ありのままの君で(創作)vol.4

 いきなり小学校へ来てしまい、いきなり衝撃の言葉を投げかけられたのだが、今度はいきなり校長室へ通され、立派なソファーに腰掛けるよう促され、目の前で校長先生の話を聞いている何もかもいきなりの状況に、今日はなんだか別世界の住人のようだ。

「T君のお母さん。発達障害の子は数多くいますが、色んな障害があって1つでは無いんです。今の教育では、その子に合った教育を提供していくのも学校の役割なんです。前にいた学校でも小さな字が見づらい支援児童に拡大文字の教科書を無償で支給したり、その子が学びやすい環境を用意してあげているんです。」
『そうなんですか?』
 私は健常者で今まで暮らしていたので、そんな支援があるなんて知りませんでした。
「T君は昔、弱視を患っていましたよね?もしかしたら見え方が弱いかも。あと、音に敏感だったり、匂いに敏感だったりしませんか?」
『あ、大きい音は苦手で、昔幼児期にカラオケに連れて行ったら戻してしまったことがありました。』
 ああ、やっぱり障害児なのか、、、、。
 それを受け入れる事はあまりにも暗い未来のようにも感じました。自然と顔が下を向きます。

「お母さん、発達障害の子達は弱い部分がある分、得意な部分が必ずあるんですよ。数学が得意だったり、芸術性が高かったりして、その分野で有名になる子も居るんです。だから、落ち込まず、お子さんの未来を楽しみにしてあげてくださいね」
『ありがとうございます』
 思わず涙が溢れました。発達障害の子と受け入れてしまうと、周りから外れてしまうのでは無いかと思うと苦しくてたまらなかったのです。明るい未来があると言ってもらえたのが救いでした。

「お母さんも強くなりましょう。お母さんも1度スクールカウンセラーの方と面談してみませんか?」
『、、はい、お願いします』

 私は正直、人間関係が苦手な人見知りな人間でした。なので、校長先生の申し出は私には到底考えつかないものばかり。後日また、小学校へ行く約束をして家に帰りました。

 家に帰り、しばらくして子供たちが帰ってきました。おかえり、と声を掛ける時も、学校での様子を聞く時も、極力笑顔で話しかけます。

 子供は嫌いな訳では無いけれど、どう子育てすれば良いのか分からない事が多かった。何が正解なのか分からず実母のアドバイスの『愛情込めて育てれば良いのよ』という曖昧な表現を今も大事に子育てしてきた。

 我が子にとって、どんな選択が正解なのか。

 自分自身の事ですらよく分かっていなかった私には、到底答えの出る問いではなかった。

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