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角煮に負けた夜

この春はどうにも不安定だ。

変化を好まない私に、怒涛のように変化が襲いかかった。ようやく大波を越えたと思ったら、なんと第二波があった。しかもメンタルを抉る系の、より大きな波である。

いまはといえば、奔流にのまれてのまれて、ようやく浮上して息を整えた感じ。大の字でひたすら浮いている。脳内は、目まぐるしく動いたり急に全ての回路を遮断したりしており、壊れかけのRADIO状態である。

ほんとの幸せってなんだ。

波の内訳のひとつは仕事。しがないパートタイマーではあるが、割と重い玉をぶん投げられることがあり、今回はまたそれが苦手なジャンルだった。いわゆる売り込み、勝ち取るスキルが要るやつだ。

そもそも私はあまり説明が上手くない。ええかっこしいなのもあって緊張するし、自分で言ってることがわからなくなる。アラフォーになってもあんまり変わらなかったな。新年度、保護者会での自己紹介は吐くほど嫌いだ。

駆け引きも嫌いだ。めんどくさい。
そんなものが必要なら即諦めてきた。

さらには視覚優位なので、面と向かってのやりとりなどもってのほかだ。

そんな人が、ガツガツの人とガツガツ渡り合えと言われているような状態なので、ひたすら胃が痛い。

我慢してやらなきゃいけないようなことでもないが、それができないことはコンプレックスでもあるので、謎の向上心も発動している。

この辺の自問自答で消耗する。

どうも、決断できないA型です。

もうひとつ大きいのは家庭のこと。

夫がとても通えない土地に転勤になりそうだ。

季節をまたぐくらいには先のことだが、早めに知らされたことは一長一短である。

不確定すぎて、何を考えても必ず行き詰まる。
間違いなく必要なのは貯金だけである。

海外に行ったのもしんどかったが、あの頃は夫婦だけだった。いまは子どもたちがいる。

平日はもともとほぼワンオペ状態ではあるが、それでも夫の分担はある。さらに、休日は料理と育児の主担当が夫、と言ってもいい。父ラブな子どもたちは夫にべったりだからだ。

そんな休日と仕事があって、ようやく私の生活は成り立っている。

とはいえ、1番の気がかりは子どもたちの反応。

引越しに憧れがある子どもたちに、さりげなさを装って「引越ししてみたい?」と聞いてみた。

長女「してみたーい!!」
次女「してみたい!だって一度も引越ししたことないんだもん。」

だそうだ。

いまの家には次女が生まれる直前に引越していて、彼女は自分だけが知らないことをとても気にしている。

そうは言っても、お友達に会えなくなるのも知らない子たちの中に入って行くのもなかなか大変だろうと思う。

単身赴任にしたとしても、たまに会いに来る父との別れには毎回大泣きするだろうし。

知人友人から、子どもの頃の引越し経験や、単身赴任ワンオペ経験を聞きまくっている。転勤先は偶然付き合いの長いフォロワーさんが住んでいる土地なのもありがたい。

身内には全然話してないのに、こういう話はネットの民の方が話しやすいんだよな。

そんなこんなで、あれやこれや何パターンも想定しては壁にぶち当たり、さらに胃を痛めている。

さらにいえば、春休みが始まって弁当地獄である。

なんかもういっぱいいっぱい。

そこで作り出してしまったのが、角煮。
ほんともう何でこのタイミングで豚バラブロック入荷するんだよパルシステム。(八つ当たり

ヤマシタトモコさんのマンガにこんな描写がある。

「爪が折れただけで死んでしまいたくなる」

きっかけなんてささやかだ。

ましてや角煮である。

ストレスで内部からジワジワとダメージを食らっていた胃を物理でぶん殴ってしまった。
しかも、時間をかけて自分で作ったものを残す悔しさを添えて。

しばらくなかったくらい落ち込んで、正直ちょっと泣いた。

それでも生活は続いていく。

食べきれなかった角煮は、翌日薄切りにしてラーメンに乗せてやった。

焼豚としては至極美味しかった。

まだなんとか頑張る。


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