スマホでピアノを録音する。
最近、スマホでピアノを録音している。
しかしこれがなかなか難しい。
ピアノの音を耳で直接聴くのと、スマホに録音したものを聴くのでは、とんでもなく「音」が違うのだ。
ハッキリいって雑音だらけ。
特に気になるのは、打鍵音。
ピアノは鍵盤楽器という印象が強いかもしれないが、実は打楽器でもある。
鍵盤を操作することで、ハンマーが動いて弦を叩くのだ。
指先から実際に音が発生する場所までの道のりは、けっこう長い。
その途中過程で、ピアノという楽器のパーツがカタカタ鳴る。
これが打鍵音だ。
生で聴くときは、耳と脳がいい感じの仕事をしてくれるから、聴くつもりのない打鍵音は気にならない。
しかしスマホの前ではすべての音が平等に取り扱われてしまう。
スマホも打鍵音は気にしないくらいの「おおらかさ」を持って欲しいものである。
ところでこの雑音というか、打鍵音。
録音から消し去る方法はあるのかとか、そもそも打鍵音を録音しない方法はあるのかとか、少し調べてみた。
結果、面白いことが分かった。
けっこうな(と感じられる)数のサイトで「どんまい!」だったのである。
つまり、気にするな、と言われたのだ。
家庭で録音する程度の場合であれば「良い音を求めるな」と。
本当に良い音が欲しければ、スタジオで専用の機材を用いろ、ということだ。
要するにこれは、家庭での限界を表現しているものと考えられる。
そうか…そうなのか。
悪あがきしても無駄なのか。
私のピアノであっても、せっかくなら少しでもマシな音で…と思ったのだが、無駄だったとは。
しかしそれが分かってから数日経った今では、考え方も変わってきた。
家庭でそこそこ簡単に、とてつもなく良い音で録音できる方法があったとしよう。
その場合、私自身のピアノの未熟さが、よりいっそう目立つことになるだけなのではないか。
それならば、未熟さを打鍵音で包み込んでもらえば、聴く人の脳が勝手に良いほうに拡大解釈してくれるのではないか。
しかし、先生のレッスンのおかげで、聴く耳は以前に比べてとても育ってきている私。
妥協するのがつらい。
なんだかコトは精神的な問題へと発展してきてしまった。
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