死ぬこと

今日ひとりの役者が死んだって
首吊り自殺だったらしいって
なぜそこは報道規制されなくて
あのファッションモデルだって
あのバンドのボーカルだって
未だ自殺したことになってなくて
なのに、なのにどうして？

4年前に友達カップルがいて、
ダンナがとある罪を犯して、
水元公園で首吊っちゃって
遺書にはヨメを守ってくれってかいてあって

だけど二年前のとある日にヨメがいなくなって、
警察も動いてくれなくて、
みんなで必死に探しまわって
でも…同じ木にぶら下がってて…
ダンナも、ダンナの意思も守ってやれなくて

今日の報道にひっぱられて、
頭が割れそうになって、
横になって目をつぶって
無になって寝ようとして
でも色んな文字がぐるぐるまわって
その文字が縄に変わって、
アイツもアイツも、あの子だって
首を吊ってるのが見えてきて、
涙があふれて、あふれて、

ひぼう、ちゅうしょう、
ひぼう、ちゅうしょう、
それが、原因だったとも見えて、
今、誹謗中傷の縄に捕らわれていて
沈んでるあの子を思い出して苦しくなって、
また涙があふれて、あふれて…
誹謗中傷の縄はからまって、
もがいても締め付けられて、
解けるまで時間がかかって、
どんなに声をかけたって、
僕の言葉の手は届かなくて、
また涙があふれて、あふれて、

気がつくと僕もぐるぐるして
言葉の縄に捕らわれて、
僕の涙で縄は溶かせなくて、
どんどんどんどん締め付けられて、
もがいてもがいて苦しんで、
口の中にも縄が入り込んで、
いきが、つまって、
いきが、つまって、
もうこのまま死んでしまって、
一人だから誰にも発見されなくて、
くちはてていってしまって、
黒い影になっていって、
デススイーパーに掃除されて、
何もなかったかのようになって…

そこで目が覚めて、
涙があふれて、あふれて…

また、目を、つぶった。