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サフィール踊り子の旅(後編)


サフィール踊り子の旅(中編)の続きになります。


ホテルに着いたらまずは温泉でしょ。

長男「オレ、行かね。部屋の風呂でいいや」

何ぃ!!!
そ、そ、そんな。
温泉、気持ちいいよ、どうしてよ?好きでしょう?と詰め寄る私を、夫が制す。
好きにさせてやろうよ。

長男を部屋に残して、夫・次男の男チームと、私ひとり女チーム(ひとりでもチーム)でホテル内の温泉に向かう。

どこか身体の具合でも悪いのかな?
これまでの旅行だと、温泉は大好きだったのに。
何回も入っていたじゃない?

夫にひそひそ話すと、
「もう中2だしね。恥ずかしかったり、面倒だったり、いろいろあるだろうよ。いいよ、好きにさせよう」

そうか、そうだね。
思春期だもの、一緒にお風呂は嫌だろうな。
こうやって家族旅行に来ているのだって、もしかしたら無理してるのかもしれない……。
いつまでも小さい頃と同じではない。 
時は流れているのだ。


宿泊日の夜ごはんは、ホテル内のレストランでだった。
宿泊者の年齢に応じて、宿泊プランにすでに組み込まれているコースもの。

小学5年生の次男の分は「子ども」のコースメニューがきた。

夫と私、中学生の長男は「大人」メニュー。(小学生までが子ども、中学生以上は大人で分けられている)

次男「ボクのごはんだけ子どもみたい」

この中の何かは食べられるだろうというレストランの気配りに満ちた構成。

「大人メニュー」は前菜、スープ、のようにひと皿ずつサーブされるのに対し「子どもメニュー」は一気にテーブルに並んだ。

私の「大人メニュー」から、お刺身盛り合わせを次男に提供。

次男のお皿のフライドポテトやソーセージを、長男が食べる。(唐揚げはボクに残して、と次男)

夫が「大人メニュー」のブイヤベースを次男と半分こする。
海老もイイダコも金目鯛も帆立も美味しい!
このスープ、ボク好きと笑顔。

次男の機嫌が完全になおったのは最後のデザートで、「子どもメニュー」はソフトクリームとフルーツ盛り合わせだったから。

「大人メニュー」はミニレアチーズケーキとヨーグルトアイス。

子ども扱いされたくない。

私にもそういう時期があった。
親戚の結婚式披露宴にて、小学生の私の前に式場の手違いで、大人用の食事が並んだ。
その時の嬉しさ、いまだに覚えている。


翌日の午前中、チェックアウトまでの自由時間。

ホテル内プールやホテル目の前にある海に、夫と次男と私で行った。
長男は部屋でゆっくり過ごしたいと言う。

お天気も良くて、海岸にはちらほらと人、家族連れ。

波打ち際には海藻が流れつき、のどかな風景。

ホテルに戻ろうとする途中、ご近所にお住まいと思われる数人のおじいちゃんグループが、

もう帰るのかー
まだ泳いで行きなー
と声をかけてきた。

旅の、こういう瞬間が好きだ。

次男は、見知らぬ年配の方々の突然の声かけにビクッとしていたけれど。

また来ますーと返事して会釈。
おじいちゃん達、お元気で。

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パラソルが並ぶ手前がプールで、奥に見えるブルーが海


いいお天気でした
ホテルのお庭。この日の午前中は快晴

帰路は再び「サフィール踊り子」に乗車。
乗車したのは「サフィール踊り子2号」で、伊豆急下田駅発、東京駅着。

今度は個室ではないが、どんな座席だろうと期待が高まる。

8号車の車内


運転席がガラス越しに見えました


JRのマークが入った椅子が素敵


東京駅で下車して、家族全員一致の感想は、

「今まで乗ったどの電車よりも快適」だった。

シートの座り心地が抜群に良い。

シートの傾きを微調整できるのだが、角度が絶妙に良い。

膝から下をのせられるレッグレスト(フットレストは足首から下で、これはレッグレストだそう)とても気持ちいい。足の疲れがとれる。

快適なレッグレスト(撮影協力、次男)

長時間電車に乗ると感じる、腰や背中の痛みがない。

シートの幅が広いからか、窮屈さがない。広々。

私達は8号車だったのだが、5号車は車椅子のお客様に適した車両で、通路も広くとってあり、車椅子で入れるトイレもある。

4枚の写真は全てサフィール踊り子のHPより


次男や私は乗車中に寝てしまったのだが、後で夫から聞いた話では、長男はスマホもいじらす、ずっと車窓からの景色を見ていたそうだ。

(長男)は本当に電車が好きなんだねと夫が言った。

「お母さん、サフィールは想像以上にすごかった。ありがとう」

帰宅してからの長男の言葉が嬉しい。

久しぶりの電車旅で感じたこと。

感染症対策。
子ども達の変化、成長。
海岸のおじいちゃん達。
シャトルバスにずっと手を振ってくれたホテルスタッフさん。
乗る人にやさしい車内設備。

あたたかい気持ちで満ちた思い出。

幸いなことに、旅行中も帰宅後も、家族に体調の変化ない。

またいつか、電車旅を。



お読みいただき、ありがとうございました。




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