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日本へのラブレター【第2回】

こんにちは、あさ出版noteにお越しいただきありがとうございます!

今回は、前回ご紹介した『日本へのラブレター』の中から、
様々な国から届いたメッセージと
震災後の日本からのお返事をご紹介します。

2011年3月11日に起きた東日本大震災は、日本のみならず世界を震撼させました。その様子は「NHKワールド・ラジオ日本」から世界に発信され、それに答えるように、世界中からあたたかいメッセージが届きました。

3歳のお子さんから、80歳を超えたおじいちゃんまで、
たくさんの方たちが、日本を心配し、
応援してくださっていたことがわかります。

第1回はこちらからお読みいただけます。

今回も、「NHKワールド・ラジオ日本」に届いた、
様々な国の、様々な人たちからの想い、
『日本へのラブレター』をご紹介します。

世界からのメッセージ

from ミャンマー
津波被災者のインタビューを聴いて、とても悲しい気持ちになり、涙が止まらなくなりました。
被災地が一刻も早く復興することを心から祈っています。

from イラク
イラク国民の戦後の苦しみは依然、続いていますが、今、私の住むこの街で、通りすがりに交わされる話は、日本での大地震と、この窮状を乗り越えようとする人々の活動についてです。
私の友人たちは、東北を襲った地震の犠牲者の魂のために、40日間、喪に服すことを決めました。
あなた方日本人を想う気持ちは一つです。

from ブラジル
3月11日は、震災の悲劇を思い出すだけの日ではありません。
ブラジルをはじめ世界中の国々が、日本と共にあるという気持ちを思い出す日、祈りを通じて苦境にある日本、そして被災地のすべての人々を支える日にしたいです。
被災地が、エネルギーの面でも、人の暮らしや自然環境の面でも、未来のモデル都市になりますように。

from インドネシア
どんな困難にも必ず解決策がある。
私は、いつもそう信じています。
どんなに困難が大きくても、私たちの力はそれを乗り越えられないほど小さくはないからです。
「一つの不幸の中には、二つの幸せが隠れている」と、私の国ではいいます。
信じてください。
よりよい明日を目指すことができると。
インドネシアの友より心を込めて

from フランス
2011年3月11日、私は自分の無力さを感じました。
しかし、日本の人々は、震災後すぐ、胸に痛みを抱えながら、各々のやり方で国を支えました。
こんな状況にありながら、節度ある対応を取る日本の人々に感銘を受けました。
日本人に宿る責任感、さらには、現代では忘れられがちな助け合いの大切さを理解し、実行しているその姿にも敬服しています。
助け合いなしに、未来はありません。
そう、私たちはみんな一緒に、未来に向かって前進できるのです。
みなさんの努力を見て、前に向かって進む勇気をもらっています。
もっと日本のことが知りたい。
だから、いつか日本に行けたらいいなと思います。

from ベラルーシ
心の傷が早く癒えますように。
なんとか残った松の種は、将来大きな森となることでしょう。
生きるのです。
次の世代へとバトンを渡すために――。

from コロンビア
あの大災害からすでに1年が経とうとしているのに、その痛みがまだ、世界中で、そして私の胸の中から消えていないというのは、信じがたいものがあります。
ですが、みなさんの姿は、私たちに希望を持つことを教えてくれました。
希望を持つ国だけが、たとえどんな恐ろしい出来事があったとしても、前に進むことができるのです。
遠くコロンビアより、心の底からみなさんの未来にお祈り申しあげます。


世界をつなぐ「1131 枚の絵」

震災から4 か月経った2011 年の夏、1131 枚にも上る絵が集まりました。
宮城県気仙沼市の小、中、高校生が、「わたしの未来のふるさと」をテーマに描いたものです。
大好きだった風景、家族や友達と過ごした忘れられない思い出、復興してふるさとがこんな風になったらいいなという願いなどが、画用紙いっぱいにクレヨンや色鉛筆で思い思いに描かれています。


「この子どもたちの想いを世界中に伝えたい」
震災からまもなく1年という2012年2月3日から、1131枚すべての絵をNHKワールドの特設ホームページに掲載しました。

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また、特集番組をつくるにあたり、子どもたちにインタビューすることにしました。

2012 年2月――。
気仙沼でのインタビュー、ロケが始まりました。
子どもたちの中には、津波ですべてを失い、仮設住宅で暮らしていたり、親しい人を亡くしたり、、津波に人が流される様子を目撃した子もいます。

子どもたちは、様々なことを話してくれました。

「絵を描きながら、落ち込んだままじゃダメだと思いました。友達、家族、地域の人たちと一に、不自由な生活でもガマンして、復興に向けてがんばろうと思いました」
「津波で自宅は流されたけど、家族は命を落とさずにすみました。家族の笑顔が一番だと思います」
「僕の好きなカメや昆虫がたくさん住める気仙沼の海や川になってほしい」


インタビュー中、9歳の男の子に出会いました。
ぽっちゃりとして、ほっぺがあどけない、おとなしそうな小学3年生です。
彼は、学校で被災しました。みるみるうちに津波で街が覆われる中、クラスのみんなと校舎の3階に避難し、暗闇の教室で一晩を過ごしたそうです。食べるものも十分になく、3人ごとにグループになってスナック1袋とジュース1パックを分けあって空腹をしのいだと言います。お母さんと再会できたのは2日後のことでした。
「あの夜、君ががんばれたのはどうしてかな?」と尋ねると、一生懸命考えながら、ゆっくりと「友達がいたから」と、答えてくれました。
彼は、世界には東北と同じように災害に見舞われた地域があることを、ラジオ日本の取材を通じて知ったそうです。
「怖い時は友達と一緒に話せば元気になるよって、世界中の9歳に教えてあげたい」と、話してくれた決意が頼もしく、印象的でした。


2012 年3月――。
彼らのインタビューを、17 言語で放送しました。
「世界に、子どもたちの想いが届いてほしい」という私たちの願いが伝わったのでしょうか。
続々と世界中のリスナーから、メッセージが届き始めました。

「いい絵だね!」といった褒め言葉など、子どもたちの絵に対する感想だけでなく、驚いたことに、復興をめざす子どもたちの言葉に、自分(リスナー自身)が励まされたといった内容のメッセージが多くあったことです。

「震災で多くのものを失った子どもたちの強い痛みを感じましたが、子どもたちが希望を捨てずに夢を持っている様子が伝わってきました。私も気仙沼に行って、彼らを励ましたい」 (ミャンマー)
「子どもたちの絵を通じ、屈してはならないこと、未来への希望を捨てないこと、そして協力しあえば大きな結果を得られることを学びました。子どもたち一人ひとりに感謝したい」 (ペルー)
「素晴らしい絵をありがとう。あなたたちの絵のおかげで、私は笑顔になれました」 (イギリス)
「つらい経験をしたにもかかわらず、子どもたちの言葉には未来を信じる気持ちがこんなにもあふれています。やっぱり私は、日本が好きだなと思いました」 (ブラジル)


インド洋大津波を体験したインドネシアからは、気仙沼の子どもたちと同世代の若者のメッセージが届きました。
「私はもうすぐ大学に入ります。日本で勉強するために奨学金を探します。一緒に気仙沼を復興させましょう!」
「僕は14 歳です。僕も災害で大切な友達を失いました。悲しかったけど、新しい生活を取り戻す努力をしました。
君はもうすぐ卒業だそうですね。僕ももうすぐ学校を卒業します。14 歳同士。共に試練に立ち向かってがんばろう」
「あなたの絵を見て、インドネシアの美しい海岸を思い出しました。明るい太陽が、日本の美しい海を照らし続けますように」


私たちは、各言語で寄せられたメッセージを日本語に訳して、取材させていただいた子どもたちのご家族にお送りしました。
世界の人たちが、みなさんのことを心から応援してくださっていることをお伝えしたかったのです。
先ほど紹介した9歳の男の子にも、メッセージをお届けしました。お母さまによると、メッセージは、額縁に入れて、今も部屋に飾ってくださっているそうです。


震災の記憶を胸に抱えながら、気仙沼の子どもたちは、
毎日を一生懸命生きています。
おそらく、他の地域の子どもたちも同じです。
子どもたちが未来を楽しみにできますように。


2013年2月NHK公開復興サポート「明日へ in 東北大学」にて、子ども
たちの絵とそれに対する海外からのメッセージが展示されました。

にほん図1


2回にわたり『日本へのラブレター』より、世界から日本に届いたメッセージをご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。

東日本大震災から10年がたった今、新型コロナにより、日本だけでなく世界中が困難と闘っています。
お互いに想いあい、励ましあっていきたいものです。

あさ出版ができることとして、次回は『本屋さんであった心温まる物語』の中から、お話をご紹介いたします。
お読みいただけると嬉しいです。


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