人を必要とすること

一時期ずっと心臓が走り続けていたときがあった。まだ好きになったばかりの頃。どきどきと心臓が煩くて騒がしかった。何をしていてもどきどきしていて眠れなかった。

あの頃と比べると今は落ち着いた。返事が来たらうわーってなるけど、いちいち「すき！！」って叫ぶけど。でも今は眠れるしにこにこするだけで済むし。

でもふとした時の目線が好き。笑顔が好き。会話の間合いが好き。優しさが好き。

かと言って結婚したいほど好きかといわれるとそうでもない。

前に好きだった人のことは本当に好きで、ずっと守ると思った。絶対に幸せにすると思った。家族になりたいと思った。

なんでもそつなくこなす人で、男女ともに友達が多かったのに、いつも孤独を抱えている人だった。自分自身のことが大好きで大嫌いな人だった。だから私はそばにいることを選んだし、たった一人の特別になることを願った。幸せにすると誓った。実際私が隣にいる間は幸せだったはず。でも好きじゃなくなって、二人でいる時間に価値を感じなくなって、会いたいと思わなくなった。今までつけられた傷口が開いていった。

あれが私の全力の愛なら、今の人には半分くらいしか向けられていないかもしれない。でもそれでいいのだと思う。それでも好きだから。一緒にいたいと思うから。好きになってほしい、会いたいと思ってほしい、眠れなくなってほしい。

結婚したいかといわれるとそれは別。結婚って制度向いていない気がする。たとえ結婚するとしても部屋は別がいい。一人きりの時間が欲しい。子供は今のところ欲しくない。人を幸せにできる自信がない。人を育てる自信がない。

ただ一人で生きていくのは向いていない。一緒に生きていける人を探したい。

今の恋が終わったら真面目に婚活しようかしら。なんて思うくらいには変わりつつある。

誰かを必要とすること。

会いたいということ。話したいということ。笑顔にしたいということ。一緒にいたいということ。

忘れないように。恋愛にしても友情にしても。