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デリケートゾーンケアで、明日のカラダを好きになる

デリケートゾーンケアで、明日のカラダを好きになる

海外では女性のスタンダードなお手入れとして習慣化しているデリケートゾーンケア。それに対して日本では、まだまだ広く浸透しているとは言い難い状況にあります。しかしながらデリケートゾーンも肌の一部。そう考えてみると、顔やボディと同じようにケアをすることは、とても自然に感じられるのではないでしょうか。かゆみや匂い、性交痛など、デリケートゾーンにまつわる悩みをかかえている女性は多いはず。デリケートゾーンをしっかりケアすれば、カラダにまつわるあらゆる不調が改善することも多いそうです。そこでナチュラルセルフケアコーディネーターの富田和美さんに、デリケートゾーンをはじめとするカラダケアのイロハをお伺いしました。


カラダや肌の不調の原因は「冷え」?

ーそもそもスキンケアはどうして必要なのでしょうか?

富田:みなさんも「肌を守るためにもスキンケアは大切なんだな」とはお分かりだと思うんです。とはいえ、スキンケアを怠ったからといって死んでしまうわけではないですよね。でも私は「スキンケアによって人生の質は左右される」と考えています。それくらい肌は大切なんですよ。

大概の方は「スキンケアは美容」という認識ですよね。カラダの表面が美しくなりますから、決して間違いではありません。ですが表面を美しく保つためには、まずカラダの内側が正しく働いていることが重要です。

カラダの内側というと食生活を意識されると思うのですが、現代を生きる私たちが毎日の食事をバランスよく摂取するのは、正直なかなか難しいじゃないですか。そこでスキンケアです。スキンケアには食べ物と同じくらい、カラダをサポートできる力があります。日常の食事のような感覚でスキンケアを捉えてみてください。特別なことではないですし、高価なアイテムを使ったからといって肌が綺麗になるほど単純なものでもありません。日々、自分のカラダや肌に触れ、その状態を理解できれば、コスメももっと上手に活用できますし、スキンケアそのものがとても面白くなりますよ。

ー肌荒れや吹き出物などは、なぜ起こってしまうのですか?

それは肌の内側と外側、両方の可能性が考えられます。例えば、食べ物や薬に含まれている添加物や重金属が体内に入り、きちんと解毒・排出されなかった場合、カラダのどこかしらに溜まってしまうんですね。それが内側から肌の刺激となり、表面に炎症を起こしたりする。同時に血液やリンパの流れが悪くなっている状態でもあります。

外側でいうと、大半は物理的なストレスなんですよ。分かりやすいのはお洋服。化繊の生地は肌にとって大きな刺激になります。カラダが動くたび、皮膚と化繊生地との間には3000ボルト以上もの静電気が発生するんですね。冬場にフリースなどを着るとバチッと静電気が起きる現象が分かりやすいと思います。これは、電磁波をずっと浴び続けているのと同じことで、細胞にねじれが生じてカラダが緊張した状態になります。カラダが緊張すると筋肉が萎縮する、筋肉が萎縮すると血行が悪くなる。その結果「冷え」を生じさせます。

もしショーツの生地が化繊だったら、デリケートゾーンもとてつもないダメージを受けていることは容易に想像できますね。

まとめると、内外に関わらず肌が刺激を受ければ、カラダが緊張して血液のスムーズな巡りが妨げられますから、どちらにしても冷えに繋がるわけです。

ーすべては冷えに繋がるのですね。冷えに悩む女性は多いように感じます。

富田:世代を問わず、どの女性もほぼほぼ冷えていると思います。現代を生きる女性は仕事に邁進されていたり、仕事と家事と育児に日々追われていたりと、自分以外のことにばかり目を向けざるを得ず、疲れていらっしゃる方がとても多い。だから若い世代の方でも冷え冷えなんです。でも、それに気がついていない方もたくさんいるんですよ。

全身が冷えているから、当然デリケートゾーンも冷えてしまう。デリケートゾーンには、骨盤内の臓器を支え、排尿や排便をコントロールする骨盤底筋があります。デリケートゾーンが冷えると骨盤底筋の衰えにも繋がりますし、結果、生理不順や生理痛、頭痛、肩こり、便秘などの原因にもなります。尿もれや膀胱炎もそう。最近は20代、30代でなる方も多いですね。

また、冷えると肌は乾燥しますから、デリケートゾーンが潤わなくなるケースがあります。皮膚そのものが柔らかさを失い、カチカチに硬くなってしまうので、最近お悩みの方が増えている性交痛の一因にもなるんですよ。パートナーとの大切なコミュニケーションが苦痛になるのは精神的なダメージも大きいですよね。

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簡単オイルケアで体質改善

ー冷えを解消するために、デリケートゾーンは日常的にどのようなケアをすればよいのでしょうか?

富田:まずはご自身のデリケートゾーンを自分の一部としてしっかり認識してほしいですね。可能なら鏡でじっくり見てみる。そして、直接触れてみる。どういうカタチをしていて、どこに穴があるのかなど、よく観察して知ることが初めの一歩です。

スキンケアは自分を知るためのもの。いまの自分がどんな状態で、どこに吹き出物が出ていて、どこがカサカサなのかなどを把握するために、自分の肌に触れるんです。デリケートゾーンもまったく同じ。自分のカラダですから、恥ずかしがることなく受け入れていきましょう。

それでは、具体的なケア方法についてお話しますね。

<デリケートゾーンケア>

(1)デリケートゾーンを洗う

デリケートゾーンの皮膚は、基本的に粘液によるうるおいと特有の常在菌叢で自浄作用が成り立っているため、過度な洗浄は禁物です。洗浄する際は、デリケートゾーンのうるおいと常在菌バランスを守る目的で作られた専用ソープを選んでください。一般的なボディソープでは洗浄力が高いため、常在菌バランスを崩し、雑菌が繁殖しやすくなることでさまざまなトラブルを引き起こす原因となります。洗い過ぎがニオイやかゆみの原因になることも多いんですよ。

(2)オイルで保湿する
保湿するためのオイルも、デリケートゾーンの環境を考えた処方の専用タイプがおすすめです。乾いている肌はオイルを吸い込みやすいので、最初の頃は少し多めに使ってみてください。肌が整ってくると徐々にうるおいと柔らかさを感じるようになると思いますので、自分の肌のコンディションに合わせて心地よいと思える量を調整していきましょう。

オイルは全体を優しくなでるように塗ってください。膣の中までオイルを塗布するのがベストですが、「まだそこまではできないな」という方は、オイルをたっぷり染み込ませたコットンを、パンティライナーを敷いたショーツの膣から肛門の位置に当ててそのまま就寝を。時間をかけて、オイルが膣内に沁み込んでいきます。

<全身のケア>
アーユルヴェーダには「アヴィヤンガ」と呼ばれる伝統的な全身のオイルトリートメント療法があります。これはデトックスとリラクゼーションが同時に得られるケア法ですが、ここでは実際に私が日頃行っている、自宅で簡単にできてアヴィヤンガと同じような効果が期待できる全身オイルケアの方法をお伝えしていきますね。

まずは、脱衣所もしくはあたためておいた浴室で、頭、顔、デリケートゾーン含むボディ全体にオイルを優しくなでるように擦り込み、そのまま湯船に入ります。リラックスしながら汗が出るまでお湯に浸かったら、湯舟の中でガーゼや手ぬぐいなどの柔らかい布を使い優しく拭います。塗布したオイルが肌表面の汚れを浮かせ、汗が出ることでクレンジングのような働きになりますので、ボディソープでカラダを洗わなくてOKです。お風呂上がりは生まれたての赤ちゃんのように、驚くほどカラダがしっとりしますよ。必要に応じて、その後の保湿もお忘れなく。

ー生理中や産前産後のデリケートゾーンも、同じようにケアをして問題ありませんか?

富田:生理が始まって3日目くらいまでは、ケアをお休みしてください。妊娠を望まれる方や妊娠中の方は、主治医にご相談の上、しっかりとデリケートゾーンケアをされることをおすすめします。オイルでの会陰マッサージは、出産時の会陰裂傷や会陰切開の予防だけでなく、産後の回復のサポートにもなります。産後は頑張って伸びた膣が緩んだ状態になりますので、元に戻すためにも潤いは必須。産後も様子を見ながらオイルケアを継続してみてください。万が一触れて痛みを感じる時は、オイルを染み込ませたコットンでお手当ケアを。生理中や産前産後に限らず、体調が優れない時や疲れている時、発熱時などは、無理をせずケアを控えてくださいね。


カラダに優しいアイテムと上手に付き合う

ーソープやオイルを選ぶ際のポイントを教えてください。

デリケートゾーンの経皮吸収率は、腕の内側を基準にその約42倍といわれています。膣内には、一般の皮膚でいう角質層はありませんので、粘膜で作られる粘液がバリアの要となります。つまり、極めてうるおいが求められるパーツなんですね。だからこそ、うるおいケアは絶対にしてほしい。

ただ、激しく経皮吸収するというデリケートゾーンの特徴は、体内に入ってほしくない成分も容易に吸収してしまうという危険を孕んでいるということも、同時に知っておいていただきたいです。

『明日 わたしは柿の木にのぼる』の「フェミニンウォッシュ」や「フェミニンオイル」をおすすめする理由も、ずばりここにあります。できる限りカラダに負担をかけない成分や処方にこだわりをもったアイテムを選択すること。石油系界面活性剤、防腐剤、鉱物油、合成着色料、合成香料などカラダにとってストレスとなる成分は避けて、植物由来成分で作られた極力シンプルな処方のアイテムを選びましょう。

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フェミニンウォッシュ350ml  フェミニンウォッシュ50ml

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フェミニンオイル 30ml


スキンケアアイテムは、私たちが健やかに生きるための強力なサポーターです。アイテムに頼りすぎるのではなく、食べるものや着るものと同じように、特性を知って上手に付き合ってこそ力を発揮してくれるんですね。だから第一に、自分のカラダや肌のことをくまなく知ることが重要なんです。


ースキンケアの概念を捉え直し、ケアをすることで、カラダ全体の調子が整いそうですね。

富田:その通りです。私たちのカラダにはたくさんの「窓」があることをご存知ですか? 私は、肌表面にある穴を「窓」と呼んでいるのですが、例えば、汗が出る穴の数は約300万個、皮脂が出る穴は約20万個と、個人差はありますがかなりたくさんあります。そして、女性の場合はそこに目、鼻、口、耳、尿道、膣、肛門という粘膜の穴が10個加わりますから、私たちのカラダにはおよそ320万10個の「窓」が存在することになります。

なぜこんなにも多くの「窓」があるかというと、体内でいらなくなった老廃物をどんどん外に出したいからなんですよね。老廃物を効率的に捨てるためには、老廃物を運ぶ血液やリンパ液が巡っていることが絶対条件。そして、「窓」はいつでも必要なときにバーンと開く状態であることが欠かせません。これはデリケートゾーンにも当てはまることで、もしも膣が乾燥してカチカチだと窓はスムーズに開きません。また、そういう方はカラダも冷えていると思います。いつなんどきも開く「窓」を手に入れるには、肌をしっとりふっくら柔らかくしておく。そうすればカラダの中に老廃物が溜まることはありません。

デリケートゾーンケアによって、生理痛の改善や経血量のコントロールも期待できるんですよ。膣が冷えて硬いと骨盤底筋の衰えにも繋がり、生理痛の原因にもなります。加えて血流が悪いために老廃物が溜まりやすい体質は、より多くの経血で外に出そう出そうとするため経血量が増えます。膣内があたたかくふっくらしていると、老廃物を溜めないカラダになりますから、生理の時も快適に過ごせるはずです。

デリケートゾーンは「秘部」と呼ばれるくらいですから、はじめのうちは触れることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。ですが、デリケートゾーンも皮膚の一部、それ以前にあなたの一部であることを忘れないでください。「自分の皮膚はこうなっているんだ」ということがわかれば、解決できることはいっぱいあります。そのために毎日触れて自分の状態を知ること。肌に寄り添えば、肌があなたのことをすべて教えてくれます。日頃から自分に意識を向けて、デリケートゾーンのスキンケアもぜひ楽しんでくださいね。

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富田和美(とみた かずみ)
ナチュラルセルフケアコーディネーター / ヒーリングサロン和草 オーナーセラピスト

外資系コスメブランド、日系コスメブランド、大手エステサロン等、25年以上に渡り美容業界に携わる中、30歳過ぎに経験した極度の肌荒れをきっかけに肌を活かすスキンケア知識を独自に探求。ホメオスタシスを重視するライフスタイルをコンセプトに、「うるおい」を主眼においたセルフケアとここちよく暮らす衣食住の提案を行っている。2015年にオープンしたフェイシャルリフレクソロジーサロン「ヒーリングサロン和草〜nico*gusa〜」での個人セッション、全国各地でのビューティーワークショップ、大手百貨店でのイベントディレクター等ヘルス&ビューティーライフを切り口にしたさまざまな活動を展開。スペインIR認定ソレンセン式フェイシャルリフレクソロジスト。
https://r.goope.jp/nico-gusa



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