見出し画像

日記50 野球応援と演

7月某日、
朝から、勤務校の野球応援に参加した!

昨年は授業があったのと、立場がただの非常勤講師だったので校外活動に参加することはできなかったのだが、
今年は吹奏楽部のインストラクター契約も結んでいるので、こういった演奏活動にも帯同することが許される。

授業は事前に動けば他の先生と臨時的に授業のコマを交換させてもらえる。

自分が現役の高校生だった頃は、小田原だとかやたらと遠いところへ行った記憶があるが、
今回はなんと横浜スタジアム!

アクセス最高!ビールも売店もやってないけどね!!みかんのやつ食べたかった!

このたび、少ない部員と元部員(中学生時代に吹奏楽部だったから楽器はできる生徒)、
趣味で楽器をやっている教員、そして吹奏楽部OGの先輩方と、演奏チームはかなり賑やかに✨

チアはダンス部が、応援団はベンチに入っていない野球部員。

今はもう思い出せないくらい涼しくなってしまったけれど、今年の夏はひどい猛暑でしたよね。
その始まりのような日で、おそらくこの日はすでに33度くらいになっていたんじゃないだろうか。

浜スタは残念ながら客席に日陰がない。 

出来得る限りの日焼け対策と暑さ対策をして、人生でいちばん塩分タブレットを食べた日。
あれ、世の中ってこんなに黄色かったっけ…?と錯覚をするほど容赦のない日光が目を攻撃した。
生徒も何人か具合を悪くしたけれど、幸いみんな早めの申告をしてくれたので大事には至らず。
野球部員の保護者のみなさまもいたので、大人の目がたくさんあってありがたい。
うちら普段めちゃインドア部活だからね…私を筆頭に…🥺


さて、野球応援の演奏する側にかんしてだが、
実は試合をきちんと見られる瞬間はこちらが守備のときのみ。
攻撃のときは、常に何かを吹いているので(鼓舞するのが仕事ですからね…)
試合模様ではなく楽譜を見ているのがほとんど。

もっと正確に言うと、実は同じ数曲をルーティンしながら吹くし単純で短いフレーズなので、楽譜は序盤でだいたい覚えてしまう。

よって見ているのは
「試合を見ている応援団(野球部員)の曲目指示プラカード」。

曲の途中でも、例えばヒットが出ると今吹いている曲をぶつ切りして『ヒット』を演奏。
また、この選手にはこの曲を、などテーマ曲が決まっているので、打順?とか番号を覚えている野球部員の掲げる曲目プラカードを見ないと
こちらは次に吹くべき曲がわからないのである。

せめて私が教えている子たちだけでも分からないかな〜?
と思ったが、遠くて小さくしか見えないし、キャップで顔も隠れているので、身体の動きのクセを把握していない限り無理だな…。

暑さであったり、休符なしハイトーンのせいだったりと、後半戦になるにつれ演奏隊もバテてくる。

私は不思議かな、多分普通に炎天下でゲーム観戦するならば一番最初にバテるタイプだと自覚しているが、楽器を吹くと元気🔥

(これこの前ピアノの友達も言っていたけど、体調優れないときも演奏しているときがなぜか一番元気なんだよね…。でも具合が良くないときは寝ましょう)

野外も大丈夫な木管楽器だから(さすがに学校備品のアルトサックス使ったけど)
ハイトーンも出せるし、後半は勝手にハモリやオブリガードパート作って吹いちゃったりして、個人的には非常に非常に楽しんで演奏していました!

応援に来ていた他の職員から、「岡村先生、最後まで子犬のように元気だったね…笑」と言われる🤣


さて、忘れないために特筆しておきたいのは、私が去年教えた2年の野球部員Aくん。
Aくんは今回ベンチ入りできず、応援団長として客席まとめをつとめた。

学校内で個人的に会話をすることもそれなりにあって、自分の性格はそこまで派手ではないが、野球部なので求められた(おそらく内向的ではなくノリ良い感じの)キャラを演じてしまうと漏らしたことがある。


この日は団長として後輩たちをまとめ、誰よりも声を出していた。

私たちは1回戦で残念ながら負けてしまうわけだけど、試合の途中からもう負けは見えてくる。
早いタイミングで悔し涙を流す1年生もいるし、試合終了と挨拶ではレギュラーの部員もみんな顔を覆って、泣いていることが遠目にもはっきり分かるんです。
大人サイドとしては、なんとも言えない気持ちでだまって見守るしかないわけだけど、
そんなとき、Aくんは団長として迅速な片付けの指示を出す。
泣いてもいいけど動かなくてはならない、まだやるべきことがあるのだ。
その姿を真っ先に見せることで、私たちの沈んだ応援席がまた流れ出した。

それだけではなく、団長には勝っても負けても最後のエール交換が残っている。
Aくんの声はほんの少しの潤みを持って、しかし淀みなく堂々とスタジアムに響き渡った。

以前彼は、自分を演じてしまうことがあるのだと言ったけど、負けの結果のみならず、ベンチの外に立つと決めたきみの今までの全部を抱えて今日を素晴らしく演じきった。

忘れないでいようと思う。
今年は近くで大きな姿を見たので、
来年は「客席からだと小さくて、Aくんの顔全然見えなかったんだよね!」と言えますように。



高校野球は、こうして多くの、大きかったり小さかったりする物語が生まれていく場所ではあるけれど、一方問題もたくさんある。

まだ夏休みモードになるには早すぎる7月頭から平日に授業を公欠して毎日毎日試合が行われる。

自分たちの試合だけでなく、手伝いとして駆り出される際も彼ら高校生は公欠として授業を1日不在にする。
他の部活動でこんなことをやろうものなら、どれだけおおごとになるだろう?
高野連に所属する先生方も、7月〜8月はほぼ校内にいない。
ちまたの噂通り、正規の教員が抱える仕事は授業だけでなくクラス運営や進路や大量の事務作業…
校内に設置してある自動販売機について業者とやりとりすることすら担当の教員がいる。

それらを抱えた先生と約1ヶ月、ほぼ顔を合わせられない(大会直行直帰だから)、というのも、制度としてどうなの…と感じてしまった。

高校生の大会の範疇に収まらないほどの話題性と金銭が動くため、もう手綱を握れていないんじゃないか。
多少ではあるが関わっている身として、心にとめておきたいことがあるのも事実であった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?