『Division Point』 その7(完) (未映像化台本)
52.50と同。
ジョーイ「保険屋・・・・・!」
デンタ「あの課長はんかいな!」
ジョーイ「何でお前がなまるんだ?」
53.まだちょっと離れた空域を来る戦闘ヘリ。
コクピットにはモノゲン。
モノゲン、無線に向かって「あー、こちらモノゲン。課長、間もなく10分前に爆発の有った地点の半径2km以内に着きまっせ。どうぞ」
課長の声「よっしゃ。ブルーダイヤ持って、はよ戻りや」
モノゲン「まぁだ見つけたとは言うてへんですがな。運送屋がいるとも判ってへんでしょーが」
課長の声「営業勤続35年の勘がワシにそうや言うてんねん。間違いあらへんがな」
モノゲン「35年で課長って・・・・・やっぱりちゃうんやないですか?」
課長の声「殺すで、ホンマに」
54.50.52と同。
トラックも来ている。
ジョーイ「全く、次から次へとよくもまあ」
アリエール「事を構える事は無いわ。ブルーダイヤの行方も判ったんだし。奪い返して荷受人の所へ急ぎましょう」
ジョーイ「いや。ここでやり過ごせても、どうせ又来る。荷を取り返してから襲われたら却って面倒だ。何とか和解しときたいな」
デンタ「でもね、一度こうなっちゃうとね、そう簡単にはね、いかないよね」
アリエール「あたし達が荷を取り返せれば、ウチの会社だって追う理由無くなるってのに・・・」
ジョーイ「とにかく、相手の出方っていうか、方針だけは知りたいな。どうする積りで追って来たのか」
デンタ、「ふーむ」となる。
ふと、ボスに目をやる。
デンタ、ボスに「お前にも運試しをさせてやろうか」
ボス「・・・・・」
55.モノゲンの戦闘ヘリ。
前方に火がくすぶるテント群が見える。
モノゲン「あれかぁ・・・」
一気に接近し、上空を通過する。
モノゲン「ん?」
後ろを見る。
※ ※
テント群を背に走り去ろうとしているジョーイ達のトラックが見える。
※ ※
モノゲン「いた! いましたで! 連中のハーフ・トラックや!!」
課長の声「ブルーダイヤ有るか!?」
ターンして追う。
モノゲン「いや・・・無さそうでっせ。トラックだけですわ。でも(後ろを見て)、近くに隠れ家みたいなのが有りますわ。そっちに有るかもしれまへん」
課長の声「よし、いてまえ!」
モノゲン「ええんですか?確認してへんのに」
課長の声「ワテの勘を信じんかいな。さっきかて当たったやないの」
モノゲン「二度目はないんとちゃいますー?」
56.勢い良く走るトラック。追うヘリ。
57.ヘリ。コクピット。
モニターにトラックを捉えている。
モノゲン「ほな、一思いに行きまっせ」
掃縦悍のボタンをグッと押す。
58.へり。ミサイル二発を発射。
一発はトラックの足元の地面をえぐり、もう一発は浮き上がったトラックを直撃。
59.ヘリ。コクピット。
モノゲン、下のトラックを見つつ「やっちゃいましたで・・・」
課長の声「ほんならブルーダイヤ探してや。頼むでー」
60.燃えているトラック。上空をヘリが、テント群に向かって飛び去る。
モノゲン(off)「了解」
尚燃え続けるトラックの傍らにボスのサングラスが落ちている。
61.テント群。
ヘリが傍に降下する。
モノゲン(off)「何か死体がポロポロありまっせ。撃ち合いがあったんでんな」
ヘリ、もうもうと砂塵を上げながら着地する。
課長の声(off)「皆んな事情は色々あるんやろ。まあ、そりゃええねん。ワシらにはどうでもいいこっちゃがな」
コクピットのハッチを開け、モノゲンが降り立つ。
課長の声(off)「とにかくブルーダイヤを探すんや」
モノゲン、テント群に向かって一歩、二歩と歩む。
近くまで来てテント周りを見やる。
モノゲン「無いよ・・・こりゃ・・・」
背後から声が掛かる。
ジョーイの声「そうだよ。無いよ」
モノゲン「!」と、振り返る。
ドアを開け放したままになっているヘリのコクピット縁に腰掛けているジョーイ。手にはマシンガン。
ジョーイ「ここにはな」
モノゲン「げ!」となり、腰のホルスターから銃を抜き掛ける。
グッと手を抑えられ、モノゲン「?」
振り返ると、デンタがモノゲンの右手首を捕まえている。もう片方の手に持っている銃をモノゲンに向ける。
モノゲン「あ・・・」
デンタ「ハーフ・トラックを運転してたのは俺達じゃないんだわ。結局、あいつは運が無い奴だったんだな」
モノゲン「・・・?」
デンタ「お前もそうなりたい?」
モノゲン(妙に明るい)「いやいや。ええんですー」
ジョーイ「じゃあね、会社に連絡入れてくれる? 荷はここにも無けりゃ、俺達も持ってない。それを教えてやりたい」
モノゲン「・・・・そお・・なんでっか・・・?」
アリエール、出てくる。ジョーイの傍らに立つ。「そっ。持ち逃げしたってのは、早とちりって事よ。あたしが証人になるわ」
モノゲン「・・・って? あんさんは?」
アリエール「見覚え有る? ボン課長の部下のアリエールよ」
モノゲン「何でおるん? ここに・・・」
ふいに無線機が鳴る。
課長の声「モノゲン。・・・・・おーい。何か言ってーな」
傍らのジョーイ「・・・!」と、コクピットのコンパネを見る。
アリエール「課長だわ」
デンタ「遅くまで勤勉だなー。ちょうどいいや。まずは出て。ホラ。ね」
モノゲン「ん〜・・・何か良く判らへんなぁ・・・」
といいつつ、ヘリに戻る。デンタ「まあまあ」と言いながら付いてくる。
アリエール、送信マイクを差し出す。
モノゲン、受け取る。
ジョーイ、送信のスイッチ入れる。
デンタ、ジョーイ、銃をモノゲンに向ける。
モノゲン、銃を意識しながら「モノゲンです。課長・・・」
課長の声「おー。どや。見つかったか?」
モノゲン「ここには有りませんで、ブルーダイヤ」
課長の声「う〜ん。そおか。----ほんならなぁ、もうええわ」
四人、間。
モノゲン「はぁ? ええて何です?」
課長の声「さっき本社から部長と所長が連絡寄越して来てな、あの荷をニセ物にする事にしたそうやねん。」
四人、ん? となる。
ジョーイ「何・・・?」
モノゲン「はぁ? ・・・本物なんでっしゃろ?」
課長の声「そういう事にするんや。でっちあげるんやがな。ニセ物に保険もクソも無いやろ? 唯一の気掛かりの運送屋もいのうなったしな」
モノゲン「いや、あの・・・。後からブツが出てきよったらどないするんです。見つかってへんのでっせ」
課長の声「出て来るかいな。どっかの馬の骨が手に入れてるとしてもやな、売り捌く事しかどーせ考えへんがな。とにかく、ブツはニセモノで、間抜けな運送屋が持ち逃げしたっちゅう事でキマリや。これから裁判に備えて徹夜の証拠作りや。お前ももう戻りや」
モノゲン「課長、あのね・・・」
課長の声「通信費も勿体ないやさかい、もう切るで。ほなな」
ブチ・・・と、通信切れる。
四人「・・・・・・」
デンタ「何だあ!! こりゃあ!」
モノゲン「いやぁ〜。何でっしゃろ」
ジョーイ「フザケた会社だぜ、全く・・!」と、通信マイクを引き千切る。
マイクをポイッとホン投げる。
モノゲン「あ〜(と、見送る)」
アリエール「呆れたもんね」
モノゲン「お前が言うかい・・・」
ジョーイ「くそっ。この保険屋の思うツボになったら、荷受人はサギ罪だぜ。ブルーダイヤ持ってっても後の祭だぜ。金は貰えなくなるわ、俺達ゃ泥棒のまんまだわって言う」
モノゲン「うん、うん。ホンマでんな」
デンタ「こうなりゃ、何としてもブルーダイヤ取り返して納期に間に合わせてやるかんな! そいで、逆に保険屋をキューっと言わせてやる!」
モノゲン「せや、せや。そいで、ブツはどこなんでっか?」
デンタ「うるさいよ、お前、帰れ!」
モノゲン「・・・・はい・・・・。」
ジョーイ、アリエールに向いて、「アリエール。お前どうするんだ」
アリエール「えっ・・・・・・?」
ジョーイ「会社に戻りたいか?」
アリエール「・・・・・」
62.飛び去るヘリ。
63.地上を走るバイクが二台。地平線に陽が射す。
デンタは一人で。ジョーイは後ろにアリエールを乗せて、それぞれジフ達のバイクにまたがっている。
ジョーイ、夜明けの陽を見て「納期は明日・・・」
デンタ「大丈夫だよ、何とかなるって!」
アリエール「交替でぶっ通し走れば間に合うわよ!」
ジョーイ、アリエールに「・・・・・・いいのか? お前、会社に戻らなくて」
アリエール「あんな話聞いたらね、労働意欲も失せますよ。ストリップ嬢の方がまだマシよ」
デンタ「辞めるのは賛成だけどな」
ジョーイ「明日を考えない生活に戻るってのか? 俺達をああも焚き付けといて、そりゃ無しにしようよな」
アリエール「どうしろってのよぉ」
ジョーイ「これが済んだら履歴書持って来いよ」
アリエール「えっ?」
デンタ「へへへ」
ジョーイ「俺達とは一蓮托生なんだろ? 折角だ、もう少し付き合えよ」
アリエール「・・・無理してるんじゃないの・・・?」
ジョーイ「してない。これから手広くやってくには、もっとマメな営業や対応が出来る余力が無くちゃ駄目なんだな。人手が要るんだ」
アリエール「どんな仕事するの? 業務分担はどんななの?」
ジョーイ「デンタがドライバーだろ。俺が営業で、お前の仕事は事務と、納期や通常業務の管理、それとその他諸々ってトコかな」
アリエール「面接はいつにしよっか?」
ジョーイ「街に戻った翌日」
アリエール「何時から?」
ジョーイ「10時」
アリエール「ところでね・・・」
ジョーイ「何だ」
アリエール「給料は・・・?」
ジョーイ、デンタ「・・・・・・」
アリエール「・・・・・・・どっちか何か言えー!」
The End
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