見出し画像

『Division Point』 その4 (未映像化台本)

30.どこぞの街のビル街。

31.保険屋さんのビル
 課長達が見ているモニター画面が急にザザッと荒れ、画面消える。
 課長「あ!? 何や!? ナメとんか! こんボケモニターは!」
 さっきのスピーカーの男「課長ぉ・・・・・」
 課長「クソ・・・こうなったらホンマにやったる・・・! おい! 何しとんねん! ヘリよこしたんかい!」
 さっきのスピーカーの男「いやっ・・・その・・・はい・・・!」

32.29と同。
 爆風を受けるトラック。
 アリエール、荷台の縁の飛行船からの陰になるところに座り込んでる。
 ジョーイ、デンタ、煽られひっくり返ってる。
         ※              ※
 燃え落ちる飛行船。
         ※              ※
 ジョーイ、デンタ、よっこらしょ、と立つ。
 一呼吸、置いて、
 ジョーイ「----って、こうなるんだよ!」
 デンタ「びっくりしちゃったじゃねーか! バカ!」
 アリエール「あたし・・・撃ってなーい・・・」
 デンタ「へぇ?」
 ジョーイ「だって、ボーンって・・・」
 アリエール「撃ってないもーん・・・」
 ジョーイ「ボーン・・・」
 デンタ、アリエールの持っているバズーカの匂いを嗅いで「こらホンマやで」
 ジョーイ「・・・!」と、左に振り返る。
         ※              ※
 エアーバイク2台、こちらへ向かって疾走してくる。
         ※              ※
 ジョーイ「あれは・・・?」
 デンタ「・・・ジフだ!」
         ※              ※
 バイクには各々ジフのメンバーが一人ずつ乗っている。
 ジフBはマシンガンを。ジフEはロケットランチャーを片手に持っている。 
 ジフE「おめえらもブッ飛ばしてやるよ〜ん!」
 ジフB「うっ!?」
         ※              ※
 デンタ、バズーカ構えている。
         ※              ※
 ジフB、ジフEに「お、おい! 早く撃て!」
 時既に遅く、デンタの放ったバズーカの弾体が二人の至近に着弾する。
 ジフB「うっひゃー!!」
 ジフEは爆発に巻き込まれ、自分のロケットも誘爆して火だるまとなる。
 二台ともコケ、ザザサザッと横滑りに地面を滑る。
 止まる。
 ジフB「ぐぐぐ・・・・」と呻きながら、肘立て立とうとする。
         ※              ※
 アリエール「やった・・・!」
 デンタ「かっかっか!」と笑う。
 ジョーイ「二人しかいなくて助かったー」
 アリエール「何笑ってんの!一人生きてるわ。仲間の居場所を割らせましょうよ!」
 デンタ「それってもしやブルーダイヤ取り返すっての? ・・・しつこいなぁ」
 アリエール「前にも言ったけどね、あんた達も困んのよ、このままじゃ。今回の客と取り引き停止になるのは確実だし、他の客からだって仕事が来なくなるのよ!」
 ジョーイ「折角マジメにやって来たのになぁ」
 アリエール「そう思ったら・・・・」
 デンタ「ヤダ。あぶねぇもん」
 アリエール「・・・・!」
 デンタ「死んじゃったら、もっと困るもんな」
 アリエール「・・・・・・じゃあ、これからどうする積もりなのよ・・・!」
 デンタ「もういいよ、やめようよ。商売替えすりゃいいだろ。なっ、ジョーイ」と、ジョーイに振り返る。
 ジョーイ「う〜ん・・・・・・」と悩んでいる。
 デンタ「あれっ? 何悩んでんだよ。」
 ジョーイ「何か勿体ないような気がしてきてさぁ」
 デンタ「えっ」
 ジョーイ、立ち上がり掛けているジフBを親指で指差す。「目の前に手掛かりが有るんじゃんか。っつうとな、こう、何か・・・」
 デンタ「まじ? 本気で言ってんのか?」
 ジョーイ、遮るように「それに・・・」
 デンタ「・・・?」
 ジョーイ「俺は・・・浮草暮らしはもう飽きたよ・・・・」

33.時間を置いて、岩漠に倒れているジフB、ジフE。

34.走るトラック。

35.運転席にはジョーイ。

36.荷台にはデンタが武器等をチェックしている。今は炭鉱用アシスト・マシン(人体の周りを覆い、直に人の動きをフォローし、増幅するスーツ式の機械)をいじっている。傍らにはアリエールがジフBから奪った書類に目を通している。
 デンタ、チラとアリエールを見て、「さっきのジフ野郎の持ってた書類か? 何が書いてあるんだ?」
 アリエール「これ、注文書。あの二人は、一足先にザブ市迄行って値付けして来たのね。随分安く売る事にしたみたい」
 デンタ「まあ、奴等じゃ綺麗にサバケる訳も無いわな」
 アリエール「あんな大量のブルーダイヤの原石だからね・・・買い取れるところもそうそうは無かったんでしょ」
 デンタ「ふ〜ん」等と言いつつ、整備したアシスト・マシンを試しに動かしてみる。
 その様子を見ているアリエール。
 アリエール「あの〜・・・」
 デンタ、目も向けずに「んー?」
 アリエール「ごめんね」
 ちょっとの間。
 デンタ、びっくりする。オーバーアクション。「何だよ! 気持ちワリイな! 何か変な事言った? 俺」
 アリエール「だってぇ、無理言って無茶させる訳だしぃ・・・」
 デンタ「・・・・・・」
 デンタ「俺達だって真っ正直に生きて来た訳じゃない。気にすんな」
 アリエール「・・・・・」
 デンタ「それにさ。ジョーイはねぇ、大分その気になってるしな。俺達はずっとプラプラ生きて来たんだ。で、まぁ、居づらくなって地球を出てこの星に来てさ。あいつはもうそろそろ根っこを降ろした暮らしってのをしたいのさ。折角三年もやってきた会社がこのまま潰れるのは我慢ならねーんだ」
 アリエール「あなたは? どうなの?」
 デンタ「俺っ? 俺はねぇ・・・・・・俺はいいんだ。意志とか信念なんて大してありゃしないんだよね、俺は。優柔不断な日系人だからさ。それにジョーイには昔から色々借りが有る訳よ。今はあいつの手助けをしてみっか、ってな感じ・・・」
 アリエール「ああ、それ日本でなんて言うか知ってるわ。待って・・・ええと・・・・・カツオブシ!」
 デンタ「・・・・・なーんか、この人が何で今この星にいる訳が判った様な気がするなぁ・・・」

(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?