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Withコロナ時代の北海道ビジネス入門③「鬼滅の刃<無限列車>とカーボーイ」@新得町・ウェスタンビレッジサホロ

 ホーストレッキングを指導
  オンライン通話ではなく、どうしても直接会ってみたい人がいるものです。できればウイスキーを片手に焚火を囲みながら・・・。北海道上川郡新得町でウェスタンビレッジサホロを営むジャックさん(ウェスタンネーム)こと、及川正明さんもそうした人の一人です。馬の旅「初心者ホーストレッキング」を指導するジャックさんは長髪にカーボーイハットをかぶるウエスタンスタイル。「朝起きて窓の外を見ると、森の鳥のさえずりとともに鹿がすぐ近くにいる生活っていいもんだよ」。そう電話で話すジャックさんの語り口と生き方には人間的な温かさとふるさと愛を感じてしまいます。
 鹿、SL、大自然の中でのテレワーク夢想
  テレワークで都会のオフィスにしがみつかなくてもよくなったライフスタイルの変化により、大自然と動物に囲まれた在宅勤務は夢物語ではなくなりました。ウェスタンビレッジサホロでもテレワークができれば素敵だなと夢想してしまいます。
 ジャックさんは奥さんのチコさんが人気漫画「鬼滅の刃」の大ファンということでビレッジ内に置かれた既存のSL列車を作品の舞台に出てくる<無限列車>に見立てて6月から撮影スポットにしました。このことを十勝毎日新聞の記事で知り、ジャックさんの遊び心に「やはり」と思いました。
 世界ホラ吹き機構設立の“遊び心”
 ジャックさんを紹介してくれたのは私が卒業した北海道遠軽高校の同級生の渡辺喜代美さんです。私から見た当時の渡辺さんのイメージは「銀河鉄道999」のキャラクターであるメーテルのようで不思議な存在感がありました。その渡辺さんも帯広市の市議などを務め、とかち帯広YMCA運営委員長としてしっかりと十勝の地に根を張っています。
 渡辺さんによると、ジャックさんとの交流は35年前、「ホラで町おこし」を合い言葉に世界ホラ吹き機構を設立して一緒に活動したことにさかのぼるといいます。ホラを発表し、審査員が表彰するイベントは20年間ほど続き、十勝管内から九州の志布志市、宮古島、北海道の千歳市、根室市、倶知安町などでも開催されました。私も北海道で育ったので多少は分かりますが、厳しい自然の中で、自然と共存しながら楽しく生きていくには創意工夫と遊び心が大切だと思います。
 私はいくつかの点をジャックさんに聞いてみました。
――さまざまなイベントをしてきたのは何が原動力だったのでしょうか。
「自分の本質はプロセスが好きだということだと思います。イベントを企画し、人を集め、交流する。こうしたプロセスの中で別世界の新しい仲間と知り合い、新しい発見があることがとてもうれしい」
 コロナで体験観光に大打撃
 ――ウェスタンビレッジサホロもコロナの影響を受けましたか。
「馬の旅体験は本州の方がほとんどで9割を占めます。本格的な馬の旅体験はゴールデンウイークから始まりますが完璧に予約はありませんでした。その後6月もゼロで7月に入りぽつぽつと予約でしたが、また東京で感染確認数が多くなっていることでキャンセルが出てくると思います」
 ――地方の観光や経済についてどうお考えですか。
 「北海道の基幹産業は農業と観光ですね、道は外貨を稼ぐために躍起になって観光を推し進めてきました。我々の事業は体験観光ですから昨年までは多くの観光客が訪れて来てくれました、しかしコロナという被害を受けその影響の大きさには唖然とするばかりです。このような事態になって優先されるものは生活で企業が倒産したりまた縮小したりで多くの人が失業しています。こんな事態に体験観光も打撃を受けています。これからは我々の職業はどうあるべきか考えなくてはならないですね」
 「愛馬でスーパーに買い物に行く風景」が夢
――コロナでテレワークが進みました。ウェスタンビレッジサホロでテレワークができるようになればいいなと思いますが。
 「お客さまが来ての仕事です。まず、この町にテレワークのための住居を建設し、そこに移住してもらう。仕事の合間にわが牧場で乗馬をマスターして、その後、愛馬を購入していただき愛馬にまたがりスーパーに買い物に行く、そんな風景がこの新得町で過ごすライフスタイルになるようにしたいですね。これは夢です。ホラはうそを語るのではなく夢を語るものですから」

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