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Darjeeling Nouveau(2023)(ダージリンヌーボー (2023))―シンガポールにも春が来た。

 先日紅茶ブランドTWGのティーサロンに行くと、丁度数日前に入荷したばかりというダージリンのファーストフラッシュが棚に陳列されている。もう少し後かなと思っていただけに、嬉しい誤算だ。まだ先だと思っていたので、本当は違う茶葉を紹介するつもりで、記事を書いていた。しかし、もう春が来ているなら紹介する他ない。今回はDarjeeling Nouveau(2023)を取りあげる。

 蓋を開けると、大き目の茶葉が顔を出す。最近アフリカやパプアニューギニア等の細かいものを主に飲んでいただけに、葉の形がしっかりとしているのを見るだけで、少しワクワクする。ちなみに店員によると、ダージリンのファーストフラッシュでつまれる茶葉は、1月頃に芽を出し、2~3月頃に収穫されるようだ。新芽ばかりが入った、柔らかなお茶だと言えるだろう。香りは緑茶を彷彿とさせるようなすっきりとしたもので、吸い込むだけで春を感じられる。
 飲んでみると、やはり爽やかな渋みがあり緑茶に似ている。色も薄いため、初めて見ると「注文したのは紅茶なんですが……」と言いたくなるレベルだと思うが、それがファーストフラッシュだ。
 飲み方としては、ストレート一択だ。レモンやミルクは合う合わない以前に、繊細な個性を壊してしまうと推測する。

 マリアージュを考える場合、店員によると「スイーツをメインに考えたら良いですよ」とのアドバイスをもらった。恐らくこれは、食事にも応用できると思われるので、基本的に紅茶をサブと捉えたら良いようだ。ただ、折角のダージリンなので、あまり料理や菓子が勝ちすぎるような組み合わせは避けたい。
 食事と合わせる際は、基本的に何でも良いはずだが、厚切りベーコンやソーセージのようにあまりに濃厚な味わいだと紅茶が負けてしまう可能性があるため、その点だけは注意したい。個人的に合わせた中では、海老のビスク風味のフレンチトーストが良かった。作ったときは料理にDarjeeling Nouveau(2023)が負けるかもと思ったが、思ったよりもあっさりと仕上がったことで、良い相性に収まったようだ。
 スイーツの場合、店員はどれでも大丈夫と話していたが、個人的にはフルーツ由来の少し酸味の要素を持つタイプの方が、うまくかみ合うように思う。具体的にはブルーベリータルトや、マンゴーを使ったケーキなどだ。私は、レーズンの入ったスコーンと合わせてみた。バターの風味とレーズンの甘さが紅茶にぴったりで、良い一時になった。

 Darjeeling Nouveau(2023)は綺麗な紙箱に缶が入った状態で販売されており、ティーバッグは扱いがない。茶葉しかないため面倒に感じるかもしれないが、春の訪れをお茶で感じてみたいなら、ぜひ試してみて欲しい。また、Darjeeling Nouveau(2023)とは別に、農園ごとの茶葉も量り売りがあるので、色々な茶葉を楽しみたい人はそちらもぜひ手にしてみてはどうだろうか。

Darjeeling Nouveau(2023)の缶とケース

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