【短編小説】桜の季節の約束 エピローグ「それぞれの未来」

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　カオリとユウは、春が過ぎ夏が来る頃に再び公園のベンチで出会った。しばらくの間、彼らは言葉を交わさず、ただ風景を眺めていた。

「カオリ、俺はあの時の約束を守れてたかな…」ユウがつぶやいた。
　カオリは、ユウの言葉に少し驚いたように振り返った。「どういう意味？」
「俺、あの時の自分が約束したことを守れたかどうか、最近よく考えるんだ。約束を守れなかったら、カオリには申し訳ないと思って」とユウが語りかけた。
　カオリは、しばらく考えた後に、静かに答えた。「ユウ、私にとってはあの日の約束は、もう守る必要はなかったと思うよ。私たちが別々の道を進んで、それぞれの未来を探していくことも、その約束の一部だったんだから」
　ユウは、カオリの言葉を聞いて、少しホッとしたような表情を浮かべた。「ありがとう、カオリ。それで、あなたは今、幸せに生きているのかい？」
「私は、今は幸せだよ。自分自身を受け止めることができるようになったし、自分の人生を楽しんでいる。あの時の約束があったからこそ、今の自分があるんだと思う」とカオリが微笑んだ。
「君との思い出も、私にとってはとても大切なものだよ」
「ありがとう、カオリ。俺たちは、この桜の木の下で、もう一度出会えたんだね」
　ユウの言葉に、カオリは緑の葉が茂る桜の木を見上げて、つぶやいた。
「それぞれの未来って、本当に不思議だね。あの時二人で見た桜の花が、今、私たちの胸に咲いているような気がする」
　二人は、それぞれの道を進み、時間が経っていた。しかし、あの日二人が約束したことは、彼らの心の中で生き続けていた。
「そうだね。俺たちが約束した桜の下で、今もまた、同じように咲いているような気がする」とユウが微笑んだ。

　二人は、静かに時間を過ごしながら、心の中であの日の思い出を辿った。そして、夏の陽射しの中、彼らは再び別れを告げた。

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