映画『トイ・ストーリー4』感想

『海獣の子供』評へ

 今年の下半期に公開される新作映画のうち、『JOKER』と並んで期待していたのが本作。
 というのも、おもちゃの一生を完璧に描き切った『3』のあとに、いったいどんな続きを用意してくるかと思ったら、出てきたのがフォーキーですよ!
 出自がおもちゃではない新キャラ。ちょっと、天才なんじゃないかと思ったほどです。
 ところが公開されるや、どうやら世間での評判は賛否両論。
 特に前作までのシリーズに思い入れの深いファンからの失望の声も多く聞かれ、ちょっと心配しつつ観にいってまいりました。

 予告

 ちなみに日本で最初に公開されたトレーラーがこれだったと記憶しているのですが、曲が昨年最恐のホラーとの呼び声も高い『ヘレディタリー/継承』のEDと同じだったため、一部シネフィルからは「まるでサバトのようだ」と言われる羽目に。
 それはともかく、全体の感想としては、問答無用の傑作である1~3ほどではないにしろ、間違いなく良作かと。
 ふつうシリーズが4作も続けば大抵の作品はグダグダしてくるのに、そういうものは一切感じられませんでした。
 同時に、シリーズ・ファンがどこに戸惑ったのかも、なんとなくわかった気がしました。
 否定的なファンはおそらく、本作に「おもちゃの世界」を見せてくれるのを期待したのではないか。
 ところが提示されたのは、よく言えば普遍的な、「人の世界」と変わらない苦悩に満ちたものだった。
 表現を変えれば、これまでの「子供に遊んでもらう」ことを至上とする信仰が失われてしまった、とでも言うべきか。
 現実の世界でも、信仰が力を失う中で人間の自由意志の問題が取り沙汰されるようになったことを思うと面白いかも。

 思い返せば、これまでのシリーズも実はかなりシビアな問題を取り扱っていたはずなので、ここはコレのメタファーだよね、といちいち考察するような観客からすれば、割と納得のいく流れだったのではないでしょうか。
 要するに、これまでのシリーズをファンタジーとしてとらえていたファンほどショックが大きかったのが本作と言えそう。

 個人的に残念だったのは、フォーキーの問題が割と早く解決してしまったこと。
 しかし、思い描いた通りの生き方ができないという問題はそのまま主人公のウッディや悪役のギャビー・ギャビーに引き継がれ、それぞれに違った答えを見出すラストは良かったと思います。
 また途中、念願の声を手に入れたギャビーの期待が打ち砕かれる展開は大好物でした。切ねえ!

                             ★★★★☆

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