レッテル

▶︎以前通っていた小学校へ戻った。応接室。小5の時と変わらぬ担任と再会し、挨拶をした。自分を見る担任の眼差しが強かったのを覚えている。兎にも角にも、慣れ親しんだ場所へ戻れたことはうれしかった、安心した。

▶︎授業の遅れを取り返すべく、マンツーマンで補講が行われた。時々、担任から生活について質問された。お父さんは何時に帰ってくるのか、ご飯はどうしてるのか。小学生の子供と父との二人暮らし、ということもあって、なにかと気にかけられていた。

▶︎帰宅後、父が仕事から帰ってくる迄の間は、外で遊んだり、アニメを見ていることが多かった。しばしば夜に、祖母から電話がかかってくる。心配している、という内容。担任からも電話がきた。次第にそれらをお節介に感じ、人を判別しては電話を切るようになった。すると、すぐまたかかってくる。電話に出るのが億劫になった。

▶︎担任からの電話を切ったり出なかったりすると、翌日学校で問い詰められる。話しかけられるのが嫌で、担任から逃げ回っていた。小5の時は好きだったのに、いつの間にか苦手な存在になっていた。自分は担任と話をしたくなかった。

▶︎遅刻の常習犯になっていた。ある日、学校の下駄箱から校内へ入る際、保健室の先生に呼び止められた。自分は教室へ直行したいのに、保健室へ招き入れられる。「精神科医おすすめの本」などと書かれた帯が巻かれている "詩集" を渡された、が興味がない。それ以来、保健室の窓から、自分の登校を見張られるようになり、遅刻をした日には、下駄箱で待ち伏せをされた。自分は、保健室の先生からも逃げるようになる。

◼️あとがき

以前の小学校に戻れた。昔のように、普通の学校生活を送ることを望んだ。が、全てが元通りになることはない。大人達は自分に "元不登校" というレッテルを貼って、特別視をする。そういう視線が、嫌で堪らなかった。