爆弾処理兵 極限の記録【アジアンドキュメンタリーズ】
9月に入りまた新たな配信が始まったアジアンドキュメンタリーズ。新作のどれも魅力的だが予告編で圧倒的に引き込まれたのはこれだった。爆弾処理に命をかけた男"ファーケル大佐"の記録。
無造作にペンチで爆弾の線を切り落としていく、そして雑に扱われる爆弾。日本の爆弾処理によくあるイメージではどちらか一方の線を切り、間違えた線を切った場合爆発するというもの。実際はそんなハイテクではなくシンプルに起爆装置と線、そして爆弾が繋がっているだけだ。線を切れば無力化する爆弾。その扱いにこちらが肝を冷やす。
映画なんかでは、主人公が爆発するようなことが無いことが分かっている。サブキャラは失敗することもあるだろう。しかし、このドキュメンタリーの主役であるファーケル大佐は、いとも簡単に爆発に巻き込まれる。その様は、これが本当にノンフィクションなのか頭が追い付かない。そもそも、この映像を撮っているカメラマンも同じように爆発に巻き込まれている。カメラマンはどうなったのかそれは語られることが無い...映し出される映像の中で踏みしめる一歩一歩が恐ろしくてたまらない。爆発するだろうなというフラグや爆発しないという保証が全くないからだ。
爆弾を撤去し続けることで設置した側に恨まれ、命を狙われる。2度目の爆発はそのような輩の仕業なのかトラップに引っかかり爆破される。右足を吹き飛ばされ金属片が身体に突き刺さる瀕死の重傷。幾度となく爆発に巻き込まれてもそれでもまた戻りたいと願う。何がファーケル大佐をここまで突き動かすのかカメラマンがこの疑問を投げかけている。
『失敗したら自分一人の命が犠牲になるだけだが、成功すればたくさんの命が救われると信じている』
理解は出来る。でも、納得がいかない。こういう事に関しては、多分理屈じゃないんだと思う。だから何故というのはナンセンスだなと納得することを諦めた。
最後の最後まで、緊張しっぱなしの80分あっという間だった。爆弾処理の映像が流れるたび爆発するのでは?という疑心暗鬼にかけられドキドキが止まらなかった。
文字通り爆弾処理に命をかけた男の生き様。ぜひ観てほしい作品である。
では、きっと、またいつか
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