【三題話】中国ではなぜ炊飯器の普及率が高いのか
本日のランダム単語ガチャによるお題はこちら。
リンク先の論文の孫引きになっちゃうんですが、中国アイリサーチ社の中国家電市場調査研究報告によると、2009年の段階で中国都市部100世帯当たりの炊飯器の普及数が107.35だったらしいんですね。1世帯に1つ以上ということで、炊飯器が2つ以上ある世帯もあるってことですね。
ちなみに同じ2009年の総務省の調査によると日本の自動炊飯器の普及台数は86.1*。一人暮らしだとない世帯もあると思うので、なんとなく感覚としてしっくりくる数値です。それにくらべると中国は都市部に限るとはいえ、20超と結構な差がありますよね(ちなみに日本は三大都市圏に限定すると84.4とむしろ普及台数が減ります)。
*1,000世帯あたりの普及台数の1/10
ちなみに他の耐久消費財では、冷蔵庫が中国106.84に対して日本117.5、電子レンジは中国57.18に対して日本99.9(いずれも2009年)と、日本のほうが普及が進んでいます。また自動車は2017年の数字でも日本は人口1億2680万人に対して自動車普及台数は7808万台なので61.6台/100人、中国は13.86億人に対して2億1560万台ということで15.6台/100人と結構な差で日本のほうが多いです。
*出所:JAMA、世界銀行
中国って、一人っ子政策の成果か世帯当たりの人数は2017年で3.03*と多くないですし、複数台の炊飯器がないと家族分が足りないということもまずないと思うんですよね。また南部はコメの文化だけれど北部は小麦中心の文化だったり、なんで日本人がギョウザとコメを一緒に食べるのか理解できないみたいな指摘もあったりして、全国的には日本人ほどコメに対する思い入れはないと思っていたんですよね。なのにこの普及台数。
*出所:中国統計年鑑
中国人は日本人以上にできたての料理を好むといいますが、そのことがいつでもご飯を手軽に炊くことができる炊飯器の普及率の高さと電子レンジの普及率の低さにつながっているのかもしれません。そういえば少し前によく言われていた「爆買い」では中国人観光客が秋葉原で炊飯器をお土産として購入している姿をよく見かけました。あんな大きいの持って帰るの大変なのでは、と多くの日本人は思ったものですが、それくらい炊飯器というかコメへの思い入れがあるということなのですね。マーケティングのためにはまず文化の理解から、といったところでしょうか。
どっとはらい。
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