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『nice fright』 (未映像化台本)

(本作は、2020年前半の緊急事態宣言真っ盛りの時に書いたものです)

飛行中のジェット旅客機。
シートに座っている浅野(濃そうな50代)、井上(割とまともな感じの20〜30代)、内田(ちょっとがさつな20〜30代)、遠藤(オタクっぽそうな30代後半)、ケン、キミコ(二人揃って20代前半)の一同。
暫しの沈黙の後、

浅野「あの」

井上「はい?」

浅野「この飛行機、人少ないですね」

井上「(周りを見回して)ああ・・・六人ですか。コロナの影響ですよね」

内田「ふうん。航空会社も大変なんだろうな。まぁ、俺には関係ない。お姉ちゃん。ワインのおかわりくれよ」

CA in「はい、失礼いたします。どうぞ」

内田「CAも一機に一人きりか。手抜きしてるなぁ」

CA「手抜きじゃないんです。海外から戻ると、二週間外出を抑制されるので、人員に不足が生じておりまして。申し訳ございません」
CA out。

内田「何だよ、愛想もクソも無いCAだな」

遠藤「なるほど。社の人間をあっちこっちにグルグル廻してるんだぁ。だからターミナルの係も人が少なかったのか」

ケン「荷物の検査も全然適当だったもんな」

キミコ「そういや、体温チェックとか受けたっけ?」

井上「ところで、って言うか、皆さん、こんな時期にどうしてこのツアーに参加したんですか?」

内田「はあ。そういう事訊くんだ?」

井上「あなただって気にはなるでしょう?」

内田「まぁ、なぁ。おかわり」

CA in「はい」out。

内田「やっぱり愛想ねー」

遠藤「長旅の退屈しのぎには丁度いいですね」

井上「こういう事は言い出しっぺからが定石ですかね」

ケン「ですかね」

井上「僕は芸能事務所の経営者なんですよね」

キミコ「えー、芸能界の社長さん。だったらどうして」

井上「元々ギリギリの自転車操業だったんですけど、地下アイドルグループの女の子がストーカーみたいなファンから暴行被害を受けて、急に芸能界を引退しちゃって」

浅野「なんかどっかで聞いた様な話だな」

遠藤「うん。主に関越地方で」

井上「まぁ、そりゃあ致し方無いかって事だったんですけど、そのあと頑張ってた俳優にでかい映画の役が決まりまして、美味しいCMの仕事まで入ってきたって時に、そいつ、ファンの子を乱暴しちゃって」

キミコ「あー、それはダメ」

井上「通報されて逮捕されたら、覚醒剤反応まで出まして」

内田「何に頑張ってたんだよ、そいつは」

ケン「なんかそっちもどこかで聞いた様な話がブレンドされてるなー」

キミコ「芸能界あるあるなんでしょ」

井上(ここの芝居は、深刻というよりも、自らの悲劇に酔っている体で)「で!(不意に声に詰まる)くく・・・契約違反の賠償請求がどーん、どどーんですよ。うー・・・払う資力なんか無いんです。(深呼吸、すっと落ち着いて)で、逃げ出したんです(落ち込む)」

浅野「逃げ出した・・・」

内田「うーん・・・俺は沖縄で料理屋をやってたんだけど、こっそりヤンバルクイナの料理を出してたのがバレて」

遠藤「自然保護鳥の?」

内田「あいつら、ほとんど飛べないから捕まえるの簡単なんだよね」

浅野「論点そこじゃない」

キミコ「あくどい」

内田「いや、だって、結構美味いって客が言うからさぁ」

遠藤「美味いんだ」

浅野「いや、そこでもないでしょう」

ケン「あっ、なんかニュースになってた!あれか」

内田「飲食店だからSNSもちょいちよいとやってた訳よ。そしたらもう炎上するわ、非難中傷バンバン来るわ、動物保護なんちゃらから連絡くるわ」

遠藤「そりゃそうなるだろうね」

内田「でー、こりゃ警察沙汰になるなって思って、先を越して逃亡した訳。なんかさぁ、お先真っ暗でしょ(半むくれ)」

浅野「逃亡・・・」

井上「(こどもっぽい泣きっ面)それって自業自得ってヤツじゃないですかー。僕の事情と全く違う・・・」

内田「何だよ。話せって言ったのあんただろーが。じゃあ言わせんなよなー」

井上「そうか・・・済みません・・・」

内田「素直かよっ」

浅野「あの」

井上「はい・・・」

浅野「このツアーって・・・ひょっとして国外逃亡ツアー?」

遠藤「え?」

浅野「え?」

内田「は?」

浅野「は?」

ケン、キミコ「マジで?」

浅野「マジって、何が?」

井上「そんなツアーを旅行会社が組む訳ないじゃないですか・・・」

浅野「そうか・・・そうだよね」

井上「(急にシャンとして)そういうサイトで知り合った僕達が、適当なツアーを貸し切りにしただけです」

浅野「おお?」

遠藤「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」

内田「ビートたけし!」

井上「古ー」

浅野「じゃあ、やっぱり国外逃亡」

ケン「違いますよ」

浅野「い?」

キミコ「名付けて!グアムで集団自殺ツアー!」

浅野「いやー・・・えーっ・・・?」

井上「(大分元気になってる)僕達は、この世で生き続ける意味を見出せなくなってしまったのです。それならばいっそ死なば諸共とね」

浅野「近場で青木ヶ原樹海とかじゃダメだったんですか?」

内田「アンケートでさ、このカップルがグアムが良いって言うからさ」

遠藤「恋人岬でしょ?」

キミコ「そう、そこ。自殺、カップルと言ったらそこでしょ。私達二人が最期を迎えるにふさわしい場所って感じ、するじゃない?」

ケン「(ぼんやりした笑みで)んー」

井上「あー。そういうアレだったんだね」

浅野「おお・・・それは困ったなぁ・・・」

内田「あんたは、たまたま居合わせてしまった感、満載だな」

遠藤「ま、無理に付き合わせる気もさらさら無いですし、グアムの空港でお別れすれば良いだけですよ」

浅野「いや、そういう訳にもいかない事情があってねえ・・・」

遠藤「事情?」

内田「なんだってんだ」

キミコ「(妄想モード)恋人岬で夕陽の中で、ロマンチックにね。ね?ケンちゃん」

ケン「う、うん、そーだね、キミちゃん・・・」

井上「あなたにも何か含んだところがお有りの様だ。お聞きしましょうか」

浅野「ええと。私は結構な資産家で・・・いや、資産家だったんですが、中国、香港、マカオとカジノを2年間渡り歩いてさ、それでことごとく負け続けてね、2年の間ね・・・。その結果、親が遺した財産をすっかり食い潰してしまいまして」

内田「ああ、それでこのツアーに?あれ?いや、確か文脈的にそうじゃなかったんだったよな」

浅野「いや、次はラスベガスへ行こうかなと」

遠藤「え?」

浅野「カジノの本場で巻き返しを図ろうかなと思いまして(ニタニタ)」

内田「製紙会社の社長じゃねーんだから」

ケン「全然反省してない」

井上「むしろたくまし過ぎる」

キミコ「てか、怖いんだけど、この人ー」

遠藤「ちょっと待ってくださいよ。この便グアム行きですけど」

井上「なんでこの便に?」

浅野「だって、ラスベガスまでの便を買うより、その金ギャンブルに廻す方が割がいいし。で、方角的にまあまあ一緒でそこそこの値段のグアム行きをね」

キミコ「はあ?」

内田「どういう意味?」

浅野「あ!すっかり言い忘れてました!私、この機をハイジャックするんです!」

井上、内田、遠藤、ケン、キミコ「おーっ?!」

浅野「(右手に何やら機械を握っているのを示して)貨物室の私のスーツケースの中には、爆弾が仕込まれている!これが起爆装置だ!」

ケン「うそっ」

CA in「爆弾!爆弾って聞こえたですけど!」

遠藤「X線検査でバレるだろう!」

浅野「半生な短冊状にしたから、羊羹かういろうだと思った筈だ。だからバレてない!!!!」

内田「そうなのか?!」

CA「えー?いやー?うーん。そうかもー」

内田「おいおい」

井上「適当だなー」

浅野「だから、そうなんだって!!!!」

ケン「そういう事にしとくしかないですね」

遠藤「人手不足を理由にいい加減な検査だったんだろ!」

CA「んー(モジモジ)」

キミコ「否定しないのかーい!」

浅野「さあー。そういう訳だから!一路ラスベガスへ向かって飛んで貰おうかー」

内田「頭のネジが1ダースくらいぶっ飛んでるな」

井上「カジノか・・・」

浅野「おい、そこなスッチー。そういう訳だから、機長へラスベガスへ向かう様に伝えてくるのだ。けけけけけけ」

キミコ「やだあー。私の恋人岬がー」

CA「あのう、お客様」

浅野「え?なに?くききききき」

CA「出来ましたら、スッチーではなく、今風にキャビンアテンダント若しくは、CAと言っていただけますと幸いです」

浅野「ほほほ。何がCAだ。言い方が変わっただけで、その実は何も変わりは無いだろーが。自意識過剰でチヤホヤされたいだけの愛されたいキャラめ!」

CA「(なんだか怖く)うーーーー」

遠藤「あー、言っちゃった」

CA「うーーーー」out

井上「良くない。良くないなぁ。職業の尊厳というものを無視する発言だ」

内田「核心を突けば、必ずしも正しいと言う訳ではないのだ」

ケン「あれっ?ゲスい割に意外に良いこと言うなー」

内田「誰がゲスだ」

遠藤「いや、間違いない」

浅野「間違いない」

井上「間違いない」

キミコ「そうそう」

内田「何だよ、お前ら。いいよ、いいよ。そうならそれでいいけどさ!あっ、そうだ!お前らカップルは何でここにいるんだよ?なんだかエロそうな匂いがするなー」

井上「やっぱりゲスい」

ケン「僕たち、結婚を親に反対されて」

遠藤「もしかして、駆け落ちなの?」

キミコ「はい。彼と一緒になれないなら、この先、生きてても意味無いと思ってます」

浅野「若いなあ」

井上「純粋なんだね」

内田「君達さあ、結婚なんて良い事ばかりじゃないよ」

キミコ「そんな事言わないでください。私達真剣なんですから。ねえ、ケンちゃん」

ケン「・・・」

キミコ「・・・あれ・・・?なになに・・・?どうしたの?」

ケン「いや、あの、別に」

キミコ「え?待って。アレなの?もしかして後悔してる?」

ケン「えー・・・?」

キミコ「うそーっ!殺す!殺すぞお前!きいいいいい」

ケン「わーー!」

浅野、井上、内田、遠藤「ダメダメダメダメ!」

ポーン

機長の声「機長より乗客の皆様にお知らせいたします。ひっく、当機はハイジャック犯からの、うぇっぷ、により、ただいまラオスに進路を変えました。ううん、どちら様も・・・え?ラスベガス?ラスベガスだってか。なんだよぅ、めんどくさいよぅ。うー」

CAの声「機長ー!」

ポーン

浅野「なんだありゃ」

遠藤「大分慌ててますね」

内田「いや、なんかおかしくなかったか?」

井上「んー、なんだかごちゃごちゃして来ましたけど、あなたも発言しときます?折角だから」

遠藤「ああ、私ですか」

井上「はいはい」

内田「ここまで来ると、とにかく一通りやっとかなきゃって気にはなるな」

浅野「ちゃんとベガスに向かうんだろうなー」

遠藤「実は、私はコロナにかかってて」

浅野、井上、内田、ケン、キミコ「えっ?!」

遠藤「陽性なんです」

浅野、井上、内田、ケン、キミコ「はあ?」

遠藤「もう死ぬんだなって。そう思ったら、もうどうでも良くなって。どうせニートだったし」

内田「ニートでなんでコロナにかかるんだ」

遠藤「知るもんか・・・!あ、いや。婚活イベントかな、多分」

井上「何だよ。割合と前向きじゃないか。ニートの癖に」

遠藤「でもそれも無駄に終わる。だってコロナだもん。もう死ぬんだ」

キミコ「んー、でも、重症化してる様には見えないけど。熱とか有るの?」

遠藤「ん?(額に手をやって)いや、特には」

浅野「君、バカなの?」

ケン「ニートなのに情弱? 普段何してるんですか?」

遠藤「主にグルメ情報を探りまくってます」

ケン「ニートにその情報要るの?」

内田「あっ!!!」

井上「なに? びっくりするなぁ」

内田「やべえ。ひょっとして俺たちクラスター?」

浅野、井上、ケン、キミコ「(遠藤を見て)あーーー」

浅野「おいおい、それじゃラスベガスに着いても降りられないじゃないか」

遠藤「すみません・・・」

キミコ「グアムもじゃん!」

ケン「いや、それはもうとっくにね」

キミコ「ケンちゃん・・・」

ケン「なに・・・?」

キミコ、ケンをジトーっと睨む。

浅野「(思案していたが、顔を上げて)よし、スウェーデンへ行こう」

内田「ス?」

井上「スウェーデン?」

キミコ「ちょっと!」

ケン「なんでまた」

浅野「あの国はコロナ規制を一切してないからね。ひひひ」

内田「ブラジルもだろ。俺、あったかい方がいいからさー。そっちにしてよ」

浅野「カジノが無さそうだからダメ」

遠藤「なるほど」

内田「納得することないだろー」

浅野「ヨーロッパなら地続きだからどうにでもなる。イタリアのカジノはラスベガスのエンタメ一本槍とも違って、格式が有っていいらしいぞ。うきききききき」

井上「・・・あの。・・・あの、ちょっと済みません」

浅野「俺?」

井上「あっちに着いたら、カジノに連れて行って貰ってもいいですか?」

浅野「どうしたの?」

内田「あれっ?死ぬんじゃなかったの?」

井上「いや、その、ちょっとですね、うーん、一発逆転にチャレンジしてから死ぬ事考えてみてもいいかなー、なんて、ちょっとね、ちょっとだけね」

遠藤「あー!やっぱやめるんだ。一抜けするんだ!」

井上「そう言うあなたはまだ死にたいの? あなたが死ぬ理由はなんだったっけ?」

遠藤「あ」

ケン「(イヤミなく)元々死ぬ必要ないって言う。お間抜けな話だなー。あはは」

遠藤「そういや、スウェーデンって、ポルノ解禁の国だったっけ。婚活も盛んかなぁ」

内田「なんだよ。逆に希望持っちゃってるよ」

キミコ「待ちなさーい!!!」

浅野、井上、内田、遠藤、ケン「うわああああ」

キミコ「何これ!どういう流れでこうなってんのかぜんっぜん判んない!とにかく!!私とケンちゃんをグアムで降ろしてよ!」

浅野「いやー、それはー・・・」

キミコ「(息荒い)ふーっ、ふーっ、・・・グアムに行けないんだったら、絶対死ねない!」

井上「ん?」

ケン「ほっ(安堵)」

キミコ「どうあっても必ず恋人岬に辿り着くから!それまでは生き延びてやるんだから!いい?!ケンちゃん!」

ケン「は、はいっ」

内田「なんじゃこれ。どいつもこいつも。そしたら俺だけおっちねるかってんだ」

ケン「どーも」

内田「お前もなんとか急場を凌げて助かったな。彼女もそのうち開放的なヨーロッパに感化されてアホみたいに色々忘れてくれるかもな」

ケン「いやー。どうでしょー」

井上「まー、地中海で沖縄料理屋を開くなんてのも良いかもしれませんねぇ。魚介が豊富に獲れるらしいし」

内田「ワインに合う沖縄料理。それ良いなー。考えてみるわ」

キミコ「今度は禁漁のクロマグロとか獲ったらダメですよ」

遠藤「パツキンはやっぱりアンダーも金髪なんだろうなー。いやー、楽しみだなー」

浅野「ちょっと!ちょっと待ってくれ!」

井上、内田、遠藤、ケン、キミコ「?」

浅野「なんとなーく、いつの間にやら和やかな良い感じになっているところ大変恐縮でございますが、さっきのアナウンスから察するに、この飛行機の機長さんはなかなか筋金入りの様だ。すんなり我々の要求を受け入れてスウェーデンに向かうかどうかは判らないぞ!」

CA in「それでしたら大丈夫です」

浅野、井上、内田、遠藤、ケン、キミコ「?」

CA「当機の機長は、つい昨日CAとの不倫が同僚に知られて、会社にバラされたくなかったらお金を出せと脅されたところです。ゆうべはもう嫌だ、逃げたいと大声で喚いてました。おまけに飲み過ぎて、今、二日酔いでフラフラしてます」

ケン「それ、搭乗したらダメなヤツじゃん!」

CA「喜んで、逃避行にお供すると申しております」

遠藤「飛行だけに」

キミコ「漢字じゃないと伝わり難い」

遠藤「済みません」

井上「ドンマイ!(サムズアップ)」

CA「機長は既に祝杯を挙げているほど意気込んでおいでです」

ケン「え?!飲んでるの?!」

井上「いや、そんな意気込みは要らないですよね」

キミコ「こわっ」

内田「大丈夫なのか、この機は」

浅野「え、しかし、機長はともかく、あんたは?」

CA「・・・(間を置いた後にふいによれっと)機長の不倫相手が私なんですう。よよよ」

浅野「はあー」

CA「バレたら社内で後ろ指指されて、もう嫁の貰い手も無いわー。ひっひっ(ひきつけ)」

井上「まあまあまあまあ」

CA「あれこれ不安なことばかり考えていたら、なんかどんよりしちゃって。思考が停止しちゃって」

キミコ「鬱じゃないの。鬱でしょ、それ」

CA「なんか、もうどうでもいいー」

遠藤「お嬢さん、僕はそんな過去気にしませんよ。良かったら」

内田「このニート野郎、どさくさに紛れて」

CA「では、機長へスウェーデン行きを伝えて参りますので、失礼いたします」out

遠藤「なんか未来が開けてきましたねー」

井上「ギャラの前金だけでも貰っといて良かった。やっぱカジノって言ったらルーレットかな」

グラーっと傾く。
一同「ん?」となっているところへ、CA in。

CA「(情けなく)助けてくださいぃぃ」

キミコ「はあ?」

CA「機長が起きてくれませんー」

浅野「寝てんのか!」

内田「バカ酔っ払いめ!」

逆側にグラーっとなり、一同「うわうわうわ」

井上「副操縦士は何やってるんですか?!」

CA「ですから、人手不足でー」

ケン「コロナのバカー!」

また、逆へグラーっ。
と思いきや、正常位置でとどまる。

一同、一瞬「?」

ポーン

機長の声「(だるーい)機長より乗客の皆様にお知らせいたします。寝落ちしてて済みません」

浅野、井上、内田、遠藤、ケン、キミコ、CA「おおー」

機長の声「ただいま当機はハイジャック犯からのアレにより、スウェーデンに向けて順調にインド洋上を航行中です」

ポーン

浅野「助かった。俺の爆弾」

井上「僕のルーレット」

内田「地中海」

遠藤「パツキン」

キミコ「グアム」

ケン「新しい恋」

キミコ、CA「えっ?!」

CA「今、インド洋って言いましたよね」

井上「えっ、なんでそんなところを」

内田「ホント酔っ払いはしょうがねえな」

浅野「まあ、急ぐ旅でもないし」

キミコ「ケンちゃん、さっき何て言ったの?」

ケン「え?なんか言いました?僕」

遠藤「逆に今まで飛んでてラッキーでしたね」

浅野「ホントだよねー。あははは」

一同「はっはっはっ」

ポーン

機長の声「機長より乗客の皆様にお知らせいたします。当機はまもなく燃料切れとなります」

浅野、井上、内田、遠藤、ケン、キミコ、CA「・・・?」

機長の声「うっかりやらかしちゃいました。ごめんなさい」

浅野、井上、内田、遠藤、ケン、キミコ、CA「(慌てる)おいおいおいおい!」

浅野「ききき緊急着陸とかさ!」

内田「近くの空港へ行けよ!」

CA「インド洋上です・・・」

遠藤「いやだー」

キミコ「バカバカバカ」

井上「何やってんだよー」

機長の声「それでは皆様。残り僅かのフライトをお楽しみください。Have a nice fright.」

一同、不安・恐怖の表情のさなか、画面がガタガタし出した途端・・・暗転。

おわり

エンドロールの前に、
スーパー「"Have a nice flight."(良いフライトを楽しんでください)」

スーパー「"Have a nice fright."(良い恐怖を味わってください)」

備考:ポーンはタイミングが欲しくてなんとなく付けたので、無くても良し。

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