見出し画像

メモ『経営を見る眼―日々の仕事の意味を知るための経営入門』(伊丹 敬之)

国立大学の中で商学(いわゆる経営)といえば一橋大学。

そのなかで、長年経営学の実証研究を行っていたのが著者の伊丹 敬之さんです。

どんな人が読むと良いか「はしがき」にあるので抜粋します。

この本は、企業組織の中でマネージャーやリーダーになることをめざしている人たちに、企業の経営というものをどのような眼で見ればいいのか、その見方を書いた本である。

『経営を見る眼―日々の仕事の意味を知るための経営入門』

私は新規事業部で管理系の業務も行っています。組織って何なのだろう?と思うことが多く、組織や制度について知りたいなと思い、読み始めました。


【読書メモ】
■企業とは何か
 製品・サービスの提供を主な機能として作られた人と資源の集合体で一つ の管理組織のもとに置かれたもの

■企業は何をしているのか
 社会への製品サービスの提供。つまり、技術的変換。

■企業の本質は何か
 技術的変換体

■利益とは何か
 利益はお布施である

 ・松下幸之助さんは、はっきり 利益というものをそう捉えていた
 ・花王でも利益とは 社会から頂いているお布施 だという考え方が 伝統的にある

■経営とは何か
 経営とは他人に事をなしてもらうこと。
例 法隆寺宮大工棟梁の口伝

「百工あれば百念あり、これをひとつに統(す)ぶる。これ匠長(しょうちょう)の器量なり。 百論ひとつに止まる、これ正なり」

※ー+止=正 ※匠長 棟梁のこと

「百論をひとつに止めるの器量なきものは謹みおそれて匠長(しょうちょう)の座を去れ」

■経営の本質とは何か
 大勢の他人に自分が望ましいと思う 何事かをしてもらうこと

■なぜ人はリーダーについていくのか
 その人がついていくのは、最終的に自分が納得するからついていく。時には疑いながらも、しかし、まあいいかと納得して、その方向へ動く。

■人はなぜ想像通りに動かないか 
 他人が想定通り動かないのは、その他人の目的、 情報、思考様式、感情のどれかについてきちんとリーダーが理解していないから

■人を動かすためには
情報の共有度を高め、その上でほかの要因を理解するように努める。それが人を動かすための原点。

■組織における個人の行動とは何か
 個人の行動はベクトルに例えられる

■ベクトルとは?
 ◎ベクトルは方向と大きさを持っている
 ・方向とは「何をするか」ということ。(個人の意思決定)
 ・大きさとは「どの程度懸命になってその方向での行動をとるか」ということ。

■方向=個人の意思決定を決める要因は何か
 四つの基礎要因がある。
 ・個人が持っている目的
 ・情報( 記憶されている情報や知識)
 ・思考様式( 認識と判断のパターン)
 ・感情

■なぜ情報共有が大事なのか

情報さえ同じにすれば意思決定は人によってあまり変わらなくなる事も充分あり得る。リーダーの立場からすれば、自分以外の他人が 自分に代わって判断してくれるとき、その人が自分と似たような情報を持つようにさえし向ければ、類似の判断をしてくれる可能性は高くなる。

■リーダーの条件とは何か
 器量をもとにした信頼感を出せるか

■信頼感とは何か
 このひとについていっても大丈夫と思える感覚。フォロワーから見たリーダの条件。

■信頼感は何が要素か
 ・決断する→信頼を生む
 ・内容が筋が通っていてわかりやすい、正しい可能性が高い
 ・状況の変換と共に決断を容易に変えない(ぶれない)
 ・万が一変更せざるを得ないことになったらその変更の理由をきちんと説明する

■器量とは何か
 ◎考えることのスケールの大きさと深さがある人:「大きく、深い人物だ」
 ・思いもつかない範囲まで考えたり、徹底的に考えられていたりしている人
 ◎異質な人を受け入れる度量がある人: 「あの人は懐が深い」
 ・人ひとりを単に個別に判断するのではなく、自分のまわりにいる人たちを全体の組み合わせで考えられるようにれなれる人
 ◎想定外の出来事を飲み込む力がある人
 ・うろたえずに落ち着いて的確な対応ができる人
 
■リーダーになってはいけない人の要素は何か
・ 私心が強い

部下の評価やチームの成果の配分で 自分の利害を優先するという意味で 私心が強い人は 結局は人がついていかないだろうし 間違った判断をしそうである
私心が強いリーダーは 他人も私心が強いだろうとつい想定して その私心や利害で人を操ろうとする。 しかし 経営とは他人を操って誘導することではない。 他人に事をなしてもらうことなのである。

・人の心のひだがわからない

リーダーの役割は 人間集団の求心力の中心となることである そしてリーダーは人々がフォローするからこそリードできる。しかし、フォローする人々は、みんな心を持っている。その心のひだを理解できずに 無神経なことを連発するリーダーには 結局人が付いて行かない

・責任を回避する


リーダーは他人の集団を率いる以上 その集団のあげる成果について責任をしばしば問われる 当然である だがその責任を回避したり 環境のせいや他人のせいにしてつい言い訳 こういう人がいる そんな人はリーダーになってはいけない。
責任には 何かを決める責任と決めた後の結果責任と両方あれ 責任を回避したがる人はそもそも決めたがらない 結果責任を部下に押し付ける


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?