あさね

1993年生まれ。精神保健福祉士。1200字程度のエッセイを書きます。

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自分を愛して愛しすぎることはない

精神保健福祉士の資格をとるために通っていた専門学校で、ある先生が言ったことがずっと心に残っています。なんなら当時の授業ノートにもメモってある。 それは、「自分を愛するのに根拠はいらない。自己愛は高ければ高いほうがいい」という言葉です。 今でこそ「自分を大切に」「Love Myself」などと言われておりますが、日本じゃ「私は私のことがだいすき!」っておおっぴらには言えない空気がありますよね。なんだろう、即ナルシスト認定されるというか。 でも、自分のことが好きで、いったい何が

    • ワクチン破棄のニュース、制約内での伝えかた

      コロナワクチンが破棄されるようで。その額およそ6,000億円強。 もはや金額がでかすぎてようわからんのだけど、それを「無駄とは考えていない」と言い切る厚労省にはもっと唖然とした。 日本語の問題かもしれないけど、いや、6,000億円捨てたらそれは間違いなく「無駄」では? それだけのお金があれば、貧困問題や福祉の課題が多少は前進したのではないかと思うとなんともやりきれない気持ちになります。 たしかに当時の、海外からワクチン買うしかなかった、コロナウイルスがどれほどの脅威かもよ

      • 環境というのは、大きい

        私がいま読んでいる、五所純子『薬を食う女たち』という本の主題は、大麻や覚醒剤などのドラッグを摂取する女性たちです。 取材をもとに書かれた文学作品(ルポ文学、というらしい)なので、出てくる女性たちは現実に存在しているのでしょう。 そのほとんどが未成年、しかも中学生とか高校生とか思った以上に低年齢で最初の摂取を経験しています。 興味深いのは摂取した当時、ドラッグに対する恐怖や抵抗、葛藤といった感情が希薄であること(あえて書かれていない可能性もありますが、私は、本当に希薄だったん

        • 仕事中、左手の薬指に指輪をつけるかどうか

          東京都内の障害者相談支援センターで働いています。 仕事をしていると、相談に来た人から恋愛感情を持たれることがあります。先輩方に聞けば、若いうちはあるあるなんだそうです。 実際に告白されるケースもよく聞く話。 こちらとしては、きっぱりはっきり断る姿勢が大事です。 特に精神保健福祉士というのは、関係妄想があったり他者との境界があいまいだったりグレーな発言の意図を読むのが苦手だったりする方を相手にすることが多い職業。あいまいでいいことは何もありません。 「つきあえません」と言っ

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          変拍子の曲が好き

          変拍子の曲が好きです。 8分の5拍子とか8分の7拍子とか、ともすれば間に4分の3拍子が挟まったりとか、あああ好き。 「変拍子ってなに? かっこいいの?」という方は、ジャズの有名どころ「テイクファイブ」や、映画『ミッションインポッシブル』のテーマを聞いてみてください。 私がいちばん好きなのは、子どものころやりこんだスーファミソフトのゲーム『星のカービィ スーパーデラックス』に出てくる「VS. マルク」という曲だけど、当時はなんで自分がこの曲好きか理由がわからなかった。 大人に

          変拍子の曲が好き

          あれから13年

          年度末ですね。 スーツケースをひいた親子や、役所の転入届の行列を見るに、ああ新生活が始まる人がたくさんいるんだなぁとしみじみします。 2011年3月11日、私は当時の自宅、札幌市にいました。家には私ひとりで、のんびりと本でも読んでいたような気がします。 ふと揺れを感じてすぐに、地震だと思いました。北海道が揺れるなんて珍しいなと思ってテレビをつけました。 予想以上の光景が、そこには映っていました。 私たちの代はそのころ、大学の後期二次試験があって、友達の何人かが東北に先入り

          あれから13年

          店員さん、みんな、すごい

          新宿のAppleストアに行ったことがあるんですけどあそこの店員さんのマルチタスクぶりには感動しますね。 お客さん3組対応しながらイヤホンマイクで店員さんとやりとりして、んなこと知る由もない別のお客さんから話しかけられたらそれにも突発的に対応して。 頭何個あるんやろ、私には到底無理やわ。 接客業というのは身近で目につきやすいというのもあるけどすごい仕事だと私は思っていて、いやそんなこと言ったらどの仕事も全部すごいと私は思うんだけど、いちばん身近なところでいってもコンビニの店員

          店員さん、みんな、すごい

          手持ちのリップを語ってみた

          化粧の過程でいちばん楽しく悩めるのがリップ。今日は何色にしようかな、マットがいいかなツヤがいいかな、と割と毎日気分によって変えています。 いちばんのお気に入りは、INTO Uのマットリップ、通称「泥リップ」。私が持っている色はインフルエンサーモカ。 肌もツヤよりマットが好きな私は唇もマットな気分が多くて、特に秋冬はつけたくなります。つけ心地も軽くていいし、チョコレートっぽい香りも好き。このシリーズはもうひとつくらい買い足したい。 次にヘビロテなのが、ティントの王道rom

          手持ちのリップを語ってみた

          飛行機慣れしている私が新幹線で思うこと

          生まれ育ちが北海道で、お盆は親元の実家である本州に帰省することが多かったので、飛行機に乗り慣れています。 乗ったことないという方に出会うと、なんや怖い乗り物らしいんですが、全然なんてことはないですよ。そりゃ私もいまだにあの重い塊がどうして空を飛べるのかは疑問ですが(知識として知っても体感的には信じられない)、事故率も低いし安全快適な乗り物だと思っています。 上京しても金銭的余裕がなく夜行バスにお世話になっていた身としては、いまだ新幹線は乗るたびにわくわくどきどきするもの。

          飛行機慣れしている私が新幹線で思うこと

          寝ているときにみる夢に教えてもらうこと

          覚えている夢は奇天烈なものも多いけれど、明日に何か不安なことがある時に見る夢はとても現実的なことが多い。 寝坊して遅刻する夢はけっこう頻繁に見るし、仕事している夢も見る。この前なんぞは通院同行がある前夜に、通院同行している夢を見て、そういうときは本当にげんなりしてしまいます。起きてもう一回やんのか〜、と思う。 と同時に気づく、ああ今私、ストレスかかっているんだなぁ。 パートナーにも「のんきが取り柄」と言われるほど能天気で悩みの少ない私ですが、やはり生きていればストレスを感じ

          寝ているときにみる夢に教えてもらうこと

          優しくないのではなく気づいていないのかもしれない

          私は東京に住んでいて、これは個人の見解ではありますけれど、街を歩いていると道ゆく人の多くは優しくないわけではなく、そもそも気づいていないんじゃないかなぁと思うことがあります。 たとえば満員電車で目の前に高齢の方や杖をついている方、妊婦の方や重い荷物を疲れた顔で抱えている方がいても、席を譲らない人のだいたいは、イヤホンをしてスマホを見ている、その耳は塞がれていて、その目は小さな四角い画面にしか注がれていないのではないかと。 電車の中でもそうなら、最近は歩きスマホの人だって割と

          優しくないのではなく気づいていないのかもしれない

          読書のはじまりはドラクエだった

          読書が好きです。 おそらくいちばん最初に夢中になった本は、スーパーファミコン版ドラゴンクエストⅤの攻略本でしょう。 画像は上巻ですが、下巻・知識編もちゃんと実家にあって、2冊ともぼろぼろになるまで読み込んでいました。ゲームをやっていたのは主に父親で、私は夜更けに眠い目をこすりながら父親のやっているゲームを見ている、というのが子どものころの思い出。攻略本も、小学生の私が手に取ったときはすでにぼろぼろだった気もします。カバーはなくなっていて、赤色の表紙は破れていて、中身のペー

          読書のはじまりはドラクエだった

          未完でも魅力的な『バッファロー五人娘』

          2016年のことだったと思いますが、池袋で安野モヨコ展なるものが開催されました。小さな展示だったけれど面白かったです。実は私はそこに行くまで、安野モヨコの漫画は『働きマン』しか知らず、それ以前に『働きマン』の作者が安野モヨコであることも知らず(要するに行って知った)、つまり別に彼女のファンではなかったのですが、宣伝ポスターの絵が印象的だったのでふらりと立ち寄ったのでした。 きっかけはそんなでしたが、展示会で彼女の描く世界に何となく惹かれ、後日行った歯医者でたまたま手に取った

          未完でも魅力的な『バッファロー五人娘』

          小説『ハンチバック』を読んでくれ

          第169回芥川賞を受賞した、市川沙央さんの小説『ハンチバック』。 これがまたすごい小説だったので紹介したいと思います。 この小説の何がすごいって、重度の身体障害者である語り手の「私」が世の中に対して抱いていることの、表現ひとつひとつから、怒りや恨みがびしびしと伝わってくるところ。 そしてその怒りや恨みは至極まっとうで、健常者で「普通に」生きていれば気づきもしないような社会の構造が、誰かにとってとても暴力的だということに否が応でも気づかされるところ。 だけど作中の「私」の中

          小説『ハンチバック』を読んでくれ

          言葉を大事にする人にとっての盲点

          「供述弱者」という言葉があります。 引用した記事では、裁判の場面において、自分のことをうまく語ることができないまま裁かれてしまう危険性に触れていますが、「(相手が)自分の思いを伝えられているかどうか」というのは、福祉の業界に身を置く人にとっては、身近かつ永遠のテーマであるようにも思います。 とりわけ現代日本の福祉において、最も優先されるのは「本人の意思」です。周りがどれだけ、こうしたほうが本人のためになる! と思っていたとしても、そこに本人の意思が確認できなければ何も進め

          言葉を大事にする人にとっての盲点

          9cmのピンヒールで踊る夜

          チャットモンチーの曲で、えっちゃんこと橋本絵莉子さんが「8cmのピンヒールで駆ける恋」と歌っていて、すごいエネルギーだなぁ恋だなぁ、と思っていた私。 ヒールなんてあんな、そりゃ形は美しいけど実際、足痛いだけで満足に走れもしない非実用的な靴、ショーウィンドウでうっとり眺めているだけで十分だったのに。 いまや、9cmのピンヒールで踊っておるよ。 人生で、3cm程度のローヒールすら、最後に履いたのは4年くらい前であろう私。基本的に所持している靴は、スニーカーかフラットなパンプ

          9cmのピンヒールで踊る夜