一瞬で、母になる

いろいろなところに散らばっている息子の成長や子育て日記、少しづつまとめたものです。時系列ではないかもしれません。また途中で思い出した内容も綴ったりする予定です。※息子は2005年9月生まれです。

2005年10月01日

今、すごく思うのは、「母」としてのこと。

一瞬で、母親になりました。
子供がお腹から出てくる過程は、
それはそれは、すさまじいものでした。
想像以上、想定の範囲外。
でも、出てきた。
そして驚くべきことに、出てきた30秒後には、
私は母親になっていました。
感動っていう気分じゃなかった。
ただただ、呆然自失。
何がなんだか分からない気分の中、腕に赤ちゃんが置かれた。
小さくて、ぎゅっとつまった物体を感じて、
ひとこと。
「かわいい」

心の底から、出てきた言葉。
湧き上がるみたいに口をついてきた言葉。
「かわいい」。

それからというもの、
検診だ検温だ何だと、目の見える場所から子がいなくなる度、
気になって仕方がない。
まだ帰ってこない、まだ帰ってこないと心がざわざわする。

どんなに疲れていても、泣き声があれば起き上がる。
産んだときの傷でお腹が痛くても、血が出てても
抱きかかえようと思う。

むかし、マンションで子猫を産んだ野良猫を思い出した。
保健所に子猫を捕られた母猫の、寂しい声。
いつまでもいつまでも、子猫を探していて。
今、私からこの子を取り上げたら、
同じ声を出すだろうと思う。

おっぱいを吸う口、
何も見ていない瞳、
何かをつかもうとする手、
この子のどの部分も、私を捉えて離さない。
いつまでもいつまでも、そばにいたいと思う。

子供をかわいいと思えなかったらどうしようなんて、
考えてばかみたい。
私はあのときの猫みたいに、しっかりと自然に母になって、
かわいいかわいいと、繰り返しています。
親ばかなんて生易しいものじゃなく、
全身全霊で、今、子供にしか興味が持てない。
愛しい気持ちしか感じられない。

母って、すごいです。
本当に。
うまくいえないけれど、私は「母」になりました。