのキャンペーンを振り返りつつ、未来に向けての課題なども入れ込んだらしいけれど、実際は果たしてどうなんだろうかというところではないかな。

全体的には、そういう感想を持ってます。

2020年度全国キャンペーン

まずは、全国キャンペーンです。

ここ数年は2作品ですね。

今年は、自由テーマに基づいた作品と、未来に向けた作品の2作品。

前年までは「2020年に向け、日本を考えよう」という名のもとに、世界から見た日本、日本人、そして日本人から見た外国人といった視点から2016年から4年にわたって行われてきました。

オリンピック・パラリンピックが開催されるにあたって行われてきたキャンペーンですが、その2020年がこうした状況になることは、予想だにしなかったことでしょう。

ただ、広告キャンペーンからしてみると、そうした影響はあんまり見られないかなという内容です。

では、それぞれ紹介していきましょう、各作品を。

なお、今年の臨時キャンペーンからスローガンは「企業のCSR活動」から「気づきを、動きへ。」に変わっており、サウンドロゴも再び休止して「ACジャパン」という男性ナレーションで締められて終わります。

それをあらかじめ、伝えておいてから。

テレビCMは60秒、ラジオCMは40秒、新聞広告は全面ですが、テレビCMの場合は15秒や30秒、新聞広告はたいていの場合は縮小傾向かな。

それでは、始めてまいります。

見えないフリ

JR西日本コミュニケーションズが制作した2020年度の自由テーマです。

何から"見えないフリ"をしているのか、それは"児童虐待"です。

目撃しても、目を背けてしまう方々に向けて、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」をプッシュして、連絡してほしい、通話料無料になったし、間違っていても構いませんのでというスタンスで展開されている広告です。

視力検査に映し出されてたのは、"児童虐待"の具体的な行為を示したもの。

シルエットに投影された絵を見て、「あっ」と思っても、なかなか次の行動に移せなかったり、「なかなか他の家のことに手を出すのは・・・」とためらいがちになりますが、児童相談所側も2019年12月3日に「189」のダイヤルを無料化したこともあって、気軽に通話できるように普及させようという目論見もあったのかもしれません。

私個人としては、そうした虐待の現場に居合わせたり目撃したりというケースはまだありません、ただもしかしたら、視力でいうと1.5や2.0に相当する虐待行為は見てしまっているのかもという認識こそはしていますが、「まずいな、こりゃ」と思ったら、ダイヤルしていかないといけないのかなと感じてしまいます。

でも、間違いでも構わないとはおっしゃってたけれど、実際その線引きの難しい行為に遭遇した場合は、判断には困ることもありそうだなと思わんばかり。

とはいえ、28年連続で増加傾向にあるこの問題。

目に見えるだけで約16万件、見えない例を数えると実はすぐそこで・・・ということもあると思うので、気づいたときは、迷わずという姿勢は崩してはいけないのかもしれません。

"児童虐待"に関する内容は、数年前に名古屋や北海道の地域キャンペーンで扱われてましたが、全国的なキャンペーンになったのは初めてかな。

ただね、「匿名でも構いません」という表記はもう少し大きくしたほうがよかったと思うし、テレビ・ラジオCMでは、尺の都合なのか伝えられていなかったのがね。

そこを強調すれば、より気軽に掛けやすくなるとは思ったんだけどね。

テレビCMでは、手話と文字テロップを出すことで、聴覚に支障のある方にもわかりやすい表現がなされているというのは、2018年度の全国キャンペーンから続いてるもので、本年度もこの作品で継続。

通話がしにくい方は、近くのひとにお願いしますという旨も告げられてましたね、主に新聞広告で。

ラジオはともかくテレビのほうには但し書きしてたほうが良かったのではないかなと感じております。

おむすびころりん、1億個

もうひとつの全国キャンペーンは、I&S BBDO制作の「未来のためにできること」に基づいたテーマです。

「おむすびころりん」は言わずもがな、有名な童話です。

童話をモチーフにした全国キャンペーンは、2017年度のインターネットの誹謗中傷をテーマにした「苦情殺到!桃太郎」以来ですかね、あの作品もおばあさんが桃を拾っただけで、不当に叩かれるという痛ましい作品でしたね。

今回もまた、おむすびが転がるシーンだけに着目して、"あること"を訴えかけています。

当然ながら、おむすびを始め、食べ物を地面に落っことしてしまうことは、3秒ルールでは食べられるという決まり手はあるかもしれませんが、そのほとんどが衛生的な観点で食べられなくなってしまいますね。

問題はころりんしてしまったおむすびではなく、その前段階。

おじいさんは、昼食におむすびを3個食べようとしたのですが、実際には2個で充分だった描写がなされています。

この余ったおむすび1個(110g)、それこそが1人当たり毎日捨てられている量に相当するという・・・。

そんなペースで食品廃棄物は排出され、最終的に年間約643万トンになる、これはまだ食べられるのに捨てられてしまう食品も含んでいるそうです。

食べきれる分だけ、買ったり作ったりしていますか?

と投げかけられた広告です。

おじいさんとナレーションは清水ミチコさんです。

そのため、コミカルに抵抗なく入ってきやすく、ただそれ故に、問題を問題としてしっかりと受け止められるかは甚だ疑問に残る部分もありますが・・・。

「2020年に向けて、日本を考えよう」のシリーズで英語も交えたテレビCM等が展開されましたが、今年はこちらの作品に引き継がれております。

"Advertising Council Japan"も一緒にね。

あと、映像に関しては、おじいさんがおむすびを転がしたのはたったの1個だったのに、どっからか転がってきたおむすびが無数に表れ始めた様子を見て、「この山は人口密度が多いんかな」と感じたのは余談。

その描写で食品ロスの問題を具象化したかったのだけど、些かシュールレアリスムな要素が強かった印象を受けました。

ともあれ、全国キャンぺーンはここまで。

その2(地域キャンペーン)に続きます。

あした・の・β<ベータ>でした。


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