見出し画像

星色Tickets(ACT2)_SCENE15

※場所選択でヒロイン絞り込み⑦
すもも⑤→重要①&②で解放 
     住宅街・星と瑠奈が恭司を好いていると伝えるすもも
星⑤→重要①&②で解放 
   校舎裏・演技を建前に恭司の頬にキスする星
あげは⑤→重要①&②で解放 
     演劇サークル部室・お揃いの必勝お守りをもらう
小波①→恭司の家・いつだって小波が最優先の恭司

※以下、小波①シナリオ

//背景:恭司の家_朝

恭司「え、授業参観?」
小波「うん。まぁ小学生じゃないし、親御さんが来るって人はごく少数だけどね」
恭司「何時から?」
小波「十三時十五分。昼休み明けの五限目だよ」
恭司「そっか。……あ、今日も真夏日みたいだから水筒忘れないようにな」
小波「うん、わかった」
恭司「塩分タブレット鞄に入ってる?」
小波「昨日、お兄ちゃんに貰ったばかりだよ」
恭司「タオルも好きなだけ使っていいからな」
小波「お兄ちゃんの手間になるから最小限で済ませるよ」
恭司「あ、買いものも――」
小波「お兄ちゃん心配性すぎ! 早くモモ姉ちゃん起こしてきて!」
恭司「あ、ごめんな。じゃあ行ってくる」
小波「いってらっしゃい」

//SE:扉の閉まる音

小波「……お兄ちゃんも大概だけどわたしも変わんないなぁ」
小波「別に言う必要ないのに」

………。

……。

//背景:空き教室_昼

アリス「五限だけ中抜けしたいって……」
恭司「そこをなんとか!」

突き刺さる視線がひとつしかないことをいいことに、俺は最大の誠意を込めた土下座をする。

アリス「う~ん……ちなみに理由は?」
恭司「妹の授業参観に行くからです」
アリス「もう決定事項なんだ……」

小学生の頃は、母さんが仕事に忙殺されながらも授業参観に行く時間を確保していたが、中学生になってからは、小波が遠慮するので行かなくなった。

けど、俺にはわかる。小波が、本当は家族に来てもらいたいって思ってるんだって。

恭司「お願いします!」
アリス「う~ん……」
恭司「五限の現代文をサボらせてください!」
アリス「……はぁ。わかった」
恭司「っ! 先生……!」
アリス「その代わり、穴埋めで今度補習だからね。わかった?」
恭司「ありがとうございます!」

補習ひとつで小波の笑顔が買えるというのなら、安すぎるくらいだ。

アリス「……ほんと、妹想いなお兄ちゃん」

………。

……。

//背景:中学校の教室_昼

教師「……えー、じゃあここを……」
恭司「……(じぃ~)」
恭司「……岸本さん、お願いします」
小波「え、また?」
男子中学生1「はは、また当たってやんの~」
恭司「なんだアイツ。小波のことからかってんのか?」
すもも「こら。ガン飛ばすのはやめなはれ」

すももに手刀を見舞われて我に帰る。

俺が小波の授業参観に行く旨を明かしたら、なにやら危険を察知したような顔ですももは自分も同伴すると言い出した。俺、問題行動なんてしないんだけど。

小波「九十ページの三行目に書かれていることが選択肢3と符合するので、答えは3だと思います」
教師「うん、正解です。根拠まで明確にしていて素晴らしいですね」

//SE:拍手音

すもも「……」
小波「~っ!」

これで四問連続正解。やっぱり俺の妹は天才だ。

女子中学生1「小波ちゃんのお兄ちゃん、去年も毎回授業参観来てたよね?」
女子中学生2「学校どうしてるんだろ? ……悪い人には見えないけど」
男子中学生1「おい、岸本と付き合うためにはあのお兄さん超えなきゃなんねぇぞ」
男子中学生2「わかってるよ。……わかってるだけだけど」
恭司「なぁすもも、今、誰か小波に桃色の波動向けてなかったか?」
男子中学生1&2「っ……!」
すもも「その小波ちゃん限定で発動する勘の良さはなんなの……」
教師「……えっと、じゃあ次の問題を……」
恭司「……(じぃ~)」
教師「……はぁ。岸本さん、お願いします」
恭司「よしっ」
すもも「きーくんは授業ブレイカーなんだよねぇ」
すもも「ま、私たちだけしか保護者がいないのが救いだけど」

こうして、俺とすももが父親と母親を演じて見守る中、小波は二十回指名されて、見事十八回の成功を収めた。

二問外したのは問題が悪かったからだ。あの教師、小波に嫌がらせしやがって……

…………。

……。

//背景:中学校廊下_昼

小波「お兄ちゃん!」
恭司「ん」

授業が終わるなり廊下に出ると、小波が慌てた様子で追いかけてきた。

小波「はぁはぁ……どうして来たの?」
恭司「来ちゃ嫌だったか?」

嫌なら授業参観だって明かさないはずだけど。

小波「いやじゃないけど……学校は?」
恭司「中抜けしてきた」
すもも「モモさんは仮病使った」
恭司「悪い奴だなぁ~」
すもも「いやきーくんも変わらないからね?」

いや、俺は嘘はついてないから。

小波「ふふ、ありがとふたりとも」

そして、土下座と仮病の対価が支払われる。

小波「お兄ちゃんとモモ姉ちゃんが来てくれてすごくうれしかったよ!」
恭司「小波……」
小波「……まぁ先生とかクラスの子に圧をかけるのはやめてほしいけど」
恭司「そんなことしてないよ?」
すもも「無自覚だから質が悪いんだよねぇ」

その夜、小波はいつも以上に豪勢な料理を用意してくれた。

食事中に浮かべる笑顔も、いつも以上に輝いていた。

…………。

……。








この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?