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裸隧道と裸掘隧道1 山口県山口市

山口県周南市の永源山から峠のある北に向かい徳地を経由し、佐波川ダムのダム湖である大原湖畔を通って国道9号に至る一般国道が、国道489号だ。
国道489号は、大原湖以北に道幅が狭くカーブが連続する地帯がある。さほど難易度が高いわけではないので、いわゆる酷道の入門編として、運転初心者の練習に適した道路だと思う。
今回は、この道の旧道に現存する裸隧道(はだかずいどう)と裸掘隧道(すぼりずいどう)について書く。なかなか特徴的な名称で、色々なサイト様で紹介されているが、私自身は現段階で名称について記した一次資料にあたっていないので、通称としてこのように呼ぶ。
場所は佐波川ダムの上流のこの辺りだ。後に紹介するが、裸掘隧道は現道からも見える。

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近くに野谷石風呂という史跡があるので、後で行ってみるのもいいかもしれない。

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拡大図。赤矢印で示したように、現道から旧道へ入っていく。出発地点付近に駐車場があるので楽だ。旧道の途中で分岐があり、北西へ行く道と徒歩道に堕した東へ行く道とに分かれている。東へ進んだ先の星印、赤が裸隧道で青が裸掘隧道のおおよその地点。地理院地図には隧道の存在は記されていない。

それでは、旧道に入ったところから現地の様子をご覧いただこう。

旧道に入ると、ゆるやかな左カーブ、右カーブを経ながら下っていく。この辺りは時折車通りがあるようで、路面に轍を確認できる。黄色いガードレールは昭和38年以降、国道または県道であった証だ。道なりに進めば間もなく分岐である。

右方向の眺め。右上の柵の所が駐車場である。すぐそこを国道489号の現道が通っているとは信じ難いほどの豊かな自然の風景。

左方向の眺め。川沿いに明らかに道である雰囲気のいい平場が見えて興奮した。史跡と関係があるのか。後で行ってみること確定だ。

ここが分岐点。左の未舗装の道を行けば史跡、野谷の石風呂である。ちなみに史跡標の上部にある盃を重ねたようなマークだが、文化庁が定めた文化財愛護シンボルマークというものである。文化庁のサイトで紹介されているので興味があれば。
また、史跡方向の道が林道四古谷線だということが林道標で分かった。隧道は右方向であるので、いったん史跡をスルーして進む。

緩やかに下る道。植物の圧迫が厳しくなってきたが、まだまだサンダルでも歩ける散歩道のように快適な路面だ。秋なので虫が少ないのがいい。

ぽっかりと口を開けた隧道が見えてきた。短いので先まで見通せる。問題なく通り抜けられそうだぞ。こやつが裸隧道だ。特に裸感は感じないがな!

大岩に穿たれた隧道。扁額や銘板など素性を表すものは何も見当たらない。比較的新しい高さ3.4m制限の標識がこの隧道を修飾する全てだ。

内部は素掘りにコンクリート吹付の施工。アスファルトの路盤は後年舗装されたものだろう。短い隧道なので特に語ることもなく貫通。

貫通後振り返って撮影。こちら側も高さ3.4m制限の標識がある。扁額はなし。これまで通って来た道が隧道の向こうに見えている。光あふれる緑の空間が目に眩しい。率直に、いい所だなと思った。ここで座り込んでお弁当を食べたいくらいだが、残念今日は手ぶらだ。
気持ちを切り替え、このすぐ隣にある裸堀隧道に向かうとしよう。

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