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美容院ジプシーの話。

美容院ジプシーである。

以前noteの記事に書いたことがあるが、長年(浮気せずに年イチペースで)通っていた美容院がいつまにか閉店していた。
それからというもの、ある程度のところで美容院には行く必要があるが、行きたいと思える美容院が定まらないままなのだ。

したがって私は美容院ジプシーである。

お気に入りだった美容院は、個人の店だった。
席数は3つだが、店長ひとりで切り盛りしており、相客に会ったことはない。
リゾートっぽいBGMがゆったり流れている。
焦げ茶の木製インテリアに黒のアイアンと鉢植えのグリーンが効いている。
店長は私の好みや性格を熟知しており、必要以上に話しかけてくることもなく、複雑な手入れの必要な髪形にしてくれちゃうこともない。

この美容院が閉店したことに気づいた直後、私は自分の髪を自分で切りたい衝動に駆られた。
しかしど素人にそんなことが叶うわけもない。
やってもいいが、そのあと結局美容院に行って直してもらうのがこっぱずかしい。

仕方なく街を歩きながら、安くて落ち着いたインテリアで、出来れば小規模な美容院を探して歩いた。

まず試したのは美容院A。

安くて、しかも落ち着いたインテリアだ。
外から見る分には小規模っぽく見える。

しかし予約当日、入ってみて驚いた。
ウナギの寝床状に奥行きがあったのだ。
全部で12席くらいはあったと思う。
美容師さんも5~6人働いていて、そのすべてが元気に客とのお喋りに興じていた。

・・・ごめん。うるさすぎて無理。

特に、隣の席の美容師と客が、常連を通り越して友だちのようで、けたたましい声でさえずりまくる。
朝10時の予約なのに。
なんだよ、そのテンション。

私、入店時のアンケートで「静かに過ごしたい」に大きくマルつけたよ。
「コミュニケーションを楽しみたい」にはつけなかったよ。
だから担当の美容師さんは、無駄なおしゃべりはせずに放っておいてくれた。

でも!
店内で一番テンションの高い組み合わせの隣に座らせるなんて…。

他のお客さんたちは別に普通なのに。
なんなら、空いてる席、けっこうあったのに。

うるさい常連と、一見さんは手前の席で・・・みたいなルールですか?

というわけで美容院Bにはもう行く気がなくなった。
その組み合わせにまた会うとは限らないけど、なんだかね。

さて、またしても美容院に行くタイミングが来てしまった。
絶対にうるさい人たちと同席したくないと思った私は、第一条件を「小規模店」にした。
1~2席程度の店なら、相客に会うことも(ほぼ)ないだろう。

灯台下暗し、というか、いつも通る道に2席しかない小さな店がある。
なぜ今まで気づかなかったんだろう。
よし、ここだ!美容院Bに行ってみよう。

しかしここは今どきの店だった。
ネットで予約しないいといけない。
予約するための予約サイトに会員登録して、それからの予約だ。
面倒くさい!

でも施術中に電話を受けなくていいというメリットがあるのは分かる。
それにこちらも空き時間が一覧表になっているので、好きなタイミングを予約できる。
これはこれでいいのかもしれない。

予約当日、美容院Bをたずねると、若い女性が担当してくれた。
この店は美容院と理容院を併設していて、そのための2席らしい。
つまり美容院のための席は1席。

なるほど。
面白い店だな~と思ったら、もともとは親が理容院をしていて、あとから子が美容院を始めたらしい。
ということは、先々親が引退したら子が乗っ取って(!?)完全に美容院になるというわけか。

それはともかく、この美容院Cはこじんまりしていて、明るくて、私好みだった。
髪型も私の希望をベースに、少し流行を取り入れておしゃれにしてくれた。

惜しむらくは、べつに安くないってこと。
でも、相場を調べてみると高いわけでもない。
愛用候補にしてもよさそう。

さてさて。
それから月日が流れて、またしても美容院に行くタイミングになってしまった。
美容院Bに続けて行くか。
それとももう少しジプシー生活を続けるか。

私は、後者を選んだ。
せっかくだからもう少し他の美容院も試してみたくなったのだ。
今度の美容院Cは比較的新しい店。

店は外から見る限りこじんまりしている。
値段も安め。
さっそく行ってみた。

デジャビュ!
ウナギの寝床だった。

えーん・・・。
間口の狭い美容院は、すべてウナギの寝床なのか???

そんなこともないだろうが、とにかく今回も席数が予想以上に多く、そして相客もたくさんいて、おしゃべりの花がわんさか咲いていた。

ただし、以前の美容院Bのようなハイテンションではない。
あくまで常識的なおしゃべりの花が、いくつも咲いている…というだけ。
これくらいなら仕方ない。

ところが、いっっっちばん肝心の、技術がよくなかった。
伝えたイメージどおりに切ってもらえなかったのだ。

予定より7~8cmは長い。
これでは切りに行った意味が半減する。

寡黙というより不愛想な美容師さんに、文句を言う勇気はなく、そのまま帰宅した。

もう・・・美容院Cは絶対に行かない!

というわけで、切ったばかりなのに、もう切りたくて仕方ない。
夏だし、暑いし、中途半端な長さだし。

次はどうしよう。
新たな店を開拓するか。
それともさっさとあきらめて美容院Bに戻るか。

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