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『Division Point』 その2 (未映像化台本)

17.同。5分後。
 ジョーイとデンタのUPから。二人共、顔に傷が出来ている(二人でやりあった後)。
※ ※
 アリエールはソファに座ってボーゼンとしている。
 ジョーイは自分のデスク・セットの椅子に座って、デンタはデスクに片手を付け、手前に立ってそれを見ている。
 アリエール「クビよ、もう、クビ・・・。あたし、絶対クビになる・・・・」
 デンタ、ジョーイに「誰・・・? この女・・・」
 ジョーイ「損保会社の人で、ウチの担当のアリエールさん。ま、今回は掛け金が高過ぎたんで、ウチじゃなくて荷受人に掛けて貰ったんだけどな。・・・・って、お前この人知らんの・・・?」
 デンタ「初めて会った」
 ジョーイ「・・・・・(考えて)、ちょっと待て。じゃあ何で盗られたの知ってんだ?」
 アリエール「皆んな知ってるわよ、どうせ、もう・・・・」
 ジョーイ、デンタ「・・・・・・」
 ジョーイ、デンタに掴み掛かり、「おっお前! ベラベラベラベラ喋り廻ったのか!!」 
 デンタ「違う違う! ・・・ここ来る前にちょっとだけベンの店に寄ってさ、どうしたって聞かれたからつい・・・」
 ジョーイ「飲み屋じゃねーか・・・。バカ!何でそんな・・・!」
 デンタ「だって、喉乾いてたんだもん〜」 
 ジョーイ「そ・・・・!」と、絶句。「そんなとこで喋ったら街中広まるのが当り前だろうが!」
 アリエールの声が掛かる。
 アリエール(強い口調になってる)「それじゃ困るのよ!」
 ジョーイ、デンタ、はい?と、見る。
 アリエール「街中に知れ渡ったりしたら、本当に弁済しなきゃならなくなっちゃうじゃない!」
 デンタ、ジョーイに向かって、「払うの・・・・当り前なんじゃねーのか?」
 アリエール「今回の件のエンド・ユーザー・・・つまり、あんた達のお客が名義人になるっていうから契約したのよ。でなきゃ、あんた達じゃとても予審をパスする補償額じゃない訳よ!」
 ジョーイ「言ってくれるなぁ」
 デンタ「でも、うーむ」
 アリエール「あーんな高額の保証金の弁済って事になったら、本社決済ですよ! もしもそうなったら、あたしは責任取らされて絶対クビだわよ!冗談じゃないっての!」
 ジョーイ「って、言われてもなぁ・・・・」
 デンタ「ねぇ」
 アリエール「あんた達もさあ!(と、ズンズンと歩み寄り、)何甘い考えしてんのよ! こんな事が世間にバレたら、信用無くして二度と仕事なんか来ないわよ!」
 ジョーイ「そりゃ判って・・・・」
 アリエール「じゃあ、どうする気?」
 デンタ「ん? う〜〜〜〜ん・・・」
 ジョーイ「じゃあ、あんたはどう思うんだ? 何か名案が有るのかい?」
 アリエール「名案は無いけど、打開策なら持ってるわ」
 ジョーイ、デンタ「?」
 アリエール「あんた達がブルーダイヤを取り返すのよ」 
 ジョーイ、デンタ「・・・・・・」と、嫌〜な顔で見合わせる。

18.街外れ。夜。
 デンタの声(Off)「取り返すのよ・・・・なんつっちゃって・・・」

19.Domest V.T.M(Various Technical Machines Trading company)[ドメスト総合機械卸売会社]のビル。
 デンタの声(Off)「んな訳に行くかっての。バカか? あの女。俺達にそんな義務無いもんね」

20.ビルの中。廊下。
 ジョーイの声(Off)「でもなぁ・・・やばくなったからトンズラってのもどうだかなぁ・・・」
 デンタの声(Off)「じゃ、どうしようっての。やるってぇのか?」

21.ビルの中。「security」(警備員室)の札付いてるドア。
 デンタの声(Off)「ジフのチームって言や、暴力と略奪がモットー、マジメに汗水流すのは女とヤル時だけって奴等なんだぞ。そんなの相手にしてられるかって」

22.警備員室の中。警備員二人が猿ぐつわをされ、縛られて床に横にされて唸ってる。
 ジョーイの声(Off)「いつの間にそんなに詳しくなったんだよ?」
 デンタの声(Off)「えっ・・?あーっと・・・」
※ ※
 唸っている警備員達の斜め上に窓が有る。隣の部屋の倉庫が見える。
 倉庫の中に人影が二つ。デンタとジョーイである。箱等に詰めた武器、弾薬を車に運んでいるのだ。
 デンタの声(Off)「ベンの店で教わった・・・」
 ジョーイの声(Off)「おー、おー、そーかい」
 
23.倉庫の中。
 デンタ、ライト付きメットと、サングラスと、口に布で顔を隠している。「まぁまぁ、そんなことは置いといて。さっさと車と武器を頂いて行こうぜ」
 ジョーイもライト付きメットと、お面で顔を隠している。「唯一の足だったからな。お前が盗られたあのトレーラーは」
 デンタ「・・・・・・・」

24.警備員室の中。
 警備員の一人、横になったまま壁の警報器に向かって、這って行く。
 
25.倉庫の中。
 ジョーイとデンタの選んだトラックにエンジンが掛かる。
 デンタ、正面のシャッターを開けながら、「どうするかは後にして、とにかく街を出るのが先決だべ」
 運転席のジョーイ「・・・か。明日になっちゃったら、又、あの女がやって来るだろうしな」
 
26.警備員室の中。
 警備員の一人、壁の警報器のスイッチに足を伸ばしている。
 押そうともがく。「く〜〜〜・・・・う・・・・。うっ・・・うっ・・・」

27.倉庫の中。
 警報が鳴り響く。
 ジョーイ、デンタ「!!」
 ジョーイ「くそっ・・・!デンタ、OKかっ!?」
 デンタ、荷台に飛び上がりながら、「行こうぜ!!」
 発進。建物を飛び出すトラック。
 荷台の上で、建物に振り返っているデンタ「へへ・・・」
 そのまま門に向かう。
 迫る門。
 ジョーイ「!」
 近づく門の外側から人影がスッと現われる。
 ジョーイ「クッ・・!」
 ジョーイ、グッとブレーキを踏む。ザザッと制動するトラック。
 デンタ、揺れに体を取られ、車体に倒れ込む。「あいてっ!」
 ジョーイ「・・・!」
 体を起こすデンタ「あいてて」
 門に立っているのはアリエール。「随分と大胆な夜逃げじゃないの」
 それを見て、デンタ、ジョーイ「あ〜あ・・・」 
 ジョーイ「偶然じゃんよ」
 アリエール「偶然なもんですか。あんた達を信用してないからってことよ」
 ジョーイ「あと尾けたのか!俺達を見張ってたのか!」
 アリエール「ひょっとして、あんた達の狂言って事だって考えられないでもないしね。でも、こんな風に街を出ようってところをみると、取り敢えずそれは無さそうだわね」
 ジョーイ「何言ってやがる・・・」
 デンタ「おいおい、悠長に立ち話してる場合じゃないんじゃないの? 警備会社の応援か自警団が来るぞ」
 ジョーイ、アリエールに「とにかく・・・お前も乗れ。一旦事務所に寄って、めぼしい荷物を積んで出発だ」
 アリエール、助手席に乗り込みながら「で?」
 ジョーイ「どうせ引っ付いて来る気なんだろうが。」
 ドア閉めて、アリエール「まあね」と微笑う。

(続く)

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