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【14】大事なこと

小学1年生から小人が見えるようになったケイが、学校から帰ってくるたびに、その時の小人の様子を話してくれたのは、ほんの最初の1・2カ月だった。

その後は、見えるのが当たり前になりすぎて、本人は(もちろん相手側の小人たちも)その存在を全然気にせず、普通に暮らしていた。

私は、いつの間にか見えなくなってるんじゃ?と思って、まめに
「ケイ!今、小人何してる?」と質問した。
そのたびケイは少し、また?という顔をしながら、私に説明してくれた。

毎回、小人のしていることが本当に面白くて。

ある日
「ケイ。ママも小人見えたらいいのに。どうやったら見れるの?」
と聞いてみた。

すると一言
「リラックス」とケイは答えた。

「リラックスかぁ…結構、ママ、お昼はごろごろしたりゆっくりしてるんだけどねぇ~。」と言うと

「あ。ママ。リラックスとだらだらすることは全然違うから」
と言われた。

痛いところをつかれて、テンション下がった私を慰めるように

「違う違う。ごろごろも大事だよ?」と言って

「でも、リラックスというのとは違うんだ。
リラックスって…もっと内側のことなんだ。
なんていうか…
心に自分のエネルギーが満ちてるって感じ。
中心に安心があるというか…」

ふむふむ。
わかるような、わからないようなと聞いている私に

「もっと、国語力(語彙力)があればちゃんと説明できるんだけど。
ケイ。まだ子供だからさぁ。」

と言いながらも、できるだけ私に伝わるようにと、
ケイは言葉を選びながら、ゆっくり話を続けた。

「『気』だよ。ママ。
ママは、自分の『気』をまわりに使いすぎなんだ。
それは、『愛』として表現したくて使うんだろうけど…。
自分の心を満たす安心感の『愛・気』。えっと…
自分の。自分のための分まで使ってはよくないんだよ。」

母親ってそういうもんだからなぁと聞いていると

「『気』を『使う』じゃなく、
『気』は『配る』くらいにすればいいんだよ。
ママにとって、幸せなこと、自分が嬉しいこと、
楽でいれることをママがいーっぱいして。
たっくさんためて。
あまったら、それを配れるでしょ?」

気を使いすぎ。
これは、私にとってキーワードな気がした。
他人にも、きっと気付かないうちに勝手に使っていた。

少しわかったような私を感じたのか

「まずは。『気』を自分にたっぷりためて。
リラックスして過ごせるようになったら小人見えるよ♪」
と、ケイはなぐさめるように、にっこり笑った。


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