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野鳥観察|シロカツオドリ|狩りの一瞬
8月のある晴れた日。スコットランド海鳥センターでのボランティアを終えて海岸線を一人で歩いていると、大きな鳥が近くを掠めた。
白い体に細長い翼、黄色い頭。海面を注意深く見つめる眼差し。シロカツオドリだ。
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近くにコロニー(集団営巣地)があるので、沖のほうを望遠鏡で覗くと米粒くらいの鳥がたくさん飛んでいるのを見ることはできるのだけど、岸にはなかなかやってこない。だから、肉眼で捉えたのはこれが初めてだった。翌日海鳥センターの人に「きのう岸にいましたよ」と言うと、「えーっ」と驚いていたのでやっぱりラッキーだったのかもしれない。スコットランドに来た目的はこの鳥に会うことだったこともあり、「やっと会えたな〜」という感じでカメラを構えた。
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普段望遠鏡で見ることができるのはこの大きさ。
この時期のシロカツオドリは子育てシーズンで、コロニーにはパートナーとヒナが待っている。海に飛び立ったカツオドリの仕事は一つ、食糧調達だ。
カツオドリ科の漁はユニークである。
海面に餌となる魚の影を見つけると、およそ20m上空から水中にダイブする。矢のように一直線に飛び込む姿は壮観で、感動的ですらあるのだけど、着水する瞬間の速度は時速100kmにも達するそうで、骨折など命の危険も伴う。それゆえカツオドリの頭蓋骨には衝撃を吸収するエアバックが仕込まれ、首の筋肉は太く発達している。
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衝撃を最小限に止める工夫の結果だ
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動画だとよりわかりやすい。
参考:ナショジオ ”Deadly Gannets | Built for the Kill”
少し待っていると、水中に潜ったカツオドリがポンと浮き上がってきた。
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カモみたいに体をふるふると震わせて水を払っている。こう見ると水鳥だなあと思う。残念ながら不漁だったようだ。
その後数回ダイビングを繰り返し、諦めて沖の方へと飛び去っていった。
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昔、アレックス・ロベラとフェルナンド・デベス共著のGood Luckという本を読んだ。四つ葉のクローバーが表紙にある黄緑色のベストセラーで、幸福論をテーマにした本。チャンスは平等に降り注ぐけどそれを掴むことができるのはきちんと準備してきた人、という内容だった気がする。うろ覚えだなあ。
バードウォッチングもこれに似ているように思う。一瞬の出会いを叶えるのは地道な下調べだったり、重たいカメラを携行することだったり、(海辺を歩く場合ウォータープルーフの)歩きやすい靴を履いておくことだったりする。
とは言っても、万全を期しても会えないことだってあるし、一方でこの日みたいに、全く予期していないところに思いがけない出会いに恵まれることもある。相手は自然。だから、会えたら嬉しい。
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