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仕事中、左手の薬指に指輪をつけるかどうか

東京都内の障害者相談支援センターで働いています。

仕事をしていると、相談に来た人から恋愛感情を持たれることがあります。先輩方に聞けば、若いうちはあるあるなんだそうです。

実際に告白されるケースもよく聞く話。
こちらとしては、きっぱりはっきり断る姿勢が大事です。
特に精神保健福祉士というのは、関係妄想があったり他者との境界があいまいだったりグレーな発言の意図を読むのが苦手だったりする方を相手にすることが多い職業。あいまいでいいことは何もありません。
「つきあえません」と言ったとしても「それは仕事の立場上そうなんであって、個人的にはそうじゃないんですよね」と食い下がってくる勇敢な方もままいらっしゃるので、「個人的にとしても、ありえません」くらい言っておいたほうが良いこともあります。
ただこの時注意したいのは言い方で、あまりに拒絶的な言い方をすると逆恨みされる可能性もあります。普段とあまり変わらぬトーンで、冷静に伝えるのが良いと聞いたことがありますが、このあたりは精神保健福祉士それぞれのキャラや、相手がどんな人で、自分と相手がどういう関係を築いてきているかにもよります。

互いの性格や関係性によっては、たとえば私の先輩Aなんかは、「つきあえないのはわかったけど、好きでい続けてもいいですか」と聞かれた際に、「それは自由だけど、この先も私があなたを好きになる可能性はないですよ」と淡々と言って終わったそうですし、先輩Bは告白された際「なぜ? いつから??」みたいな気持ちになったらしく混乱した頭で、でも何も言わないのは良くないと思って、「えー、そうなんですか、どうしよう、今とてもびっくりしていて……でも、私はあなたのことは恋愛対象には見られないし、好きでいられるとどういうふうに接していいかわからないから、この先相談に乗っていくのは難しくなります」と伝えたそうです。

相手を傷つけるのではないか……と変な配慮をするよりも、自分の気持ちを正直に伝えるほうが支援にもなります。

そうは頭でわかっていても、実際にその場面に出会うと戸惑ってしまう人は多いとも聞きます。
なので最初から、告白されるリスクを減らす試みとして、左手の薬指に指輪をつけておく人もおります。
実際に結婚していてはめている方のほうが多いと思うんですが、ときどき「これ男(女)よけなんだよね」という方にお会いします。

かく言う私も前職で、同様の理由で左手薬指に指輪をつけていた時期がありました。だいたいの方は、そこに指輪を見とめるとアプローチを控えますし、せいぜい「相手はどんな人?」と突っ込んでくるくらいなので、「高校の同級生で~」とか適当にごまかしておくと話は終わります。

ちなみにこの指輪戦法は、眞鍋かをりさんもひとり旅の際にやったことがあるそうです(著書『世界をひとりで歩いてみた』による)。
仕事上だけじゃなくて、なんかちょっと危ない町を一人で歩かないといけないときとか、初対面の人が大勢くるパーティーに出なきゃいけないときとか、使えるかもしれません。

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