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月イチくらいの読書感想文・2021年9月10月

月1で出すつもりだったのに感想文が書けなくてなくて、「月イチくらい」ですらない読書感想です。

9月10月で読んだのはこれくらいですが、前回からこれまで、森博嗣のミステリシリーズとか、韓国でヒットしたらしい頑張らなくていいじゃないと言っている本、バッタ博士の自伝、ツイッターでヒットした漫画の印刷版、鈴木プロデューサーが映画について論じている本など、いろいろと読みました。

本読んで感想書くことって気持ちの余裕がないとできないんですねと感じています。ネタバレに配慮するとなお難しい。

1、『かがみの孤城』辻村深月(ポプラ社)

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

城に集まった7名の少年少女。物語が進むにつれて、それぞれが学校で経験したこと、感じた息苦しさ、考え方や環境の違いなどが明らかになっていきます。

ジャンルはミステリなんでしょうか。SFに親しんでいる人であれば、物語の仕掛けは途中でわかると思います。でもそれよりも印象的なのは、少年少女の感性が細やかに描かれている点です。

「いじめではない、あの子とは合わなかっただけ」。これは一人の登場人物のセリフですが、はたから見ていることと当事者が感じていることは違うのだな、と改めて気づいた作品でした。読後は爽快、じんわりと温かみも感じます。心が弱っているときでも読める1冊です。

2、三体 Ⅰ

父を文化大革命で亡くし、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔。彼女が宇宙に向けて秘密裏に発信した電波は、惑星〈三体〉の異星人に届き、地球を揺るがす大災厄を招くことに……! 中国で社会現象となったアジア最大級のSF小説、ついに登場!

上下巻も数えると、全部で5冊になる大作SF。2019年の発売当時に読んでいたんですが、続刊をまとめて買い求めたのを機に、読み直しました。ちなみに続刊はリアル書店で買ったんですが、他のも入れた1万円分の本の山を両手で抱え、レジに持っていくときの高揚感といったら!

三体1は、ほぼ前情報なしに読み始めました。最初に驚いたのは、文化大革命から始まっていること。SFと言えば「日常に突然異質なものが現れる」とか「全く違う世界の出来事」などのイメージがあったんですが、実際の出来事(事件)から始まることが新鮮でした。

しかも、文化大革命の名前は知っているけれども当時まだ生まれてない。中国のイメージはつくけど政治的なことは知らない。そんな私にとって、ちょっとした大事件だったのです。

小説自体は、2つの時代、2つの世界、3〜4人の重要人物の周りで起こることが並行して描かれていきます。登場人物はなかなか多いですが、その人達だけ抑えてれば大丈夫。登場人物リストを片手に読み進めれば、三体問題が軸となる王道のSFストーリーに引き込まれるはずです。

3、三体 Ⅱ 黒暗森林 (上下)

葉文潔をリーダーに戴いた地球三体協会の瓦解により、地球は三体文明により侵略の危機的状況にあることが判明した。人類は、人類文明最後の希望となる「面壁者」を立てて立ち向かうことを決断する――! 13万部を突破した『三体』待望の第二部、ついに刊行!

S(サイエンス)が強かった前作から、F(フィクション)強めの今作と、作品の雰囲気も少し変わります。

三体世界との頭脳戦、時代を超える人工冬眠、実力行使の宇宙艦隊など、スピード感が桁違いです。前作が『メッセージ』『インターステラー』など理論を下敷きにした映画だとすれば、今作は『スター・トレック』『スターウォーズ』などの冒険活劇みたいな感じでしょうか。主人公もナノマテリアルの専門家から、宇宙社会学の学者へ。

群像劇の様相もあり、さまざまな立場にいる人々の仕事に対する姿勢の違いがおもしろいです。さらに、人工冬眠を経た後の世界の描写など、「なるほど!」と思うことがたくさん。おもしろさがあんまりまとめられてないのがくやしい。

2からサブタイトルがついてますが、この意味は下巻で明かされるのでお楽しみに。

4、シロクマのことだけは考えるな!

「シロクマのことだけは考えるな」、この心理学の著名な実験があなたの悩みを解決してくれるかもしれません。いますぐ忘れたい辛い恋、成果のない合コン、ギクシャクする上司との関係、どんなに頑張っても幸福感のない日常──あらゆるシチュエーションで私たちがぶつかる問題を気鋭の心理学者が分析、ベストの対処法を教えます。ハードな毎日を乗り切るための勇気をもらえる一冊。

「◯◯のことだけは考えるな」と言われると、どうしても忘れられなくなってしまうシロクマ実験、どんなに騒がしくても自分に関係のあることだけは聞こえてしまうカクテルパーティー効果など、心理学的な事柄を紹介しているのがこの本。仕事や恋愛、人付き合いなど日常的なシチュエーションと合わせているので、日々を気持ちよく過ごすヒントにもなりそう。

一節が短いので、一気に読んだあとは手元に置いて、困ったときにパラパラめくる。そんな使い方をしたら良さそうです。


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