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おみくじを引きまくった初詣

子供の頃、元旦は決まって家族と一緒に近所の神社に初詣に行っていた。

神様に手を合わせたり、お神酒を飲んだり、近所の人たちに新年の挨拶をしたり。

こんな事に一体何の意味があるんだ、と思いながらも渋々付いて行っていたが、そんな元旦にも唯一の楽しみがあった。

それがおみくじだ。

その年の運勢を占う重要なイベントだ。

当時の僕は「学問」とか「恋愛」とかそういった個別に書かれてある内容はどうでもよくて、とにかく「大吉」が欲しかった。

基本的に占いの類いは全く信じないのだが、大吉は「大当たり」という感覚でどちらかというとガチャの感覚に近かった。


ある年のことだ。

おみくじを引いたら出てきたのは「小吉」だった。

「えー、小吉とか一番面白くなかやん。まだ凶の方がよか。」

そう思った僕は何を血迷ったのか、お金を払わずにもう一枚おみくじを取り、人目の付かない場所に移動しておみくじを開いた。

「吉」

「いや要らんって。俺が欲しかとは大吉や」

そう思い、頭のおかしい僕はさらに3枚こっそり取って開いた。

「小吉」

「大吉」

「大吉」

「はいきたー!しかも2枚!これで満足!今年1年いい年になるばい!」

満足した僕は得意げな顔で、ご近所さんに挨拶している家族のもとへスッと戻った。

しかし、こっそりやっていたつもりだったが、一連の行動が神主さんに見られていたようで、こっぴどく怒られた。

「なんしよっとね!ちゃんとお金ば払ってから引かんばよ!」

その時の僕の心境。

「おいおい、話が違うやん!大吉引いたとに、何で怒られんばと!?」

ただのバカである。

結局、父親が4枚分払ってくれて、その後強めに怒られた。


一見愚行に見えるこの話。

しかし、実はこの行動は人生に投影できるのではないかと、今ふと思った。

何度も何度も挑戦して、当たりが出るまで引き続ける。

これが人生の正解なのではないか。

と、思った僕はまだバカのままなのかもしれない。

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