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ゆず愛
2020年7月29日 23:38
「お月様が笑ってるよ。」空を見上げ、彼が言う。今年の夏は、イベントが何も無くて、ただ、夜空を見上げるだけになった。しかし、私の右手を繋いで歩く彼は、今日は、君を離さないぞ!という無言のメッセージを手の温もりともに、私に送って来る。街灯の少ない港を歩く。静かな波音だけが囁くように耳に伝わった。港の端に灯台が見えた。漁を終えた船が、錨を下ろして何層も泊まっていた。彼は、私の