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生まれて初めて生でサッカーを観ました。
好きな人にはたまらない話だと思いますが私が初めてサッカーを観たのはミラノのサン・シーロスタジオです。
サッカーという世界に初めてほんの少しだけ身近に触れたのは4年ほど前。元選手の方と出会い、そのご縁で現役を目指す若い方がたとも出会いました。
何かを成したくて遠くまで来た、という共通点や彼らの魅力的な人柄に刺激や尊敬をおぼえつつも、今の今までゲームを観に行くにはいたらず。
というか、正直足踏みをしていました。もちろんいつまでいられるかわからない滞在の中で自分のことで忙しいのもあったけれど、
2000人のホールを埋めるのにも苦戦する業界の末席にいる人間として
今回の箱で言えば80018席を埋め、加えてテレビや新聞でも157年も多くの人の心を掴み続けるその魅力は何か、肌で感じるのが少し怖くもあったのです。
伝統芸能とは違うのはわかっている。でも、決定的にたりない何かを突きつけられるような気がしていてほんのりおそろしさがあった。
でも、やっぱり知りたい。
「イタリアを出る前に、絶対行くべき。」
という言葉もなんとなく離れず、行くことに。
(なぜかと言いつつ、多分言われた本人が狂うほどその世界にのめり込んでいるのをみていてどれほどなのかと気になったのだと思う。)
まずはさかのぼること4日前、試合によっては当日券が"とれるわけない"ことを知り、早速洗礼を受けました。しかしこうなるとなにがなんでもまずは観てから日本に帰るのだという気になる。
(まけずぎらい。笑)
その場でチームのページに登録し、行ける日の試合を予約しました。
そのまま自分の作業をしながら公式Twitterにて試合を追いました。。
得点すれば狂喜乱舞、失点すれば存在意義さえ否定される。そんなコメントでリプライが埋め尽くされる。
この立場でエゴサーチなんてしたら、何度ショック死できるのだろうと思いながらも試合が終わるまで追ってしまいました。
でも、それだけ観る人が参加している、というかもはや"憑依させている"とも言えるくらいに、その場にいる全員が"当事者"の空間だということは試合を観に行く以前になんとなくわかってしまいました。
"うーん、木曜この空気にとびこむのか。やっぱりこわいな。"
何しろ私は良い空気に飲まれやすいのです。加えて熱い話がだーーーいすき。
もはやこの時点でのめり込んでしまうのはわかっていました。
何しろ高校生活はラグビー一色。
そこからいろいろ思うことを体現したい+実際に体現できる分野は何か→声楽だね。という経緯で歌をはじめたので(というとだいぶ端折っていますが)。
今回も行く前からドキドキしていました。
最終的にはその場で木曜のチケットをとったため一人で行くことになり、たくさんの友人に「気をつけてね。アクセサリーはつけていかないように。」などと言われていたのもあるけど。笑
(実際は揉まれることなどまったくありませんでした。笑 でも聞いたことのないようなパロラッチャ(もはや重みはないけれどイタリアで感情のリズムを作るために使う人もいるきったない言葉のこと。笑)がそこかしこに飛び散っていました。笑)
ともあれ普段遠耳に聞いていた歓声を今夜は生で聞いて、気づけば空気にすっかりのまれてゆきました。
試合中には色々なことが起きるけれど、それも含めてお祭り。
わくわく、感動、開放感。
どれもイタリアの人たちが大好きなもの。きっとイタリアの人たちでなくとも好きだと思う。
それが一気に味わえる場所でした。
日々繰り返される試合、そのたびに観客はお祭り気分を味わえる。
試合によって値段もまちまち。それでも席は埋まる。どうしても来たい人たちがいるから。
それほどのものがここにはあるから。
かっこいいから。
好きになったから。期待しているから。そしてわかちあえるから。
だから人が集まるのだ。
またここについてはゆっくり掘り下げたい。
だけれどひとまず今言えることは
ひとは自分の好きなものをわかちあいたいし、特別な時間をすごしたい。
きっとそういうことなのかなと思います。
この裏での努力、想いを少しだけですが垣間見ていたのも、私がこの世界の好き度を一気に上げるのをかなり手伝ったと思います。
頑張りは見せるものではない。そう言われていた伝統芸能の世界でも、今日では変わってきているのかもしれない。
その証拠になるかはわからないけれど、ドキュメンタリー番組で伝統芸能にかかわるひとたちが取材されたり、バラエティー番組に出演したりする。それに若手の頑張りを側で応援したいといってくださる方は少なくはないのです。
特にサッカーで言えばたとえば趣味で自分がプレーする人も、きっと肌で選手のものすごさがわかるから、余計好きになってしまうのだと思うし。接点が増えていくことも大切なのだなと思います。
そうやって"当事者感"+"特別感(すごいぞ!というきもち)"を味わえるのも魅力の一つなんだろうなぁ。
_______
その努力が、その人生がそれほどの喜びを誰かの心に届ける。
その過程で時にきっと理不尽もある。
すごく"ひとり"であり、また"みんな"でもある、その人生の交わりが人をまた熱狂させる。
その世界を現状維持するだけでも、どれだけの資質、努力、運、ご縁が必要なのだろう。
報われる、ってそもそもなんなのだろうとすら思えてしまう。
でも
好きだけでは物事は進まないかもしれないけれど、何もわからないけどただただ好きな気持ちだけで走りはじめるのもわるくない。
何をしていても言えることだけれど、報われる人も今この時はそうでないように感じる人も、みんなたからものだ。
それに、いい時もそうでない時も好きだと思えるのはこの上なく幸せなこと。
なぜか今回のイタリア滞在や今後の進路(渡仏)におもうことと重なって、色々なことがざーっと駆け巡りました。
これからの新生活も、そういう最初の気持ちにかえって音楽や大切な人たち・大切なことと向き合っていく準備をしよう。
ただただ熱狂する人たちの中をただよったあとは、お家で冷えたビールを一杯。
今夜はとてもよく眠れそうです。
まずはまた、来週に向けがんばろうと思います。
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