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調布シネマフェス『空の大怪獣ラドン<4Kデジタルリマスター版>』上映イベント行ったよ


先日、調布シネマフェスティバルの『空の大怪獣ラドン<4Kデジタルリマスター版>』上映イベントに行ってきました。

上映後にトークイベントがあり三池敏夫さんと清水俊文さんが登壇。惜しまれながら閉所となった東京現像所が手掛けた4Kデジタルリマスターにまつわる貴重なお話を聞くことができました。

現存するRGBフィルムを参照して行われたリマスター作業について、それを手掛けたご本人から解説いただけるというまたとない機会に。

なんと旧DVD版と4K版の比較映像も上映され、68年前の初号試写時の色合いを復元するのをテーマにリマスターされた4K版の鮮やかさが一目瞭然。

というか、私も持っている旧DVD版の黄色がかった画面(経年劣化したフィルムを元にしているため)に唖然。これはぜひとも4K版のメディアを手元に置かなければ!という気持ちを強くしました。

そうそう、4K版を観るたびに感心するのが配色による画面デザインの巧みさです。東宝怪獣映画としては初のカラー作品、そして空をテーマにした作品ということで、画面上の基調カラーがブルー(スカイブルー)で一貫しています。

前半の炭鉱パートでは建物の窓枠はブルー、椅子のクッションもブルー、平田昭彦のスーツもブルーなら、冒頭のケンカシーンからして血の気が多い阿蘇の炭鉱マンが腰から下げている手拭いや弁当?の包みも鮮やかなスカイブルーが差し色として目を引く設計です。トンネルシーンが多い炭鉱パートでも暗い印象を払拭しつつ、空への意識を持続させるとともに、ひとりだけ花柄の衣装で登場するヒロインの存在を際立たせるねらいが見事というほかありません。

一転、空を見上げる構図が多くなる後半も色彩のコントロールが行き届いています。例えば、西海橋その他の群衆の服装にご注目。圧倒的多数の服装は白シャツ+ブルーのボトムスで、それ以外の赤などを身につけた人は数えるほどしかいません。ほかにも必然性をもって配置されたスカイブルーのアイテムは作中に多く登場します。ぜひ注目してご覧になってください。

それにしても本作は東宝初のカラー怪獣映画であり、本多猪四郎監督にとっても初めてのカラー作品だったはずです。

怪獣ファンの間で今でも語り草になっている、井上泰幸がリアルさにこだわり抜いたミニチュアワークと円谷英二が円熟の撮影技術を惜しげもなく総動員した特撮パートに比べると、初のカラー作品でこれほどデザインされた色彩のセンスを投入してきた本編班の仕事は、4K版が公開されるまでの間、それに見合った正しい評価さえもフィルムの経年劣化とともに失われていたように思えます。

★『空の大怪獣ラドン』二次創作、ラドンを追うことに情熱を燃やす女性ライターと、怪獣専門誌編集部のドタバタお仕事小説もよろしくお願いします。

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