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お母さんが出かけること

祝日の昨日、私は会いたかった友達と会ってきた。

ランチの後、お店をかえてのケーキと珈琲。

楽しい時間はあっという間に過ぎた。

6時前に帰宅すると、夫と子ども二人が「おかえりなさい」と笑顔で迎えてくれた。

台所や食卓には空になったお惣菜パックが散らばり、三人分のお箸と小皿とお茶碗。
ラー油が出ているから、お昼はたぶん餃子か?

おやつには、それぞれが好きなアイスを食べた形跡が残されていた。


休みの日に私がひとり、出かけること。

家庭によっては「それが何か?」なことだと思う。
我が家にとっては、ここにたどり着くまでの道のりにさまざまな思いがある。
子どもの年齢に応じて。
夫の変化に応じて。

子どもたちの年齢が小さな時、それは不可能に近かったし、たとえ実現したとしても、その結果、私自身がくたびれてヘトヘトになる大ごとだった。

「友達と会う」ためには、その日、子どもたちをみていてもらえるかの夫の都合を聞くことから始まる。

ここを突破出来たら、私の不在時間の準備と対策。

三人分の食事を用意し、それを食べるための食器を出し、温めるものはどのくらい温めるかメモを残し、子どもらの着替えも準備。

もし帰りが夜にかかるようであるなら、三人の寝る支度(布団やパジャマ)、お風呂の準備。

夜にかけて出かけるのは年3回くらい、ほとんどが昼間。
帰ってすぐ夕飯の時間というのもなかなかつらい。
なので、夜のごはんも昼のごはんと共に準備して出かける。

これらは子ども、夫に対してのことで、洗濯物を干し、掃除機をかけ、トイレを掃除し(ペーパーはたっぷりあるか?)風呂にすぐ入れるようにしておく。
翌日の朝ごはんの材料はあるかのチェック。

家を出るのが10時だとしたら、その日は早朝から起きて片っ端からやることを済ませる。

いざ出かける時には、既にくたびれていることが多かった。
目的地に向かって乗っている電車内で、あれ?メイクしてきたっけ?あー、ピアス忘れちゃったーだとか。

それでも私は、外で久しぶりに友達と会ったり、一人きりで出かけることが出来ると嬉しかったし、その機会をなるべく大切にしてきた。

母や夫の母の世代からしたら
「手のかかる子どもがいるのに、母親が遊びに出るなんて」
と思われるのだろう。
直接にではないが、それとなく言われたりもした。
「私の時とはちがうのね」

家の近所は高齢のおばあちゃん達が多いのだが、私が明らかに出かける格好で(近所のおつかいではない服装)一人で歩いていると

「子どもはどうしたの?」
「旦那さんは?」
と聞かれる。いまだに。
今日は家に居ます、私ひとりで出かけるのでというと

「へえ、そういう事ができるようになったのね。いってらっしゃい」
と言われる。


休みの日に私が出かけること。

本当のところ、家族がどう思っているかは分からないのだが、子どもたちや夫を見ているとその変化は年々感じる。

子どもが小さい時ほど大変だった。
帰宅後の家の荒れ果てようや、夫の不機嫌さや疲労度、子どもらの不満は大きかった。

たいてい彼らは、何かにぶーぶー文句を言い(私にはぶつけない)くたびれ果てて、いかに大変であったかを熱弁し、いつもより早くに寝てしまう。
化粧を落とし、アクセサリーを外していると、自分が何かわるいことでもしたような気持ちになってくる。

寝ている三人を起こさないよう、そっと静かに家のなかを片付けて、てんこ盛りになっている食器を洗う。

「こんなに大変なら出かけるのやめよう」と湧き上がる気持ちを見ないようにして、スポンジに洗剤をつける。

食器を洗いながら「ごめんね、お母さんが出かけちゃって」ではなくて、いつかこの気持ちは「ありがとう、楽しかったよ」に変わるから……と思い続けた。

子どもが大きくなってくると夫が

「外食に連れ出す」

という手段を思いつき、"男三人のお楽しみ"になった時期もある。

「お母さん、出かける前に大変だから何も用意しなくていいよ。オレ達で好きなもの買うから」

という提案も男性陣の方から出てきて、昨日はそうしてくれた。

願わくば食べ終わったものの始末(ゴミを捨てる、食器を洗う)までしておいてくれたら、踊り出すほど嬉しいのだが、まだ言ってない。
徐々に徐々に。
夫は年に2回くらい食器を洗うので、洗い方は知っているはず。子どもたちも。

「おかえりー!楽しかった?」

「お母さん、楽しかった?お母さんは今日お昼、何食べた?オレ達のお昼、餃子!!お父さんとオレ達で自転車で買いに行ってきたよ」

「ふたりともすごい量の餃子食べたよー。お店わかった?友達とちゃんと会えた?」

ありがとう、楽しかったよ、ありがとう。

こんな休みの日があることは、すごくいい。



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お読みいただきありがとうございました。

見出し画像は、みんなのフォトギャラリーからぷんぷんさんの作品をお借りしました。ありがとうございました。








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