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ひよこ家の読書交換日記⑦

ひよこ家の夫婦が、お互いに薦めた本を読み合う読書感想日記。
第7回目、妻あやーんの回です。

また今回も、投稿期限を過ぎてしまった。前回は課題図書の著者(芥川竜之介)が苦手すぎて。今回はその逆、著者にはまってしまったのだ。


課題図書⑥の感想

『寺内貫太郎一家』をはじめ、ドラマの脚本を数多く手がけた昭和の人気作家として知られる、向田邦子さん。過去にエッセイを読んだような記憶はあるが、テレビ業界で忙しく働く、キャリアウーマンの先駆け、みたいな表面的な印象しかもっていなかった。

この対談集は、向田邦子さんと親交のあった作家・芸術家・俳優(吉行淳之介さん、阿川弘之さん、和田誠さん、谷川俊太郎さん・竹脇無我さんなど)と、向田さんとの対談をまとめたもの。

驚くのは、対談ごとに向田さんのスタンスが違うことである。

大御所の阿川弘之さんには、ひたすら傾聴。ときどき自分のたくさんの引き出しから、よさそうな撒き餌をまいては、阿川さんのテンションを上げていく。

特定の個人ときゃっきゃ言い合うイメージのない穏健派、和田誠さんとの対談では、ホスト役である和田さんが話しやすいように、持論ではなくエピソードを次から次へと出して、相手のシナプスを刺激する。

俳優の竹脇無我さんには、「あなたのこういうところがいいのよ」と、かわいい後輩を手玉にとっている。

最初いくつかの対談を読んで、「向田邦子の人たらしスキルにだまされないぞ」と気を張って読んでいたが、次第に「ほんとうの向田邦子さんはどこにいるんだろう」「家でひとり静かにいるときは、どんなことを考えているんだろう」と、素顔が知りたくなっていた。MAJIでKOIする5秒前である。

向田さんは、台湾の国内便の事故で、空の上で帰らぬ人となった。

そんな彼女の虜になった各対談者から、発刊前(彼女の没後)の後日談も載せられている。それによると、彼女はなんでもおもしろそうに話し、早口で、頭の回転がよく、遅刻しがちで、執筆は締切をすぎてから始めるような人。「利発で明るい人だけど、マヌケなエピソードもりだくさん」。この隙の持ち具合は、モテるための黄金比率だ。

彼女のことをもっともっと知りたくて、これからも著作に手を伸ばしそうです。良い本の紹介をありがとう。きっと、夫からは私のことが向田さん並みに魅力的に見えていて、投影したから紹介してくれたに違いない。と思う。

課題図書⑦

次の課題図書はこちら。

臨床心理士の東畑開人さんが書いた、実話のようなフィクションのような不思議な物語。「大感動のスペクタクル学術書」という帯の宣伝文句に惹かれて読んで、感銘を受けた本。

心理学にもご興味あったかと思うので、おもしろく読んでいただけるのでは。


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