恋人ができた

恋人が出来て5ヶ月。いや、幼馴染の男の子が恋人という存在に変わって5ヶ月が経ったと言うべきか。

彼は幼馴染で友人の頃から優しかった。
失礼な話だが今まで彼を"男性"として認識していなかった。風呂上がりの濡れた髪のまま玄関を開けて「早かったね」「髪乾かすから部屋入ってちょっと待ってて」なんて普通の男女なら一夜で何かありそうな会話を平気でしていたが友人時代彼と一線を超えることはなかった。今思えば彼の優しさと理性のおかげで私たちは友人で居られたのだと思う。

穏やかで優しさに満ちている彼は付き合い始めてその本領を発揮した。どちらかと言うと穏やかという言葉からかけ離れた私は生理前ではなくとも情緒がめちゃくちゃになりがちである。そんな私を包み込む彼の包容力は今までに類を見ないほどに(こんな男現実にいるんだ…)と感じるほどに凄まじいものだった。例えば水を飲むというごくありふれた動作の中でもキャップを開けて私に渡す。飲んで彼に返す。それを彼が飲む。小さな動作の中でも私が優先される。しかもそれがわざわざ私を優先した訳ではなく当たり前のようにそれをしてくれる彼に、愛しくてしょうがないという目で私のことを見つめてくれる彼に、何度も心がときめいてしまう。

彼はよくカラオケで小さな恋のうたを歌う。
サビの  "ほら あなたにとって 大事な人ほどすぐそばにいるの"  というフレーズ。いい歌詞だなとは思っていたけど今まで気にも留めなかったワンフレーズが頭にこびりついて離れない。好きな人の好きな曲や好きな色、好きな花なんてものは呪いだと誰かが言っていたがまさしくそうだと思う。彼の好きなものが私に侵食し、その曲を聴くだけで彼を思い出してしまう。なんでもないような歌詞でも彼を重ねてしまう。日常の中のありとあらゆるところに彼が潜んでいる。これは本当に一種の呪いだろう。

20代も半ばになってここまで初々しい恋愛を自分自身がするなんて思っていなかった。これまでも平均的に恋愛経験を積んできたと思う。学生時代なんて惚れた腫れたの繰り返しだったはずなのに。

恋愛を知ったかぶっていた10代の青い私へ。「結婚するなら年上がいいな〜自立している人がいいな〜」と年上イコール自立していると思っていた過去の浅はかで愚かな私へ。泣く恋愛しかしてなかった20代前半の幼い私へ。あなたのすぐそばにいる幼馴染の同級生の彼に今は大切に幸せにされているよ。

3月末。彼は私の実家へ来て私の両親に「娘さんと結婚を前提にお付き合いしております。娘さんと同棲させて下さい」と伝え、私の父を驚かせ、母を泣かせました。
現在幸せいっぱいな同棲生活を楽しんでいます。


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