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星野リゾートの強さ〜天才経営者 星野佳路のコロナへの動き〜

新型コロナウイルスが観光産業に大きな負の影響を与えている。緊急事態宣言を受け、国内旅行者は激減、オリンピックの延期によりインバウンドもほぼいなくなった。

そんな中、破綻した数々のリゾート施設を再生させ「リゾート再生請負人」と呼ばれる星野リゾート代表 星野佳路社長は、どのようにこの未曾有の難局を捉え、どのようにドライブしているのか?(以下、日経のインタビューより抜粋)

◯進むべき道を明確に示す

ふだんの星野リゾートは私も若い社員も対等に意見を言い合うフラットな会社です。しかしこうした大きな危機のときは別です。環境の変化を経営者がどう見ており、会社がどちらに進もうとしているのか。はっきり示すことで社員は安心できます。正しいか正しくないかではなく、示すことが大事なのです。

 マネジメント方法もいろいろあると思うが、いついかなる状況下でも同じ方法で貫き通す経営者もいるだろう。それも時にはいいかもしれないが、星野さんは意図的に使い分けている。通常時と有事の際で、変えているのだ。その理由は、おそらくスピード感を求めるケースか否かではないだろうか?時間をかけてじっくり合意形成をとりながら物事を進められる時は、社員との対話を重ね、民主主義的に舵を取っていく。しかし、今回のような有事の際には、最も重要なのはスピード感だ。正しいか正しくないかよりも、スピード感をもってすべてをジャッジしていかなくては、何もかも手遅れになる。それをしっかりわかった上で、マネジメントスタイルを使い分けているのだ。

◯社員の気持ちファースト

都市部のホテルで変調が始まった3月、私は新型ウイルスの情報を集め、その性質の把握に務めました。並行して自社の施設に足を運び、社員の声を聞くなど現状を点検しました。その結果、3月末の時点で「これは1カ月や2カ月で終わる話ではない」との結論に至りました。治療薬やワクチンの開発には1年から1年半はかかりそうです。私は「1年半後」をゴールとし、サバイバルするためのプランを立案。4月初め、社内に発表しました。
厳しい外出自粛で旅行需要は減るが感染者も減る。それを見て安心し自粛を緩めれば旅行客は戻るが感染者も再び増え、2度目の自粛が始まる。この自粛と緩和のサイクルを何度も繰り返しながら、全体としては旅行需要は少しずつ回復していき、ワクチン登場で一気に爆発するだろう。だから今年4月、5月の需要がボトム(底)になっても、永遠に続くわけではなく、慌てる必要はない――。
この見通しを発表したことで社内は落ち着きました。この18カ月間は前年同月比や月単位の黒字・赤字で業績を考えることもやめました。実際に4月、5月の売り上げは激減したのですが、われわれは「予想通りだね」と言いあうだけでバタバタせずに済みました悲観論に陥ることなく残り16カ月の復活プランに取り組むことができたのです。

 まず、このインタビュー記事から思うことは、社員のことを何よりも大事にされているんだなということだ。誰でもこの状況下では、不安になるものだ。特に観光産業は毎日のようにニュースで昨対◯割減など報道され、影響が深刻だ。そんな中、経営者として社員を安心させる一番の方法は、指針を出すことだと思う。この難局をどう捉え、いつどのように回復するのか(しないのか)を伝えること。そして、その予想に沿った具体的な施策を打ち出していくことだ。その指針があれば、社員は報道に一喜一憂することなく、日々の業務に邁進できるのである。

この指針を出せない経営者は多いだろう。

また、この指針を出すために、星野さんは様々な有識者と話すだけでなく、現場に足を運び、社員の生の声を聞いている。実際に起こっていることを直接自分の耳で目で確かめ、そこから判断することで、設定した指針に説得力と納得感が生まれる。

社員をみた経営は強い。なぜなら、すべてのサービス、プロダクトは人が生み出すものだからだ。それをしっかり理解し、行動に移し、発信できる経営者 星野佳路は、やはり天才経営者なのだと思う。

星野リゾートは強い。

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