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「記憶のカケラの浮き輪」のために書かれた本。

M6リフィルで作った小さな本。
その中に小さな言葉の物語をいれるので、
その本文です。

世界に1冊しかない自分用の本なので
なにを書いたかnoteに残しておきます。

ストーリーがあるような、ないような。
少し不思議な言葉たちに見えますが、
身体の中のどこかで検索できなくなり、
迷子のまま眠っている記憶のカケラを
そっと思い出す「鍵」みたいなものです。

曖昧でぼんやりしているけれど、
なにかの記憶と手を繋いで、
記憶の水の底から浮上し、遊びにくる。
そういう言葉たち。

何度忘れても。
大丈夫、そのうち会えるよ。

001

考えることがたくさんあっても、
心は過去と未来で続いている。
終わらない記憶の糸電話。

002

記憶が好みも考え方も作るなら、
今の空の色や珈琲の香りが、
明日の私の一部。

003

正夢はないよと言う、
あってもなくてもいいか。
目が覚めて存在した朝を数える。

004

ゆらぎとなぎの間で
気分屋の天気に振り回されて
昔の恋みたいだわ、とか。

005

傘がないのか窓の外、
走る人が3人。
使ってない傘が5本もあるのに。

006

身体のどこかにいる
スキーマを片付けていたら、
とても小さな魚だった。

007

昔好きだった人もそうでない人も
記憶の中のその人は
本当にその人なのか自信がない。

008

遅く起きてもまだ午前だった。
長すぎる一日、
途方にくれる迷子。

009

日曜の朝は絶対に起こして。
お願いしたけど、
起きなかったのは私の骨のせい。

010

どうしたいの?と聞かれも困るし
どうしようもないから
生きてるんだよ、多分。

011

初夏の青息の芽の匂い。
目をつぶると匂いは濃くなって、
口を開けると肺がどうもと挨拶。

012

I think. 思うんだけどさ。
閃いて書いた走り書きの最後の線が、
ここまで辿りついちゃったんだよ。

013

眠いのと起きたくないのと、
似てるけど全然違う虫で、
天道虫と毛虫くらい。

014

カワイイだけならあっちへ。
かわいくもないけど欲しいならこっちへ。
何を言っているかわからない魅力。

015

全部覚えてるけど思い出せないんだ。
そんな名前の何かに、
宇宙でずっと道を聞かれている。

016

15秒で終わる物語に、
誰かの勘違いが乗っかって、
無賃乗車の旅みたいな記憶。

017

記憶を切って貼って削って作った彫刻。
どこから見てもカタチはないし、
誰にも見えないけど高値の高嶺。

018

銭湯の湯船に膝がはみ出して、
そういえば膝ってこんなカタチだったっけ。
骨がちょっと凹んでいて小さな月面。

019

この地球に幾人いるか分からない歌姫を、
全員集めたテーマパークで、
ミラーボールと楽しく踊ろうよ。

020

喫茶店で食べたナポリタン。
白いシャツの襟に跳ねたのか、
夕焼け水溜まり。



「記憶のカケラの浮き輪」の本についてはこちらの投稿で詳しく紹介します。


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