紫陽花と君
【写真で掌編小説】
「紫陽花と君」
私は雨が好きだ。
傘を弾く音も、ちょっと湿った匂いも、空気の冷たさも好きだった。
大抵の人は私を否定する。
雨のどこがいいの?と。
傘を差すのは面倒だし、気分も滅入るし、おまけに頭痛のタネにだってなる。
どこがいいのかがわからない。
そんな否定が大半だった。
だけど、君は唯一私を否定しなかった。
雨にも晴れにも楽しみ方がある、と。
君の楽しみ方が私の世界を変えた。
晴れの日には傘を差し、雨の日には草花を愛でた。
楽しみ方はそれぞれ自由で、他人の視線は無意味なんだと、教えてくれた。
そして月日を重ねると、出会いと別れがあるという事も知った。
いつの間にか君と私は別の場所で暮らし、それぞれに生活を積み重ねる。
私は雨が好きだ。
紫陽花が君の事を思い出させてくれるから。
終わり
写真から掌編小説でした!
十三作目です!雨も晴れも雪も、捉え方考え方次第で好きにも嫌いにもなるかもですね。頭痛のタネになるのは厄介なのですが!
素敵な写真をありがとうございました。
また、お会いできることを楽しみにしています♪
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