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きみの大切なものは?

ニュース番組を見ながら夫と

『いくら親でも、成績が悪いからって子どもの大事なもの壊したり捨てたりはダメだよね…』
『私も自分の大切な漫画とかゲームとか、成績が悪かったとしても捨てられたらグレるわ…』
『手は挙げなくても、もう心を閉ざすよね』

などと話していた。

他人の話だと冷静になれる。
じゃあ、我が家は?

我が家いちばんの散らかし魔、もうすぐ4歳の息子。子ども部屋が無いので、いつもリビングで遊ぶ。

折り紙で作った新幹線も、塗り絵のアンパンも、画用紙に描いて切り取った鯉のぼりも、全部彼にとって『だいじ!』なもの。
もちろん絵本や、プラレール、ブロックに積み木だってそうだ。


でも、それが部屋中に散らばっていると、とにかく私は落ち着かなくて、なんとかかんとかいつも一人で片付けだす。
でも、時々は

『なんで私が散らかした訳でもないのに毎日毎日(本当は毎日も片付けていない)私だけが片付けないといけないんだ!(キィーーーー!!)』

と、なる。

頭がかっかしているとその辺にいて相も変わらず散らかしたまま遊んでいる息子に

『だいじなモノだったらちゃんとお片づけして!片付けないんやったら、かか捨てるで!』

と脅しの言葉をぶつけてしまう。

息子は慌てて『だめ!だめ!おいとくの!』とおもちゃ入れのかごに突っ込む。

…3日に1回はこんなやりとりをしている気がする。

でもこれって、自分がされたらすっごく嫌だよね。

自分にとっては大切なもの、例えば自分が描いた力作のイラストだったり、またはお気に入りの1冊だったり、どっからどう見ても大事でしょ!って思っているものをちょっとその辺に置いたままにしといたら、お母さんにいきなりキレられる。

なんで捨てるなんて言われなあかんの?って悲しいし腹立たしい。

息子が思い通りに動いてくれないとき、私はつい自分が楽をして、脅して言うとおりに動かそうとしてしまうけど、それはとても不誠実なことなんだよね。

客観的に見てみると明らかなことなのに、どうしていつも失念してしまうんだろう。

1日を振り返ると、きっと誉めた数より怒ったり注意したり『○○して・しなさい』と言っている数の方が何倍も多いんじゃ無いだろうか。

それってきっと、すごくしんどい。

2歳になる前から保育園に入園し、毎日親の手から離れて集団生活を送っている息子。
「ほいくえんたのしー!」と言ってくれるから忘れがちだけど、本当は毎日毎日、わがままもちょっぴり我慢して、みんなにできるだけ合わせて、頑張っているんだよね。

園でも頑張って、家でも頑張ってたら疲れちゃうよね。
保育園で我慢して頑張っている分、家では甘えたいし、悲しいことだって言われたくないよね。

お地蔵さまみたいな安らかな顔で眠る息子の隣で、夫婦ふたり反省会をした。

もうすぐ4歳と思うけど、まだこんな小さな手で、さらさらの髪で、つるつるのほっぺで、生まれたてのピチピチさは続いている。

おしゃべりも上手になったけど、まだまだ自分の気持ちをうまく説明できるほど巧みでは、もちろんない。

体重はゆっくり増えてきて、そろそろ抱っこも辛いけど、まだかろうじて抱っこで歩けるくらいだ。

手が離れだすと、きっとあっという間だろう。
いつだって今日の息子が1番幼いのだ。

甘えて欲しくても、もう甘えてくれなくなる日はいつか必ず来る。
想像しただけでちょっと泣いてしまいそうなくらいさみしい。

だから今は、いっぱい甘やかそう。

もう十分もらったよ、と彼の手が愛でいっぱいになるまで。

きみの大切なものを、かかも愛すよ。

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